02. 2013年11月26日 10:33:41
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【第21回】 2013年11月26日 吉田典史 [ジャーナリスト] 天下りおじさんと子育て女子会に人生を搾取される! 低賃金・重労働のテレビ下請けでもがく40代独身女性 「期待されている」のではなく 「利用されている」のでしかない派遣女性 今回は、女性の社会進出が進む職場に深く根を張る、表には出て来にくい「悶えの構造」に焦点を当てよう。取材で話を聞いた女性の名前を、仮にAさんとする。 Aさんは、放送局の翻訳部門に派遣される派遣社員である。42歳で独身、仕事はできる。20代の頃から懸命にキャリアを積み重ねてきたが、気がつくと同世代の女性の多くは結婚し、子どもがいる。 翻訳の職場には派遣社員が10人近くいるが、その多くは育児をしながら働く女性たち。Aさんはその同僚たちから利用され、さらには上司たちからも利用され尽くしていると嘆く。Aさんが働く他の部署の数人の社員からも事情を聞いたが、決して被害者意識が強い人ではないようだ。 企業の職場で女性の活躍の場が増えていると言われるが、その実は、まだまだ男性上位の職場が多い。優秀でありながら権限を与えられにくい女性で、特に独身者の場合は、「便利な人」として理不尽な扱われ方をされるケースがあり得る。 女性の職場進出を考える上で、本来は優秀な女性たちの待遇をもっとよくすることが議論されるべきであると思う。筆者は、そのような問題提起を含めて取材を試みた。男性読者諸氏にとっても、思い当たるフシはないだろうか。 筆者 「職場や上司に利用されている」とは、どのような状況を意味するのですか。 Aさん 私が本来しなくてもいい仕事までさせられる。たとえば、他の派遣社員の仕事もするし、正社員の管理職がするべきことまでせざるを得ない。 筆者 「期待されているから」と受け止めることは、できないのでしょうか。 Aさん それは、あまりにも現実離れした考えだと思う。大量に仕事を抱え込み、よれよれになり、消化したところで、正社員になれたり管理職になれるわけではない。そもそも、派遣社員でしかないから……。これは「期待されている」のではなく、「利用されている」のでしかないと思う。 いくら頑張っても賃金は増えない! 海外番組の翻訳を行う下請け部署 取材は東京・代々木で行われた 筆者 賃金などの扱いは、どうなっていますか。
Aさん 毎月の給与の額は増えない。この5〜6年はずっと据え置き。放送局から、派遣会社に発注する額は、予め決まっているの。決まりがあり、それに基づいて、私のところへ振り込まれる。 私の頑張りとは無関係のところで、給与は決まっている。放送局から派遣会社への発注額が減っているのに、派遣社員たちの給与が上がるということは、あまりないと思う。 筆者 放送局は、優秀な派遣社員を正社員に登用していないのでしょうか。 Aさん あまりしていないと思う。今は新卒も中途も、局の正社員の数を減らしているから、派遣社員からはなかなか正社員になれない。他の局で正社員として大活躍したような人しか、中途試験を突破できないと聞いたことがある。 前の部長(現在は他部署へ異動)は、「君を正社員にしてもいいよ」と言っていたけど、私に仕事を丸投げする体制を暗に認めていた。「利用していた」だけだと思う。 筆者 現在やっている仕事の内容を、具体的に教えてもらえますか。 Aさん 海外の放送局から、ドキュメンタリー番組などを買い付ける。私がするわけじゃないけど、ある部署があって、そこで専門にしている。買い付けをすると、今度は日本語に翻訳をしないといけないでしょう? その翻訳を、私たち8人くらいの派遣社員で対応しているの。私がそのリーダーのような扱い。でも役職はない。 映像の翻訳は、プリントメディア(活字)のそれとは違うと思う。まずは、海外で放送された番組を聞いて、ナレーションの部分を中心に訳す。それを映像を観ながら、調整するわけ。 たとえば、「この部分は日本語の文字数が多いから、削ろう」「日本語にする場合には、こういう表現のほうがわかりやすい」といったように書き直しをしたりする。聞き言葉と書き言葉の扱いは、違うからね。 筆者 30分の番組を翻訳するのに、どのくらいの時間がかかりますか。 Aさん 経験が10年くらいならば、2〜3日あればできるとは思う。1週間もかける人は、ここにはいない。私たち派遣社員は、英語がある程度はできるから。TOEICで言えば、8人の平均点はたぶん850点くらいはあると思う。私は900点を超えているけど。 海外からの帰国子女が多いね。8人のうち、半分は10代の頃に海外で数年間は生活した人たち。