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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131205/dms1312050726002-n1.htm
2013.12.05 「日本」の解き方
総務省が11月29日に発表した10月の全国消費者物価指数(CPI)によれば、生鮮食品を除くコアCPI上昇率(前年同月比)は0・9%で5カ月連続のプラスだった。また、食料とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率は0・3%で、2008年10月以来5年ぶりにプラスとなった。
これについてメディアの扱いはまったく平板的だった。コアCPIとコアコアCPIの差をもって、「円安を背景に電気代やガソリンなどエネルギー価格が上昇した」とし、コアコアCPIでは「傷害保険料や外国パック旅行、家電製品で下げ止まりや上昇の動きがあった」と説明している。
こうした描写は発表された統計を見れば書いてあるので、何の付加価値もない報道である。役所の担当者のブリーフ通りに書いても、何が上がった何が下がったかなどという「滑った転んだ」のたぐいの表層的な話になってしまう。個々の価格の動きの背景に何があるのかを書く必要があるのだが、統計の担当は入社間もない若い記者が担当することが多いので、深掘りのないつまらないものが多くなるのだろうか。
本コラムの読者であれば、日銀がマネタリーベース(中央銀行が供給する通貨)を増やすと、その後に予想インフレ率が高まり、それが実質金利を下げて、その後に民間経済の消費、投資、輸出を押し上げて景気回復、物価、賃金の上昇が起こるということをご存じだろう。株高、円安はこうした過程の副産物である。
実際、アベノミクスでこれらが起こっている。13年7〜9月期のGDP(国内総生産)1次速報では、政権交代前の12年10〜12月期と比較して、実質GDPで13兆円増加している。その内訳を民間消費、民間投資、公的消費、公的投資、純輸出に分解して、それぞれの割合を見ると、36%、20%、8%、26%、10%となる。
民間消費、民間投資、純輸出が金融政策の効果、公的消費、公的投資が財政政策の効果とすれば、政権交代以降の実質GDPの増加のうち、金融政策によるものが66%、財政政策によるものが34%となる。こうした景気回復が物価を押し上げているので、最近の物価上昇は、金融政策で3分の2、財政政策で3分の1という説明ができることとなる。財政政策によって誘発された民間消費や投資もあるかもしれないが、それを勘案しても、少なくとも金融政策による効果が半分以上であろう。
このまま、金融政策と財政政策を継続すれば、すんなりとデフレ脱却までいくかもしれない。しかし、来年4月以降は消費税増税がある。これは民間経済にダメージを与える。これまで一定の景気押し上げ効果のあった財政政策がバックギアに入り、景気押し下げ効果に転じるのだ。
来年度の実質GDP成長率は、政府・日銀は1%強だが、民間シンクタンクは0・5〜1%程度だ。民間の見通しが正しければ、GDPギャップはせいぜいゼロ近辺なので、物価上昇の流れは止まる。となるとデフレ脱却に近づきそうで近づけない、または逆戻りというすっきりしない見通しだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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