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1000人もの日本人でにぎわうバンコクのイベント。急増する”和僑”とはいったい?
1年で4倍! 急増する“和僑”って何だ?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131206-00025471-toyo-int
東洋経済オンライン 12月6日(金)8時0分配信
ASEANの中心地として、ビジネス界からも注目を集めているタイ・バンコク。駐在員も起業家も増加の一途をたどり、在住日本人は約4万人に達した(日本大使館調べ)。
そんなバンコクで、最近開催されたイベントで1000人以上を動員、注目を集めたのが世界各国から日本人起業家が集まった「和僑世界大会」なるものだ。
会場は、バンコク在住日本人も数多く住むスクンビット通り、BTSプロンポン駅近くのホテル。ここに“和僑”と呼ばれる人たちが世界各国の都市から集まった。「初めまして」と「ごぶさたしております」という日本人らしいあいさつがあちこちで飛び交い、世界各国の都市の名前が聞こえてくる。「今、熱いと言われるバンコクを見ておきたくて来たんです」。そんな声も耳にした。
5年前に香港で開催されて以来、年1回、各国持ち回りで開催されているという和僑世界大会。シンガポールで開催された昨年の参加者は約250人だったのに対して、今年は1000人。わずか1年で4倍に増えたというから驚きだ。この数字が、“セカ就”という言葉まで生まれるほど、海外での就職・起業が身近になり、関心が高くなっていることを物語っている。
“和僑”という言葉はまだ耳慣れないかもしれないが、要するに海外で起業する日本人のこと。筆者自身、2010年に上海で活躍する女性起業家の取材をしたことがあったが、そのときにはまだ彼女たちから“和僑”という言葉は出なかった。
新聞の見出しなどで“和僑”という言葉を目にするようになったのもここ数年だと認識している。この言葉を生み出し、今回の世界大会を開催した和僑会とは、いったいどんな団体なのか?
■ “和僑”が生まれたのは10年前
始まりは、10年前の香港。香港で会社経営をしていた筒井修さんが、日本から来たばかりの20〜30代の若い経営者たちのつながりに必要性を感じて、勉強会を始めたことがきっかけだ。
「香港は会社を設立しやすいと言われているが、実際に継続していくことはとても難しい。9割が撤退していく。若者が夢を語ることにとどまらず、実際に成功していくために何か手伝えることはないか……。そう考えたときに、華僑に対抗できる横のつながり、日本人同士のネットワークの必要性を感じた」(筒井さん)
毎月1回の勉強会を3回ほど重ねたときに、名前をつけようという話になった。華人(中国人)の“華僑”に対抗して、“日僑”という名前も候補にあったが、協調するという意味の“和”も込めて、和人(日本人)の“和僑”としたという。
「10年前は、正直、ここまで大きな組織になるとは思っていなかった。でも、これからは日本人もどんどん海外に出て行く時代。最初の5年は香港だけで活動していたが、ここ5年でアジア中心にどんどん広がっていった。
『僕の国(都市)でも作っていいですか? 』と声をかけてくる人が現れ、自然発生的にできたのが現在の和僑会。欧米などほかの国の起業家からも声がかかっているし、これからの5年、10年はアジアから世界中に広がっていくはずだ」
現在、和僑会がある都市は、東南アジアに7つ(バンコク、プノンペン、ヤンゴン、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、ジョホールバル)、中国に7つ(香港、深セン、広州、東莞、上海、北京、大連)。そして、日本にも10あるという(北海道、東北、東京、京浜、多摩、名古屋、関西、岡山、九州、沖縄)。
フィリピンのセブでSkype英会話の会社を経営する藤岡頼光さんは「参加したのは今回が初めて。10人集まったら活動できると聞いたので、戻ったら声をかけてみようかと思っている」と話す。海外で起業する日本人が増えた今、お互いに助け合える“和僑会”が自然と広がっていくのは間違いない。■ 国境を越えた“和僑”のつながり
この和僑会、驚くことにすべてボランティアで運営されている。起業家たちが自主的に活動するというのが和僑会の精神だというのだ。