10年以上、向こうにいた人もいるよ。話し合うとき、時折英語を使うことがある。そのほうが、意思疎通がスムーズになるから。 派遣切りで仕事量は以前の3割増に 正社員は天下りのおじさんが1人だけ 筆者 仕事の量はどうでしょうか。 Aさん 私は、2002〜03年頃に派遣会社に登録し、この局の翻訳部署に派遣され始めた。その頃と比べて仕事の量は、1.3倍ぐらいに増えている。08年秋のリーマンショック以降、派遣社員が数人、いなくなった。リストラね……。だけど、仕事の量は減らない。だから、各々の派遣社員の仕事は相対的に増えているんだと思う。 残業代はほとんどない。締め切りに間に合わないような場合は、家で翻訳をすることもある。そんな時間外手当は一切、もらえない。そもそも申請もしないけど……。 筆者 その翻訳をする部署には、正社員はいないのですか。 Aさん 1人いる。全然、使えない人……(苦笑)。その男の人が一応は管理職で、部署の責任者。その下に、私たちがいる体制。役職は部長なのかな……。ただし、あの人は正社員とは言いつつも、関連会社の正社員でしかない。 30年以上も前に、この放送局に正社員のディレクターとして入り、報道番組をつくっていたみたい。50代半ばに「定年」のような扱いになり、その後は関連会社に転籍。 噂では、親会社である放送局にいる頃、退職時の年収は1800万円だったのが、関連会社に移って800万円ほどになったみたい。それでも、世間相場から見れば高いよね? 私たち派遣社員は、額面400〜600万円台が多いんだから。しかも、額面は毎年据え置き。 テレビ局正社員の異常に高い給与を 維持するために、派遣社員がいるの 筆者 放送局の正社員が、なぜその翻訳の部署にいないのでしょうか。 Aさん あんなに給与の高い人たちがするような仕事では、ないからじゃない? そもそも海外の番組を流すチャンネルは、開局当初の1990年代半ばから、スタッフは非正社員が多いから。正社員で対応しようとしても、英語がさほどできるわけではないから、無理よ。海外の番組に関わるならば、英語はある程度はできないといけない。 筆者 親会社の放送局は、関連会社と派遣社員を使うことで、コストコントロールをしているのでしょうね。 Aさん 関連会社が仕切り、たった1人使えないおっさんを翻訳の部署に送り込む。それで、名ばかりの管理職をさせておく。書類に印鑑を押すだけの仕事しかしない。あとは椅子に座り、うたたねをしている。翻訳の実作業は、派遣社員で対応する、というからくり。 放送局の正社員の、異常に高い給与を維持するために関連会社があり、私たちのような派遣社員がいるわけ。 筆者 なるほど(苦笑)。 Aさん あのおっさんも、事実上の「天下り」みたいなもの。年収800万円ももらい、何もしない。翻訳なんてできるわけがない。英語ができないんだから。だけど、派遣社員だけの部署にすると、組織が動かない。だから、「名ばかり管理職」として置いてあるみたい。 筆者 あえて「派遣社員だけの部署にすると、組織が動かない」ようにしているのでしょうね。親会社である放送局としては、関連会社の、その名ばかり管理職のポストを今後も「天下り先」として維持したいでしょうから。 同僚の「女子会」に食い物にされ 子育てを理由に仕事を押し付けられる Aさん だけど、こういうからくりは私としては仕方がないと受け止めている。派遣社員って、だいたいこんな扱いしか受けていないから。問題は、他の派遣社員の人たちの分まで、働かざるを得ないということ。 筆者 どういうことですか? Aさん 結局、私たち派遣社員がみんな女なの。それで、席を置く派遣会社も2人を除いて同じ。だからなれ合いというか、「女子会」みたいになっているの。 たとえば、ある人は自分が子育てなどで忙しいと、その仕事をしない。それが、私のところに回ってくる。締め切りに追われるから、「仕方がないか」という思いで私もしている。そんな仕事をしても、誰からも感謝をされないけどね。 本来は、管理職がきちんと仕切らないといけない。「この女の人にはこういう仕事を」「この女の人はこれをさせよう」というように。それが管理職でしょう? だけど、唯一の管理職であるはずのあのおっさんが、翻訳のことをパーフェクトに理解していない。だから、何をどのように仕切ればいいのかも心得ていない。それでも、年収800万円だからね。 「あの人になら何もしてもいいのよ」 40代独身女性が貧乏くじをひく構造 筆者 大企業では、よく見かけるパターンでしょうね(苦笑)。 Aさん 結局おっさんも、他の派遣社員も、困ったことがあると私に押し付けるの。私が翻訳の仕事に関わるキャリアがいちばん長いし、この局に派遣されてからの年数もいちばん長い。