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各メガバンクは国債リスクと隣合わせだ
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131204/ecn1312040732004-n1.htm
2013.12.04 森岡英樹の金融スクープ
ドイツ連銀のバイトマン総裁は11月25日、「国債への優遇措置をやめるべきだ。そうなれば金融安定化に寄与する」との見解を示した。
この発言に呼応するように欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は、CNBCテレビのインタビューで、銀行の自己資本比率算定の上でリスクウエートをゼロとしている国債についてこう述べた。
「特定資産のリスクを事前にゼロとする理由はない。これは重要な議論だが、欧州ではなくバーゼルの銀行監督委員会の議論とすべきだ」
国債は国が発行体であるということで、これまでリスクフリーの資産として認識されてきた。現在の銀行自己資本規制「バーゼルIII」でも、国債のリスクウエートはゼロのままである。しかし、南欧諸国の財政危機を経たいま、「果たして国債はリスクフリーのままでよいのか」というのがECBなどの問題意識ということであろう。
国債がリスクフリー資産から滑り落ち、他の金融商品と同列のリスク資産とみなされ、一定のリスクウエートが課された場合、どうなるか。最も大きな影響を受けるのは、いまやGDPの2倍を超す財政赤字を抱える日本であり、国債を大量に保有する日本の銀行に波及する。
財務省は11月8日、「国の借金」が9月末時点で1011兆1785億円に達したと発表した。国債が839兆6096億円、一時的な資金不足を補う政府短期証券が116兆9683億などで、「国民1人当たり約794万円を抱える計算になる」(財務省関係者)という。
利払い費は、日銀の異次元緩和により長期金利が過去最低水準まで低下していることから当面、危機は顕在化しそうにない。しかし、異次元緩和が終了する2年後はどうなるのか。物価上昇率(インフレ率)が2%に乗せた世界は未知数だ。
そうした中、財務省OBで、IMF(国際通貨基金)の副専務理事を務めた元財務官の加藤隆俊氏は、米通信社のインタビューで、ギリシャを大幅に上回る規模の日本の国債市場が危機に陥れば、IMFを含めて「誰も助けたくても助けられない」と警告を発した。
加藤氏は、海外当局・有識者の間でも日本をめぐる関心事は国債だと指摘した上で、「今は問題ないが、インフレ率が2%になれば、政府は利払い費が膨らみ、保有者はかなりの規模で評価損を被る。万が一、当局が事態をコントロールできなくなると、影響は全世界に波及しかねない」と懸念を示した。
国債を大量保有する日本の銀行は、金利上昇リスクを回避するため、国債の残高を減らし、デュレーション(償還までの残存期間)を短くしている。あるメガバンク首脳は11月の決算発表時に「(保有国債の)デュレーションはいま2・2年だが、3年以内なら長期金利の上昇にも対応可能だと思う」と指摘した。だが、国債がリスク資産と認識されれば全ての前提は崩れる。阿鼻叫喚の世界となりかねない。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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