「2週間前から本業の仕事は何もしていません。しかも、ここ1週間はほとんど寝ていないのです」。
そう話すのは、運営委員の長谷川卓生さん。26歳のときにタイへ来て以来、東南アジアを留学先にするため、日本とタイの交換留学ビジネスに取り組んで来た。「自分が来た15年前には、まだ“和僑”という言葉もなかったし、和僑会もなかった。ただ、お世話になった日本人は今の和僑会にいる人が多かったと思います。だから今回の運営にも力が入っています」。
自主的に運営しているといっても、今回の世界大会は2日間にわたりホテルの宴会場をすべて貸し切って行われている。かなりの規模だ。
特別講演は、ビジネス・ブレークスルー大学学長の大前研一氏。大前氏は、華僑、印僑、韓僑などと、“和僑”が戦っていく必要性について、少子高齢化が進む日本の現状、縮小していく日本市場のデータなどを見せながら解説。海外で戦う起業家たちに激励のメッセージを送った(内容については、次回記事参照)。そのほか、講演陣にはライフネット生命の出口治明氏、レバレッジコンサルティングの本田直之氏など、そうそうたる人々が招聘されていた。
商談スペースも兼ねた物産展では、日本全国の中小企業が軒を連ねている。タイで展開したい日本の和菓子店もあれば、日本で展開したいタイの食材店もある。タイで駐在する日本人だけでなく、タイ人にも和食人気は根強く、最近では札幌との直行便就航で北海道ブームとも言われている。
「どこか扱ってくれる店があれば、これからタイに進出したい」と、意気込む経営者も多かった。ものすごい熱気の中で名刺交換をする人々から、今、アジアを取り巻くパワーを感じたのは筆者だけではないはず。「リスクは多くても、リターンがあるところで勝負したい」――。会場はそんなエネルギーに満ちていた
ランチやディナータイムには、異業種交流会が開催された。確かに、ここに来れば世界中の“和僑”とつながることができる。だからこそ、和僑世界大会の参加希望者が4倍に膨れ上がったのだろう。
■ 成功者のロールモデルは出るか
今回の和僑世界大会で感じたのは、国境を越えることがこんなにも容易な時代になったのか……という驚きだ。生まれ育った国と今、暮らしている国、そしてビジネスをする国が違う、という日本人は間違いなく増えていく。
「これからタイへ来ようとしている同世代に何かアドバイスをもらえないか」。そう切り出すと、実行委員の弘畠夕子さんはこんな話をしてくれた。
「3年は腰を据えて事業をやる覚悟と、つねにリスクヘッジを考えること。これから進出する方にお伝えしたいのはこの2つです。バンコクで会計?財務?会社設立法務などを行い、さまざまな企業をお手伝いしてきましたが、現地採用の人にすべてを任せて失敗するケースも見てきました。本人がこちらに来るとうまくいくことが多いように感じます」
可能性が大きい一方で、ここは異国。当然、想定外のリスクも起こる。ここに集まって来た起業家の多くが持つ、大きな失敗談。「今だからこそ笑って話せるけれど……」、そんな話は星の数ほどある。もちろん、笑って話す前に日本に戻ることになった起業家もたくさんいるのだ。
さらに、次の5年、10年を戦っていくうえで必要なのは、大成功者のロールモデルだろう。現在、“和僑”と呼ばれている人たちは、ひとつの国、ひとつの事業で成功を収めている起業家が多い。日本と上海で複数の会社を経営する佐藤良雄さんは、若手起業家への期待も込めて、こう語る。
「厳しい言い方をすれば、“和僑”として大成功した人は、まだいないのではないか。日本人の多くが名前を知っているような、ユニクロの柳井さんや楽天の三木谷さんレベルの起業家が出てこないと、大成功とは言えない。
現在の和僑会は、日本で言うと中小企業の社長が集まるネットワークになっている。ここから抜け出すことで、“和僑”は本当の意味で“華僑”に対抗できるようになるはずだ」
外務省によると、アジア地域で暮らす日本人は増加の一途をたどり、今では34万人を超えている。日本国内の人口は減少していく一方、海外で働く日本人が増え続けることは間違いない。これからの10年が勝負だ。そんな声があちこちから聞こえて来た。“華僑”に対抗できるような“和僑”ネットワークは、どこまで強固な広がりを見せられるか。
藤村 美里
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