辞めて行く派遣社員もいるしね。私が貧乏くじをひく構造があるの。 そして、私が40歳を超えても独身ということもあると思う。他の派遣の人は、みんな結婚しているから。もう1人が独身だけど、30歳前後だから……。こういう無責任な人が集まる職場では、いつまでも独身をしていると、「あの人はフリーだから、仕事を任せてもいいはず」という空気が、職場にできるわけ。 本当は、私にもプライベートでするべきことはたくさんある。だけど、40代になって独身で、仕事が多少できると、いいように使われる。それが悔しい。 筆者 他の派遣社員からも、仕事を押し付けられるのですか。 Aさん 直接は私に言わない。「(翻訳の仕事を)できない、できない」「どうしよう〜〜」と言っていると、おっさんが「〇〇さん(Aさん)に手伝ってもらえよ」と言うわけ。 そうすると、その派遣社員が「(仕事を任せて)いい?」と聞いてくるわけ。女子会のノリの職場だから、私も「あなたがやりなさいよ!」とは言えないの。 女子会の職場で、育児をする人が半数以上を占めると、それが空気になるの。私なんかは、肩身が狭くなる気がする。本当は、肩身が狭くなるべきは、仕事をしようとしない、あの人たちだとは思う。だけど、女子会って、そんなまっとうな論理が通用しないから。 ここの派遣社員は、要領よく立ち回っているのかもしれない。私の前では、ご機嫌を取るようなことを言う。だけど、おっさんの前では媚びる。双方の間の空気を察知し、自らを使い分けている気がする。 筆者 ……(苦笑)。 Aさん 本当に苦しんでいるの。仕事がどんどん押し寄せる。給料は上がらないし、権限を与えられることもない。それでいて、いつ(契約を)切られるかもわからない。この年になって、次の職場がすんなり見つかると思う? なかなかないよね? 私も女だから、周囲が結婚し、子育てのことを話していると、思うことはあるの。周りが自分に気を使っていることも、察知することがある。私としては、自分の仕事に気を遣ってほしい。時間内で翻訳作業を終えるように、もっと周囲に努力をしてほしい。 私は20代頃から、仕事を次々と消化することに追われ、将来のことを考える余裕もあまりなかった。それで気がつくと、40代前半になっていた。もともと大学を卒業した頃、翻訳会社に入ったのが、キャリアメイクをする上で誤りだったのかな。 威張る上司や媚びる部下の厚い壁 「たぶん悶えているんだろうね、私は」 筆者 仕事ができる女性で、40代になって独身のままでいると、いいように使われる傾向はありますね。自分が会社員の頃を振り返っても、取材先の会社でそのようなタイプの人がいるケースは少なくなかった。 女性の社会進出を考える際、優先順位としては、そのようなタイプの女性を「解放」することだと思いますね。 Aさん 解放? 筆者 ええ、そうです。男性社会で威張る男性管理職や、そうした人に媚びて上手く立ち回る女性社員らにこき使われ、搾取されているような、40〜50代で独身で、優秀でありながらも、処遇や待遇がよくない女性たちです。たとえば、Aさんみたいな人でしょう。 Aさん 育児をしながら働く人だけのことを考えるのが、「女性対策」ではないと思う。だけど、こういうことをみんな、あまり言わないよね。自分の職場が「悶える職場」であるのかは、わからないけど、私は自分がいいように利用されていることに悔しいものがあるの。 40代で独身だから……というだけで、軽く扱われている。私のひがみだけではないように思う。たぶん、悶えているんだろうね、私は……。 踏みにじられた人々の 崩壊と再生 今回の事例には、「女性の社会進出」を考える上で避けて通れない問題が凝縮されているように思う。たとえば経費を削減しようと、親会社が子会社である関連会社に仕事を発注する。それを親会社から天下りしてきた男性が、管理職としてマネジメントらしきことを行う。 実務は非正規社員が行う。当然、その賃金は親会社の正社員のものに遠く及ばない。特に女性の派遣社員などは、いいように使われる傾向がある。 ここで公平な管理、たとえば仕事の分配などが適切に行われているならば、働く側からすると、多少は救われるのかもしれない。しかし今回のAさんのように、他の派遣社員などよりもはるかに優秀である場合は、大量の仕事が与えられることがある。 働く側は、そこに理不尽さや無念、怒りなどを感じるだろう。つまりは、「正直者がバカを見る」構造なのである。賃金が増えることもなく、権限も与えられないならば、当然の怒りではないだろうか。 この「歪んだからくり」は、筆者が文献などで調べる限りでは、1960年代の初頭には、すでに小売業界や金融機関などで見られる。