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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 狂乱物価が日本を襲う
http://wjn.jp/article/detail/6695302/
週刊実話 2013年12月19日 特大号
上場企業の中間決算が大幅増益になり、株価も1万6000円台をうかがう勢いだ。景気は順調に回復を続けている。だが、順風満帆に見える日本の景気も、3月までの命だと私は考えている。その後、猛烈な物価上昇が控えているからだ。
誰も指摘しないのだが、来年度は消費者物価が4%も上昇するという「狂乱物価」が襲ってくる可能性が高い。4%という物価上昇率は、'81年以来33年ぶりの事態だ。いまの若者が、生まれてこのかた一度も経験したことのない激しいインフレが家計を襲うのだ。
なぜ物価が突然4%も上がるのか。一番大きな原因は、消費税率が3%引き上げられることだ。日本銀行は、消費税率引き上げに伴う消費者物価上昇への影響を2%程度と言っているが、私は2.5%程度上昇するとみている。消費税には、保険診療や家賃といった非課品目があり、その割合は28%程度だ。そのため単純計算だと、消費税3%の引き上げで物価は2.2%上昇することになるが、私はもっと上がると思う。
例えば、保険診療費自体は非課税だが、病院や医院は診療のためにさまざまな道具や材料を仕入れているし、電気代も払っている。これらには消費税がかかってくるので、消費税引き上げでコストが増えるのだ。その分は、診療報酬を引き上げないと医療機関はやっていけない。
すでに医師会は、診療報酬を引き上げる要求を出しており、それは認められる見通しだ。また、需給が締まる中で、消費税引き上げの際の便乗値上げも発生するから、単純計算よりも物価が上がっていく可能性が高いのだ。
物価上昇のもうひとつの要因は、日銀による異次元の金融緩和だ。日銀は、2013年4月に、「2年後に物価上昇率が2%になるよう資金供給を拡大する」というインフレターゲット政策を導入した。いままでのところ、この日銀の金融政策は非常にうまく行っていて、物価も予定通りに上がってきている。だから、金融緩和によって、来年度平均で1.5%の物価上昇が見込まれるのだ。この物価上昇は、消費税増税とは完全な別枠になっている。したがって、来年度の物価は2.5%+1.5%=4%の上昇となるのだ。
しかも、このインフレは高度経済成長期よりもはるかに日本人の生活を追い詰めるだろう。賃金が上がらないからだ。もちろん利益を大きく拡大している一部の大企業は、多少賃上げをするかもしれない。しかし、中小企業の賃金は上がらない。中小企業は、景気回復どころか、むしろ減益になっているからだ。
さらに、来年4月から公的年金が今年10月に続いて1%引き下げられる。現役世代も、年金世代も所得が増えない中での4%インフレだ。消費が急落しないほうがおかしい。民間消費はGDPの6割以上を占める最大の需要項目だ。消費が急落すれば、当然、景気も失速する。消費税引き上げ前の駆け込み需要もあって、来年3月までは順調な景気拡大が続くだろうが、その後、日本経済は一転して景気後退に向かうだろう。
インフレターゲットは物価上昇を伴うから国民に負担が生じる。そこに消費税増税を復興需要が減退する時期に重ねてしまう。4月からの景気後退は、完全な政策ミスによる惨禍だ。
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