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生保、逆ざや解消 4〜9月、9社計
配当増など検討 20年来の課題に区切り
生命保険会社が契約者に約束した運用利回りを達成できず、不足額を穴埋めしなければならない「逆ざや状態」の解消が進んできた。2013年4〜9月期に主要9生保中5社の運用実績が目標を上回り、01年の数値公表以来初めて、全体で運用上の利益が出たもよう。1990年代前半からの経営課題に区切りがつきつつある。各社は増配など契約者への利益還元の検討に入る。
生保は契約者にあらかじめ運用利回り(予定利率)を約束し、運用実績がそれに届かない場合、穴埋めしなければならない。生保はバブル期に個人年金、終身保険など貯蓄性商品を中心に6%程度の高い予定利率を出し、契約を競ったが、90年以降の株安や国債利回り低下で十分な成績をあげられなくなり、約20年にわたって経営の重荷になってきた。00年代初めには9社合計の逆ざやは1兆円を超えていた。
前年までに逆ざやを解消した日本生命と明治安田生命が順ざや幅を拡大したのに加え、この4〜9月期に太陽、大同、富国の3生保も運用実績が目標を上回ってきた。
第一生命の運用利回りはまだ目標に届いていないが、不足額は前年同期の313億円から67億円まで大幅に縮小し、正常化が視野に入ってきた。住友、三井、朝日の3生保の逆ざやも縮小したもようだ。
9社の合計では、350億〜400億円程度、運用実績が目標を上回った。01年3月期に生保各社が予定利率と運用実績の差額を開示するようになって以降、半期でも、通期でも、全体として、運用実績が予定利率を上回り、プラスになったのは初めて。
これを受けて、生保各社は、契約者への利益還元策の検討に入る。生命保険では運用利回りが契約者に約束した予定利率を上回れば、その分の利益は契約者に配当などの形で還元することができる。予定利率の低い契約を中心に配当を増やす検討に入る見通し。
さらに、新規加入する若い世代向けの保険料の引き下げも検討課題になる。今春、第一生命が30歳代以下の若者を対象に主力商品の保険料を引き下げた。追随の動きが増えてくる見通しだ。
逆ざやが減少してきた要因は90年代に5%前後だった平均予定利率が2〜3%まで下がってきたからだ。バブル期に販売した高い利回りの保険が満期を迎えて少なくなった。直近の個人年金などの予定利率は1%台。保険料を上げ、予定利率を引き下げてきたことも逆ざや縮小につながった。
さらに4〜9月期は円安、株高により外国証券の利息配当金収入などの資産運用益が大幅に増加し、一気に逆ざやの縮小が進んだ。
[日経新聞11月25日朝刊P.1]
生保逆ざや解消、保険料に下げ余地 若い世代獲得に力
逆ざやという約20年にわたる経営の重荷の解消をきっかけに、生保が経営を転換できるかが注目される。既存契約者に対する増配だけでなく、新規契約の保険料の下げ余地も生まれるからだ。
主要生保9社が運用不振の穴埋めに使った費用は2000年以降に限っても9兆円を超える。死差益(想定する死亡率と実際の死亡率との差)と呼ばれる安定利益がその原資となった。逆ざや負担に耐えられず、破綻した生保もあるが、多くの生保はそれを上回る死差益で黒字を確保。経費削減などが他の業界に比べ遅れたとの指摘もある。
過去の高利回り契約は今後満期を迎えるため運用上の利益が出やすくなる。どの程度を契約者や株主に還元し、どの程度を将来の投資に向けるかが焦点だ。
課題は若い世代のニーズにどうこたえるか。若い世代ほど複数の保険会社を比べ、安い保険料の商品に加入する傾向が強い。妥当な保険料で充実したサービスを提供する生保が生き残る時代になりつつある。横並びの保険料やサービスから脱し、消費者を引きつけられないと、逆ざや解消後も、契約件数や金額は先細りしかねない。
[日経新聞11月25日朝刊P.3]
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