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黒田総裁がドラギ氏へ近づくにはさらなる“バズーカ”が必要か
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131127/ecn1311270726004-n1.htm
2013.11.27
財政破綻の危機にひんした欧州のPIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインの頭文字を取った略称)。その欧州に世界の資金が急激に集まり始めている。9月中旬以降、ギリシャの株価指数は18%、イタリア8%、スペインも8%以上上昇した(それぞれ10月末時点)。背景にあるのは欧州中央銀行(ECB)によるPIGS国債の無制限購入と、LTROと呼ばれる長期資金供給オペだ。中心人物がECBのマリオ・ドラギ総裁で、「ドラギマジック」と称されている。
一方、日本では日銀の黒田東彦(はるひこ)日総裁の異次元緩和が注目されたが、4月の発動から息切れの感が指摘され始めている。株価の膠着(こうちゃく)がその要因で、市場では4月の消費増税に伴い景気の減退を回避するため、日銀はさらなる金融緩和に踏み込むともっぱら。黒田総裁は果たして「ドラギ」になれるのか。
財務省が20日に発表した10月の貿易統計(速報値、通関ベース)は衝撃的だった。輸出額から輸入学を差し引いた貿易収支は1兆907億円の赤字だった。10月としては過去最大の赤字幅。これで貿易赤字は16カ月連続となり、比較可能な1979年以降で最長を更新した。
今年度上期の貿易収支は半期ベースで過去最大の約5兆円の赤字に落ち込んでいる。原発の再稼働が進展しない中、石油・ガスなどエネルギーの輸入増加が主因だが、期待された円安による輸出増も思うほど伸びていない。品目では自動車の輸出は伸びたものの、一般機械や電気機器の伸びは芳しくないのが実情だ。
アベノミクスでは円安で日本の輸出企業の価格競争力が高まり、輸出が増加し、関連する設備投資が活発化するシナリオが描かれていた。しかし、効果はまだ目に見える形で現れていない。円安の総本山である日銀は「今年度後半にはJカーブ効果が現れ、貿易収支も改善に向かう」としているが、実現性に疑問を投げかけるエコノミストも少なくない。
「Jカーブ効果」とは、円の下落で輸入価格が上昇し、輸出代金は減少して貿易収支は一時的に悪化するが、半年から1年後には円安効果で輸出が増加し、貿易収支が改善するというものである。しかし、円安が進行して久しい。4月の日銀の異次元緩和からも半年が経過したもののJカーブ効果は顕在化していない。それだけに、1兆円を超す10月の貿易赤字に政府関係者はショックを隠せない。
円安で輸出企業の業績は改善傾向にはある。株価も上昇基調だが、「実態は円安というよりも異常な円高の修正による業績回復で、株価上昇も米国の金融緩和の継続に負うところが大きい」(エコノミスト)との指摘には説得力がある。
黒田日銀の異次元緩和で、日本はやっと欧米の金融緩和レースに並んだに過ぎない。アベノミクスの勝負はこれからで、成長戦略とともに、もう一段の金融緩和が模索される可能性が高い。黒田総裁が「ドラギ」になるのはそれからだ。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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