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[ウォール街ラウンドアップ]復活・住宅公社、干天の慈雨
18日の米ダウ工業株30種平均は4営業日続けて最高値を更新した。米連邦準備理事会のイエレン次期議長が先週の公聴会で「バブルの兆候はみられない」と発言。量的緩和策の長期化観測が強まっている。
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住宅市況の回復が米住宅金融公社2社の業績を改善させている。米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は大幅増益だった第3四半期決算を踏まえ、年内に2社合計で390億ドル(約3兆9000億円)の優先配当を政府に支払うことを決めた。
政府が持つ優先株への配当額は累計で1852億ドル。2008年以降、両公社に投じた公的資金は1874億ドルなので、米政府は公的資金を実質的に全額回収する。
両公社には住宅バブルのリスクが一極集中し、金融危機の発火点となった。今後はその反省に基づく「抜本改革」の行方に焦点が移る。さっそくファンドが動き始めた。
米資産運用大手フェアホルム・キャピタル・マネジメントは13日、2公社の住宅ローン信用保証業務を520億ドルで買収し民営化する案を公表。同社は同様に公的支援で復活した米保険AIGの大株主。「再生案件」で巨額利益を稼いできた。
「物言う株主」として知られるビル・アックマン氏は15日、自身のファンドを通じて2公社の普通株をそれぞれ約10%ずつ取得したと明かした。今後は経営陣や議会、監督当局に「対話」を求めていく。上場廃止後、店頭市場で売買されているファニーメイ株(無配)は年初に20セント(20円)台だったが足元では3ドル台に高騰した。
もっともファンドの思惑通りに動くかどうかは不明だ。公社の廃止や民営化など改革案を超党派で協議する民主・共和両党は「税金で救った両公社をファンドに売却することだけはありえない」(上院幹部)。
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オバマ政権の立場も微妙だ。2公社の予想以上の「U字回復」でもたらされる巨額の配当金収入。これが議会対立のあおりで財政危機に直面する連邦予算に「干天の慈雨」となっているためだ。
金融危機から5年を経て米経済の回復は徐々にはっきりしてきた。半面、危機を教訓にした改革姿勢は後退気味だ。
(ニューヨーク=佐藤大和)
[日経新聞11月19日夕刊P.3]
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<FT特約>米住宅金融公社民営化に異議 改革ではなく廃止を
ファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)という2つの巨大な政府系住宅金融機関の改革がいつ終わるのか、先が見えない。
物言う投資家グループが米政府に対し両公社の住宅ローン信用保証業務を売却するよう要求しているが、納税者の立場からみるとほとんど無意味だ。米国はすでに利益の出る分野をあまりにも多く民営化し、赤字の分野をあまりにも多く公営化してきた。両公社の清算に着手するのが遅すぎる。
米政府は2008年に両公社に1870億ドルを注入したが、その額以上をすでに回収したし、両公社からの配当が政府予算の赤字縮小に貢献している。だから当面はこのまま推移させたいと思うだろう。
だが、米政府の住宅市場への関与が大きくなればなるほど、両公社の活動を縮小することは難しくなる。廃止せず改革するという選択は間違いだ。
元本の10%と定義される「ひどい損失」に対し保証を与える小規模な公社に変える改革案がある。オバマ政権は30年住宅ローンを継続したがっており、低所得者を対象にした住宅ローン支援も維持したいと考えている。
最初の2つの目標は必要ないし危険だ。米国の納税者が将来の住宅バブルの責任を取らされる理由はない。今は両公社設立のきっかけとなった大恐慌時とはまったく環境が違う。
低所得者への支援継続は納得しやすい話だが、それを提供するには両公社はふさわしくない。低所得者支援は対象を絞ったうえではっきりと目に見える補助金によって実施すべきだ。
民間投資家への業務売却は最悪の選択だ。米政府がどう言おうと、市場は両公社が暗に政府によって保証されていると受け止めるだろう。米政府は両公社の資産を最高入札者に売却すべきだが、中核業務は廃止すべきだ。あれこれ言い訳して待ってはいけない。ファニーとフレディに幕を下ろす時が来ている。
(21日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞11月22日朝刊P.6]
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