http://www.asyura2.com/13/hasan84/msg/254.html
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自分のところの事業分野である新聞や書籍への軽減税率の適用を求めている朝日新聞社が、中小企業向け支援というダシに使った醜い宣伝工作を行っている。
「中小企業9割「賃上げできず」軽減税率必要?〈週刊朝日〉」
http://www.asyura2.com/13/hasan84/msg/249.html
【引用】
「生活必需品などの増税は低所得者層に大きな打撃となるため、本来の税率より低い「軽減税率」導入のための議論が行われている。この軽減税率、消費者だけではなく、中小企業への配慮からも導入すべきだとする意見がある」
「中小企業の社員は賃上げを期待できない、うえに、軽減税率が導入されないなら増税がそのまま生活を直撃してしまう。日本では雇用の約7割を中小企業が占めている。負担軽減の支援がなければ消費が落ち込み、せっかく上向きかけた景気も腰折れとなりかねない。
「景気回復を軌道に乗せることを最優先すべきで、軽減税率など消費者の心理が冷え込まないような政策をとらなければならないのです」(友田本部長) 」
【コメント】
「週刊朝日」の幹部編集者は、消費税の内実や軽減税率の論理を承知のうえで、軽減税率の導入が中小企業を助けるものであるかのように説明することで、軽減税率制度導入を正当化し推進しようとしている。
記事は、白々しく「軽減税率、消費者だけではなく、中小企業への配慮からも導入すべきだとする意見がある」と書いているが、消費税やその軽減税率制度についてまともな説明をすることなく、政府やメディアが語感や生じる軽減税率のイメージをそのままにしておくことで、錯覚してしまった消費者が“軽減税率を導入して欲しい”と思っているだけの話である。
まず、消費税(付加価値税)は事業者が負担する税だから、食料や新聞といった特定商品に対する軽減税率”というのはありえない。
“軽減税率”という呼称は、特定の商品を事業対象とする事業者に対する消費税負担軽減策をごまかすための“別表現”でしかない。
輸出免税は、軽減税率の一種だが、それで消費者が得をするという話は聞かない。
それと同じように、食品や新聞を商う事業者に軽減税率を適用したからといって、食品価格や新聞購読料が安くなるわけではない。言えるのは、それらを商う事業者の消費税負担が軽くなる、多くの場合は“還付金”という「消費税益」を手にするということだけである。
自由主義経済国家では事業者の利益が制限されているわけでも保証されているわけでもないから、コストが下がったからといって販売価格が自動的に下がるわけではないのと同じように、コストの一部である税負担が変動したからといって、販売価格が自動的に変動するわけではない。
消費者が軽減税率適用の商品を安く買えるという保証はまったくないのである。低所得者の打撃を緩和するのなら、直接の給付しかない。
中小企業のために“軽減税率”を適用すべきと言うのなら、売上規模を基準に少ない事業者に適用する消費税の税率を低くするよう主張すべきである。
売上高1000万円以下の事業者は消費税非課税事業者を選択できるが、これこそが中小企業向け“軽減税率”の適用なのである。
※ 参照
「軽減税率で公明幹事長 品目や税率、年内決定を:低所得者対策はウソ、「輸出戻し税」と同じ消費税利得企業創設政策」
http://www.asyura2.com/13/senkyo155/msg/503.html
結論的に言えば、軽減税率制度を導入すれば、貧乏人も食料や新聞だけで生きているわけではないから、「低所得者層に大きな打撃」を与えることになる。
家計支出に占める食費の割合であるエンゲル係数は20%台(30%を超える家計は低所得者の可能性が大)と言われ、新聞は必需品でもないし家計支出に占める比率もたかがしれている。
家計の主要な支出項目である不動産賃貸は非課税取引だが、仕入で転嫁されたと考える消費税の転嫁はそれなりに行われている。
軽減税率制度が導入されれば、詰まるところ、輸出免税を含む軽減税率の適用がない事業を行っている事業者に消費税の負担が集中することとなり、一般税率の税率がぐんぐんアップすることになる。
欧州諸国の付加価値税の税率が20%前後まで上昇してきたのも、軽減税率制度があるせいなのである。
軽減税率は、輸出免税と同じ税収問題を孕んでいるので、付加価値税税率(一般税率)を上げるたびに、軽減税率制度絡みで“減収”が発生し、同じ税収を得るためには、一般税率をより高くしなければならなくなる。
自動車や家電製品を製造販売する企業は、消費税を1円も納付せず、逆に、輸出免税制度により還付を受ける企業がほとんどなので、自動車を買ったときに消費者が負担した気になっている消費税は1円も国庫に納まっていない。
このようなことから、消費税を負担するのは、もっぱら輸出比率がゼロか低い国内需要向け事業者ということになる。そのなかには、輸出企業に機械や部品などを納入する企業も含まれている。
軽減税率は言葉の響きとは違って、対象となった商品を商う事業者に付加価値税(消費税)の還付をもたらす異様な制度である。
仮に、消費税の一般税率が10%になった時点で、新聞に軽減税率5%が適用されると、新聞事業については消費税の還付が発生する。新聞社は、消費税の軽減どころか、消費税によって利益を手に入れるのである。
その利益は、消費税を負担している事業者からの移転であり、他の事業者の生き血を吸っていることを意味する。
軽減税率制度は、これまで輸出企業が得ていた“消費税特権者”の地位を他の事業者まで拡大するものであって、消費者なかんずく低所得者の経済的打撃を緩和するものではない。
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