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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131201/dms1312010726003-n1.htm
2013.12.01 「日本」の解き方
10月31日に開かれた日銀の金融政策決定会合の議事要旨が公表された。興味深かったのは、最後の「採決」のところだ。金融政策調整方針については「マネタリーベースが年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」ことについて全員賛成だった。
ところが、「経済・物価情勢の展望」の「基本的見解」の文案について、白井さゆり審議委員、佐藤健裕審議委員、木内登英審議委員それぞれから、「インフレ目標2%の達成について下振れリスクがある」という趣旨の修正文が提案された。
それぞれの提案について、提案者以外は反対して否決されている。似たような趣旨であるが、3委員は自分の提案にはもちろん賛成だが、他の2人の提案には反対しているのはやや奇妙だ。
はっきりいえば、この3委員の行動はちょっと理解できない。もしインフレ目標の達成に懸念があるのであれば、文言の修正だけではなく、金融政策調整方針として何らかの提案をすべきである。具体的には、マネタリーベースの増加のペースを引き上げるなどの提案がないと、何のために政策決定会合で議論しているのかわからない。
3委員は調整方針について賛成なのだから、他の調整手段を主張しないと、経済評論家のようにただ文章の変更で言い訳しただけの無責任ということになってしまう。
議事要旨は誰がどのような発言をしたのかわからないが、どうも3委員は、今の政策をよくわかっていないのでないか。
例えば、議事要旨中に、「一人の委員は、物価が見通し通りに上昇するには、賃金、特に恒常的な所定内給与が上昇することが、(1)個人消費をより下支えするとともに(2)中長期的な予想物価上昇率を上昇させるうえで、非常に重要であると指摘した」という記述がある。
これは、賃金の上昇が予想インフレ率の上昇のために必要といっている。つまり、賃金の上昇が先、その後で予想物インフレ率の上昇が後になると思っているわけだ。
この委員は、おそらく経済学的な思考ができていない。何が原因で、その何カ月後に結果がでるという因果関係について、数式レベルで理解できていないようだ。
マネタリーベースを増やすと、通常半年後くらいに予想インフレ率が高まる。名目金利は日銀のオペのためあまり変化しないので、名目金利から予想インフレ率を引いた実質金利は下がることになる。
となると、消費、設備、輸出が半年後から1年半後くらいに増加する。そしてここまでくると、賃金が増加している。つまり、予想インフレ率の上昇のほうが、賃金の上昇より先に起こるのだ。この発言をした委員は、こうした金融政策の波及効果のメカニズムがまったくわかっていないようだ。
もし、日銀の手段だけではインフレ目標達成ができないという意見であるなら、政策決定会合に参加しても意味がないので、即刻委員を辞任すべきだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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