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産業別の競争力に格差 実質実効為替レートで鮮明
車はコスト削減が寄与
2013/9/23 2:00
物価水準の違いを調整した為替水準「実質実効為替レート」で、日本円は約30年ぶりの安値をつけた。だが、産業別にみると風景は大きく違う。自動車など輸送用機械は競争力が伸びているが、電気機械産業は韓国との競争で苦戦――。産業別の実質レートという新指標を使うと、産業ごとの国際競争力の差が浮かび上がる。(松尾洋平)
産業別の実質実効為替レートは、自動車や機械産業などそれぞれの生産コストの違いを加味した為替レートだ。仮に名目レートが変わらなくても、生産コストが下がれば実質レートが安くなる。その分、為替安になったのと同じように、輸出競争力が高くなる。
韓国と日本の実質為替レートを比べると、日本の強い産業と弱い産業が浮き彫りになる。一例が電子デバイスなどの電気機械産業だ。日本は2000年代半ばの円安の時期に、電機産業が十分にコスト競争力を高めなかった。特にシャープなどが需要を見誤り過剰な投資に踏み切り、結果的に実質レートはそれほど安くならなかった。
これに対し、韓国のサムスン電子などは08年のリーマン・ショック前のウォン高局面で大幅に生産性を高め、実質レートを安くできた。日本はリーマン後に遅れを取り戻そうとリストラを進めたものの、韓国勢との差をなお埋められずにいる。
一方で自動車など輸送用機械の場合、日本の優位性が目立つ。リーマン後の円高期に日本の自動車メーカーはコスト削減を進め、実質レートを円安にできた。その結果、名目レートが円安の足元の局面でも、実質レート安による輸出増→収益増という恩恵をより受けやすくなっている。対する韓国メーカーはコスト削減の動きが限定的で、競争力の大半が名目レートで決まっている。
法人企業統計の4〜6月期の売上高経常利益率をみると、輸送用機械は11%と高い水準を達成したが、電機は4.4%にとどまった。
電機産業は液晶テレビや半導体など汎用化(コモディティー化)が激しく、価格下落の大きな商品を抱えている。日本勢が技術革新をしても海外勢がすぐに追い上げるため、コスト競争力で優位に立つのは難しい。一方で、自動車は多くの部品でつくられ、複雑な製造工程から外国勢は簡単にはまねしづらい。こうした背景が産業別の実質為替レートに反映されている面もある。
通貨安の局面では輸出競争力が高くなったと錯覚しがちだが、新商品開発やコスト削減の努力を怠れば、逆に通貨が高くなった時に大きなツケが生じる。日本企業は円安で収益を高める今のうちに、手にした利益を次世代に向けた研究開発や効率的な設備、人材育成などに投資することが、為替相場に左右されない息の長い成長の源となる。
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