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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 特区で進む勝ち組優遇
http://wjn.jp/article/detail/9539654/
週刊実話 2013年12月12日 特大号
アベノミクスの成長戦略の目玉である、国家戦略特区で実施される減税策が明らかになった。
報道によると、(1)政府が指定する成長業種への法人税率引き下げ、(2)特区計画で定めた事業を行うための設備投資や研究開発に対する減税、(3)都心部の高層マンション建設などで不動産取得税や登録免許税・固定資産税などを減税、(4)工場の機械や車両などの固定資産税を一定期間免除などの制度が提示されている。
減税策は、これから政府税調などで協議されるため確定したものではない。しかし、特区内に立地する企業に対して優遇策を講じる意味は、一体何があるのだろうか。
一般論で言うと、特区が持つ意味付けは三つある。一つは、社会実験だ。今までやったことのない政策をいきなり全国ベースで行うのは危険なので、地域を限定してまずやってみて、それでうまくいくようなら全国に広げようというものだ。ただ、このコンセプトは今回の特区には当てはまらない。法人税減税や研究開発投資減税などは、今まで幾度も行われてきた普通の経済対策だからだ。その効果は過去にいくらでも経験があるのだから、わざわざ実験をする必要もない。また、これが成功したからといって全国に広げる計画もないのだ。
特区が持つ二つ目の意味付けは、産業の集積だ。同業者が集積すると技術交流や分業、集客などで大きなメリットが発生する。大田区の金属加工業とか秋葉原の電気街をイメージするとわかりやすいだろう。しかし、今回の特区構想には具体的に何の業種を集積するのかという計画がない。
特区が持つ三つ目の意味付けは、地域振興だ。例えば、沖縄県には経済特区が設定されていて、進出企業は法人税が4割減額されるなどの優遇策を受けている。私は、沖縄が飛び抜けて大きな米軍基地の負担をしている現状を踏まえれば、優遇は当然のことだと思う。 今回の国家戦略特区も候補地として沖縄や北海道、新潟の名前が挙がってはいるが、その中心は東京、大阪、名古屋の都心部なのだ。すでに繁栄を謳歌している大都市を何故さらに税制優遇しなければならないのか。そこが、国家戦略特区の一番の問題点なのだ。
私は、国家戦略特区の本当の目的は、大企業や外資の優遇策だと思う。いま都心部に林立している高層ビル群を思い浮かべてほしい。そこに入居している企業は、大部分が大企業や外資系企業だ。特区が新設されて、新しいビルが建設されたとしても、そこに中小企業や地方企業が入居することは、およそ考えられない。賃料が坪5万円もするようなオフィスを借りられるような体力はないからだ。
そして、大企業や外資系企業を税制優遇する財源は、一般の企業や個人が支払う税金で賄われる。こんな不公平なことがあるだろうか。
私は、今回国家戦略特区の指定を受ける権利がある地域は、唯一福島県だと思う。国策である原子力発電に協力して、原発事故というひどい目に遭ったのだから、福島県の企業を優遇しても文句を言う人は少ないだろう。また、特区の新設で進出企業が増えれば、福島県の復興も進むし、地元の人の雇用も拡大する。ところが、今回の国家戦略特区の構想では、福島県の名前は一切出ていないのだ。
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