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円安相場がそれほど長く続きそうにない理由
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20131201-00030248/
2013年12月1日 11時2分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
最近、円安に振れていますが‥円安によって株価が上がり、或いは企業収益が増大し、その結果、人々の表情が明るくなることは結構なことなのですが‥個人的には、1ドルが100円以上の円安になるのは何だかさびしい気がするのです。
円安を歓迎する人々にはボロクソに言われるかもしれませんが、自国通貨の価値が下がって喜ぶというのは、どこか間違っている気がするからです。もちろん、程度の問題であることは心得ていますが‥
それに、貿易赤字が拡大するなかで円安が進むというのは、幾ら円安が景気にプラスの効果をもたらすことが本当だとしても、少々不気味な気がします。
いずれにしても、このようなことを言うからには、私が円安に賭けている人間ではないということがお分かりでしょう。
ところで、ウォールストリートジャーナルが次のようなタイトルの記事を掲載していました。
「円安に賭ける投資家―年初の円下落局面再来か」(11月29日)
何故最近、円安に賭ける人々が増えているのか?
為替に詳しい人には説明の必要はないと思うのですが‥
(1)米連銀が現在行っている月850億ドルにも上る債券の購入措置を、そろそろ縮小する時期が近づいているとの見方が多くなっているから。
(2)日本においては、経済のテコ入れのためにさらなる緩和策が追加されるという見方が出てきているから。
如何でしょうか。確かに、今、そのような見方が大勢を占めているのは事実でしょう。
しかし、私は、今の円安相場がそれほど長く続くとは思わないのです。
何故か?
先ず、テーパリング、つまりQE3の縮小が決定されたとして、そうなった場合にマーケットにはどのようなインパクトを与えると思いますか?
これは、もう当然のことながら、織り込みずみの事実として扱われるでしょう。そうすると、そのような決定が行われたからといって、もはやドル高円安の理由にはなりにくいということなのです。
それに、日本におけるさらなる緩和策についてですが、一体そのようなものがあり得るのでしょうか?
それこそ、本当にヘリコプターからお金をばら撒くようなことがあり得るとすれば話は別ですが、常識的には、これ以上の緩和策はあり得ないでしょう。だって、あるのであれば、黒田氏が日銀総裁に就任したときに打ち出している筈なのです。
さらに、我々は、今後のインフレ動向が及ぼす影響に注意しなければいけません。
今後、インフレは進むのか?
そのインフレが、景気の良さを反映したいい意味でのインフレであっても、その反対に、単に円安などを反映したコストプッシュ型のインフレであるにしても、インフレが進めば進むほど、追加緩和どころか、日本においても出口戦略が意識され始めるでしょう。つまり、日本におけるテーパリングの時期が議論され始めるでしょう。
先日発表された物価統計においても、10月のインフレ率はコアコア・ベースでみて5年ぶりにプラスに転じたことが明らかになりました。
繰り返しますが、今起きているインフレが景気回復を反映したものであっても、そうではない余り歓迎されないインフレであっても関係はないのです。インフレになれば、必ず日本においてもテーパリングが意識され始めるでしょう。
さらに、4月から実施される消費税増税のインパクトを軽視してはいけません。国民は、消費税増税を織り込み済みだとは言え、しかし、実際に増税によって物価が上がり始めると、国民の不満が高まるのは必至。そうなれば、国民は、インフレを起こそうと躍起になっているアベノミクスに対し文句を言うでしょう。
どうなります?
雰囲気が大きく変わるのです。
今までは、何が何でもデフレからの脱却、つまい物価を引き上げることが先決だなどと言っておきながら、いざ物価が上がると、しかも、それが増税やアベノミクスのせいだということが国民に強く意識され始めると、何故国民を苦しめるのかという声が強くなるでしょう。
その結果、日本においてもテーパリングが議論をされ始めるようになる、と。
そんなことを考えていると、円安相場がそう長く続くとは思えないということなのです。
それでも円安が継続するとすれば、それは貿易赤字がさらに拡大することなどを理由とするものでしょうが‥そのような状況になれば、円安などどうして歓迎できると言うのでしょうか?
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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