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コマツ、「超優良企業」に吹く逆風 鉱山機械がまさかの急落 挽回のカギはハイテク建機
http://toyokeizai.net/articles/-/24991
2013年11月30日 長瀧 菜摘 :東洋経済 記者
「屈辱だ。3年連続の下方修正になってしまった」
建設機械大手、コマツの藤塚主夫CFOはがっくりと肩を落とす。
コマツは10月末、2014年3月期の業績予想を下方修正、営業利益を950億円減額し、前期比4割強の増益予想から一転、微減益にとどまるとした(上図)。円安によるカサ上げ効果を除くと、実質的には18%もの営業減益に落ち込む。
勝ち組と目されていたコマツの下方修正だけに「誰も予想していなかった事態」(業界アナリスト)と市場関係者は一様にショックを隠せない。株価も急落した。
コマツにとって大きな誤算になったのは、鉱山機械需要の失速だ。
中国景気の減速で石炭など資源価格が低迷、アジア、オセアニア、中南米で需要が軒並み落ち込んだ。さらにコマツにとってボリュームの大きいインドネシアでは、急激な現地通貨安も追い打ちとなった。
コマツは当初、下期からは各地で建機への投資が徐々に戻ると見ていたものの、足元でも回復の兆しは見られないという。これを踏まえ、13年度の全世界での鉱山機械需要見通しを、前期比25%減から50%減へ引き下げた(下図)。
鉱山機械市場は、世界的な資源需要の増大とともに05年ごろから飛躍的に拡大し、さながらバブルの様相を呈した。コマツは業界内でも早くから鉱山分野に目をつけ、00年代初頭から開発を強化した。08年には自動走行する無人ダンプトラックを世界で初めて実用化、採掘コストの低減や安全性向上などを武器に存在感を高め、現在では、米キャタピラーとともに鉱山機械市場を寡占。前期には建機売上高の約3割を鉱山機械が占めるまでになっていた。
回復予想が一転、横ばいに
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需要は前年の半分に落ち込む見通し
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■市場構造が大きく変化 強みの予測力が通じず
今回、コマツが需要減退を見抜けなかった背景には、鉱山機械の主な買い手が、先進国の資源会社から、新興国の現地資本に移ったということもある。
先進国企業は、多少、資源市況が悪化しても、機械の稼働に応じて一定の更新投資を行うが、新興国企業は、ひとたび収益環境が低迷すると、新たな機械の購入を極限まで手控える傾向が強い。
コマツを最も悩ませるインドネシアは、石炭生産量は足元でも前年比でプラスに推移している。にもかかわらず、現地企業の建機への投資意欲は戻る気配がない。
そもそもコマツは、需要予測の精密さでは業界内で一目置かれる存在だった。GPSと衛星通信を活用し、全世界のコマツ機の位置情報や稼働状況をリアルタイムで把握する独自システムを持ち、01年からは全建機に標準装備している。資源価格や資源会社の生産計画に加え、機械の稼働状況など新たな指標を構築し、需要予測の精度を高めてきた。
ただ今回、全世界的に稼働は高水準なのに、建機に対する投資が落ち続けるという、かつてない状況の前に、なすすべがなかった。
藤塚CFOは「新興国プレーヤーが増え、業績予想を立てづらくなった」と嘆く。
コマツを牽引してきた鉱山機械市場だが、その回復は緩慢そうだ。IMF(国際通貨基金)の予測によれば、石炭価格は15年まで緩やかに下降し、その後も横ばいが続く見通しだ。エネルギー・資源市況に詳しい新村直弘マーケット・リスク・アドバイザリー代表は、「鉱山機械需要は、多少上向くことはあっても、10年程度先まで(回復の)動きは鈍いだろう」と分析する。
大橋徹二社長は「コスト競争力の高い鉱山からは、無人ダンプトラック運行システムのような高付加価値製品の引き合いは強い」と言うものの、これまでのような鉱山機械バブルはもはや当てにできない。
■ハイテク建機で先行 再成長へのカギに
こうした逆風の中、コマツが今後の収益柱として力を入れるのが、情報通信技術(ICT)を活用した次世代ハイテク建機だ(写真)。
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たとえば、前後進するだけで掘削工程から仕上げまでを自動で行えるICTブルドーザーを世界で初めて開発、6月に北米で販売を開始した。ブルドーザーは建機の中でも操作が難しく、操縦員不足が深刻な先進国での自動化ニーズは高い。北米ではICT建機が届くや否や売れていく状態が続く。コマツは北米向けのブルドーザーを15年度までにすべてICT機にすることを目指す。
日本でも国がブルドーザー工事などの情報化推進を掲げ、建機のICT化の土壌ができつつある。コマツは、北海道、東北を皮切りに、ICT建機のレンタルを始めた。
まだ緒に就いたばかりのICT建機だが、可能性は大きい。ICT建機の単価は通常の建機の1.4倍程度と高く、採算もよい。飽和する先進国での建機需要掘り起こしも期待できる。
鉱山機械の復調に加え、世界に先駆けたICT建機の成長がコマツ復活のカギとなりそうだ。
(週刊東洋経済2013年11月30日号)
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