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年賀状の配達に向かう郵便局員/(C)日刊ゲンダイ
年賀状は氷山の一角…“自爆営業”常態化のブラック業種
http://gendai.net/articles/view/life/146129
2013年11月22日 日刊ゲンダイ
リュックサックに詰めた年賀はがきの束を取り出し、金券ショップのカウンターに置く……。
日本郵便が職員に突き付ける年賀状の営業ノルマは、1人3000〜1万枚ほど。ノルマをこなせない職員は自腹で買い取り、1枚50円のはがきを金券ショップに40〜44円で流すしかない。これを“自爆営業”という。
だが、これまで親方日の丸の郵便局員が知らなかっただけで、自爆営業はどの業界、業種でも横行している。
ブラック企業アナリストの新田龍氏が言う。
「よくあるのは旅行会社の旅行券や飲食店の食事券で、金券ショップにある商品は大抵、“自爆営業”が関係していると考えていい。自腹で買わされた旅行券などを金券ショップに持ち込み、ダメージを少しでも軽くするのです。中小の旅行代理店では、企画したツアーにノルマを設けていて、営業できなかった社員が10万〜20万円ほどの自腹で家族を連れていくと、一般客はゼロに近く、“社員旅行状態”ということもよくあります」
生保の営業社員の大部分は、新商品が出るたびに自腹で家族が加入する。そうしなければ、とてもノルマはこなせず、毎月の保険料が15万円を超える人もいる。
アパレルの自社製品購入はよく知られているが、毎月1万〜2万円“天引き”されるのはきつい。
活字離れの昨今、書店員は雑誌の購入を迫られる。
「読みたくもない週刊誌が部屋に山積みです」(店員)
■100万円のクルマを買わされた損保マン
自社製品の購入だけではない。弱い立場を利用され、取引先の製品を買わされるケースもある。
「取引先が多いと、社内でリストが回って、いくつか選ばなければいけません。それで、ある損保の社員は、車を買わされた。いくら割り引いてもらっても100万円を超える出費ですよ」(新田氏)
取引先が迫る“自爆”で、ファミリータイプの大型冷蔵庫を20万円で買わされた独身男性もいるし、不要な高級羽毛布団を25万円で引き取らされた人もいるという。
「断りたいが、取引先の相手にも営業ノルマがあり、涙目で“○○君、1台頼めないか”と言われると、つい同情してしまって……」(部品メーカーの30代社員)
ネットオークションで転売する手もあるが、どちらにしてもなかなか買い手はつかない。
自社製品にしろ、取引先の商品にしろ、社員に“自爆営業”を義務付けるのは違法。それをしない社員を不当に扱うのも違法だ。
だからといって、“自爆”に困った社員が会社に文句を言うと、リストラの対象にされて立場が危うくなる。イヤな世の中だが、それが現実なのだ。
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