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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131128/ecn1311280735001-n1.htm
2013.11.28 経済快説
120兆円を超える公的年金の積立金は通称GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によって運用されているが、その運用方針の見直しが進んでいる。伊藤隆敏東京大学教授が座長を務める政府の有識者会議は、20日に検討の報告書を発表した。
もともとGPIFの運用は有識者を集めた運用委員会の検討を踏まえて行われているので、有識者の2枚重ねだ。もっとも、GPIFの運用方針は誤りに満ちた薄っぺらなものなので、2枚重ねでも、年金の将来は寒い。
今回の答申では、現在運用資産の約6割を占める国内債券への投資を減らし、株式投資や外貨建て資産への投資の比率を増やすこと、資本利用効率が高く収益が大きい企業を集めた「JPX日経400」という新しい株式指数での運用を検討すること、インフラに投資するファンドやプライベート・エクイティ(未上場会社の株式)への投資を検討することなどが盛り込まれている。
GPIFの運用見直しを行うことはいい。筆者も必要だと思う。しかし、危うい点が少なくとも4つある。
そもそも公的年金の財政状態の検証と、日本経済の将来に関する検討作業が不十分だ。経済に関して、将来の正確な予測など不可能に決まっている。不可能の度合いをどう織り込んで、現実的な運用計画を作るかが重要なのだ。
毎度のことだが、今回の検討でも、「運用がうまくいかなかった場合に想定される損失額とその影響」といった、責任を持った運用なら必ず必要な検討が行われていない。
日本の公的年金運用の根本問題は、運用を検討する前提条件に無理や甘さがあることなのだ。
根本的な検討を避けつつ、「このようなやり方もある」といった程度の話を具申する有識者には、運用の専門家としての良心は感じられない。分からないなら、「私には無理だ」と言えばいいのに。
JPX日経400への投資もセンスが悪い。ROE(自己資本利益率)が高い銘柄は、既に市場で高く評価されていて、PBR(株価純資産倍率)の高い銘柄が多い。宣伝にはなっても、投資として有望とは言い難い、頭の悪い運用だ。
また、インフラ投資やプライベート・エクイティへの投資は、投資対象が曖昧で先端的な投資であり、現段階では、公的年金運用になじまない。運用の手数料が高くなるし、公的年金資金が、怪しいビジネスマンや、それらと癒着した官僚のカモにされる可能性が十分ある。
また、株式を買うことは、今の運用としては悪くないかもしれないが、公的年金資金が株価対策に流用されるのは問題だし、公的年金が民間企業の大株主となることも望ましくない。 (経済評論家・山崎元)
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