加速度を増すように浸透したのは、ここ十数年ではないだろうか。 今回のAさんが「いいように使われている」と捉えるか否かは、それぞれの読者の判断によって異なるとは思う。しかし筆者は、まぎれもなく「いいように使われている」のだと思う。少なくとも、Aさんが働きに見合った待遇を受けているとは考えられない。 たとえばAさんは、他の派遣社員を束ねる役割をしており、仕事の量が多く、質も高く、組織に大きく貢献している。事実上のプレイングマネジャーと言ってもいい。これならば、会社としてAさんの待遇を少しでもよくしていくべきだろう。他の派遣社員と同じように扱うことは、極めて好ましくない。ところが、Aさんは、スキルが劣る他の派遣社員と同じような扱いを受けている。 「なぜ自分がこんな扱いなの?」 優秀な女性を便利な人としか見ない職場 Aさんはここまではっきりとは言わなかったが、心の中では「なぜ、自分がこのような扱いなのか」といった不満を募らせているのだと、筆者には思えた。その不満はごく当然のもの。人事のあり方にこそ、大きな問題があるのではないだろうか。 つまりは会社として、派遣社員を「経費を削減するためのツール」としか捉えていないところに、問題があるのではないだろうか。派遣社員を使う意識がそのレベルであるから、40代になり、独身で、仕事ができる女性を「実に便利な人」としか、見ることができないのだと思う。 確かに、Aさんのようなタイプの社員は、育児で急遽仕事を休むことがない。必要があれば、少々の残業もするのかもしれない。事実、この女性は無償で残業をしている。だが、だからと言ってそれをいいように利用する組織は、いただけない。 取材を通して観察していると、私よりも若い20〜30代の会社員、特に正社員の中にも、派遣社員を「経費を削減するためのツール」として認識している人は少なくない。いや、筆者の感覚では相当に多いように思える。このような歪んだ認識を持っている限り、Aさんのような女性を「実に便利な人」としか見ることはできないのだろう。 若い正社員の意識はむしろ時代遅れ 会社は天下りや女子会の場所ではない 景気が回復基調に乗り始めた今、今後は日本でも雇用の流動化がもっと進み、職場での生き残り競争が厳しくなっていくと思われる。派遣社員として優秀な実績を持つ人が、ある日突然正社員として自分の上司に就任し、自分をこき使うようなケースだって考えられなくはない。むしろ、それが健全な職場だと思う。 その意味では、今の20〜30代の正社員の意識は、決して時代の最先端を行くものではない。むしろ、労働環境を正確に認識していないという意味においては、時代から取り残されているフシもある。特に大企業などの正社員は、ある意味で恵まれすぎているがゆえに、労働現場の変化に疎い。 今回、取り上げた女性のような人こそが、自らの仕事や待遇に、ある程度納得しながら働くことができる環境をつくることこそが、企業社会にとって急務なのだと思う。そのためには、多くの正社員の歪んだ認識を大胆に改める仕掛けもつくるべきではないだろうか。そうでないと、優秀でありながら報われない派遣社員の女性などは、悶え続けるように思う。 筆者の私見であるが、40〜50代、独身の女性で、長い間働き続けているような人と取材で接すると、その多くは意識が高く、いい意味で闘争心もあり、企業人として好感が持てる。一方で、「育児」と称して他の社員に仕事を任せてしまう女性社員がいるならば、筆者としては理解できないものがある。 会社は男性であれ女性であれ、優秀で結果を残し、組織に貢献している人こそ、高待遇を約束され、心が満たされなければならないと改めて思う。双方に明確な差を設けないといけない。それが、悶える職場から優秀な社員を解放する一助になる。 私たちには、職場で無念のあまり「悶える」女性たちの言い分を、改めて考え直す時期がきているのではないだろうか。ただし、その場合の「女性」とは、あくまで優秀で結果を残し、組織に貢献している人を意味する。会社は能力や実績を競い合う場であり、決して「女子会」ではないのだから。 http://diamond.jp/articles/print/45012
【第153回】 2013年11月26日 小川 たまか [編集・ライター/プレスラボ取締役] 働く既婚女性のワークライフバランス 正社員・パートよりも派遣社員が充実? 働く既婚女性のうち、ワークライフバランスの実現度が高いのは20代と50代、そして派遣・契約社員やパート・アルバイトの方が正社員よりも実現度が高い――。こんな結果がナガセビューティケァ(東京都中央区)の行った意識調査で明らかになった。同調査では、ワークライフバランスの実現度が高い理由と低い理由や、実現するためのカギについても質問をしている。 調査対象は、全国の既婚有職女性500人(20〜50代まで各年代125人ずつ)。調査方法はインターネットによるアンケート記入式。調査時期は2013年10月11日〜13日。 ワークライフバランスの実現度 派遣・契約社員は正社員より7ポイント高 質問内容は多岐にわたっているが、そのうちのひとつが「ワークライフバランス(働く全ての方々が、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方)を、あなた自身はどのくらい実現できていると思いますか。0から100%の間で実現度を教えてください(自由回答)」というもの。(ちなみに、質問では「実現度」を聞いているが、これは自己評価なので、実際のところはワークライフバランスについてのそれぞれの「満足度」に近いものと考えた方がいいかもしれない)。 自由回答によると、ワークライフバランスの実現度は平均59.9%で、70%以上と答えた人も全体の45%いた。 年代別に見ると、20代と50代がそれぞれ61.4%、61.5%と平均を上回り、30代と40代は58.7%と58.0%と下回った。これについて同社では「最も仕事や育児に追われる年代ならではの結果といえそうです」と分析している。 また、雇用別の比較をしたところ、会社員・公務員の実現度が58.5%だったのに対し、パート・アルバイトは60.1%、派遣社員・契約社員は65.1%と高かった。パートや派遣社員の方が高い数字が出た結果からは、仕事で拘束される時間が少ない人の方がワークライフバランスの実現度が高いと言うこともできる。 ワーク・ライフ・バランスの実現度 カギは「時間の管理、有効化」? 夫の家事貢献度が実現度に影響 実際に、実現度の高い理由・低い理由について聞いてみたところ、実現度が高い人からは「残業もなく、定時で帰れる。趣味に集中できる」(90〜100%/30代)、「短時間勤務のパートタイマーだから、残業もほとんどなく、まあ両立できている」(同/40代)、「仕事の時間が4時間だけというのが、家事と子育てと仕事を両立させる上で自分の中の披露具合が一番少ないので」(70%〜90%未満/40代)という回答があった。 反対に、実現度が低い人からは「仕事に忙殺されてプライベートが充実できていない」(30〜50%/20代)、「ほとんど仕事をメインとした生活になっているから」(同/40代)、「仕事の日は、帰ってから寝るまでの数時間、家事に追われて全くリラックスできないから」(0%〜30%未満/30代)など、日々の仕事・家事に忙殺されているという回答が挙がった。 それでは、ワークライフバランス実現のためのカギはどこにあるのだろう。最も多くの人が答えたのが、「時間の管理、有効化」(60人)。ついで「夫(家族)の理解や協力」(43人)。「仕事の日数、時間の短縮」(29人)は3番目であることから、多くの人は仕事が忙しくてもまず仕事の量を減らすことは現実的ではなく、自分の時間管理で「なんとかできるのでは」「なんとかしなくては」と考えている様子がわかる。 また、「まだ子どもがいないので自分の時間が取れるので友達との時間や趣味の時間は取れていると思うから。でも子どもができたら時間はなくなると思うので男性の育児、家事参加は必要」(70〜90%/30代)という意見もあったが、実際に「夫の家事貢献度」と「(妻の)ワークライフバランス実現度」を比較したところ、夫の家事貢献度が高いと答えた人ほど、ワークライフバランスの実現度が高いことがわかった。 妻たちが評価した夫の家事貢献度は平均53点だが、点数に大きな偏りはなく、0点から100点までがまんべんなく散らばる結果に。また家事貢献度の評価の理由で最も多かったのが「ほとんど何も手伝ってくれない」(94人)で、次いで「なんでもやってくれる」(91人)、「部分的に(お願いすれば)やってくれる」(90人)、「部分的にしかやってくれない(お願いしないとやってくれない)」(76人)という結果からは、家事に積極的な夫とそうではない夫にくっきり二分化している様子が分かる。 もちろん、会社の拘束時間が長ければそれだけ家事・育児に時間を割けないことは夫の立場でも同じ。働く既婚男性の立場からのワークライフバランス調査も知りたいと感じた。 調査の全体は「働く女性の『仕事感とワーク・ライフ・バランス』に関する意識調査」で確認できる。 (プレスラボ 小川たまか) http://diamond.jp/articles/print/45010
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