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ネット仮想通貨「ビットコイン」は安全か コストは誰かが負担しなければならない 東洋経済
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/930.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2014 年 1 月 23 日 12:56:47: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: ビットコイン、ギークが育てた無国籍通貨 2013/12/29 日本経済新聞 今97063 投稿者 てんさい(い) 日時 2014 年 1 月 23 日 11:38:48)

http://toyokeizai.net/articles/-/27942
2014年01月10日

ビットコインが注目を集めている。さまざまなところで取り上げられているので、ご存じの方も多いと思う。ビットコインは、サトシ・ナカモトと名乗る人物(正体不明)によって投稿された論文に基づいて、2009年に運用が開始されたインターネット上の通貨である。すべての取引履歴が分散された一種の台帳のようなものに記録されており、ビットコイン数は徐々に増加するが、最大で2100万と決められている。

この原稿を執筆中に確認した時点では、市場に出回っているビットコインの数は合計で1217万6600だった。昨年初には1ビットコインの価格は米ドル換算で14ドル程度だったが、年末時点では1ビットコイン=800ドル程度で取引されていた(次ページ図参照)。ビットコインの残高を普通のおカネに換算すると、約100億ドル、1兆円程度になる。

筆者が興味深く見ているのは、ビットコインが「おカネ」というものの性格を如実に見せてくれるからだ。つまり、おカネとは何かと言われれば、ほかの人がおカネとして受け取ってくれるもの、という堂々巡りの定義しかできない、摩訶不思議な代物だということだ。
おカネには実体がある必要すらない

法律で税金や賃金などを含む金銭債務の強制的な弁済手段として受け取りが義務付けられた法貨(法定通貨)という考えもあるが、それはむしろおカネが生まれてから後に出てきた性格だろう。

金や銀などの貴金属がおカネの価値の後ろ盾という考えもあった。しかし、第2次世界大戦後のブレトンウッズ体制では、各国の通貨に対する金の裏付けは米ドルを通じた間接的なものとなり、1971年のニクソン・ショックで米ドルと金の交換が停止されると、おカネは金との関係を完全に失った。

ビットコインはインターネット上に保有量が記録されるだけのおカネで、実体はない。しかし、われわれが日常使っているおカネである「円」も、1万円札を自宅の金庫や貸金庫に大量に保有している人は少ないだろう。何百万円というおカネも、大体の場合は銀行預金という通帳の上の数字でしかない。ネット銀行を利用していれば、預金残高はパソコンの画面に表示される銀行のコンピュータの上の記録でしかない。政府や中央銀行が関与しているかどうかという点は異なっても、実体がないという点では、通常のおカネもビットコインも五十歩百歩というところだ。

 そもそも、おカネとは何かといえば、教科書では、「価値の尺度」「交換の媒介」「価値の保蔵」の機能を持ったものと定義しているだけだ。つまり、この3つの機能を果たすのであれば、貝や石でも形はどうでもよいわけで、皆がおカネとして受け取ってくれさえすれば要するに何でもよいのだ。おカネには、実体がある必要性すらないということをビットコインは教えてくれる。

ビットコインの取引を不正や誤りなく記録するためのコンピュータの作業に参加すると、運がよければ新たなビットコインが手に入るという仕組みのようだが、これは、金のように、発見した人が利益を手に入れるという比喩で説明されている。ビットコインのシステムを維持するための計算作業を参加者が行うことに対する対価は、新たなビットコインを作り出すことで賄われているということになるだろう。ビットコインの通貨発行益(seigniorage)で、システムを維持していることになる。

おカネによる取引を安全で確実なものとして維持し続けるためには、実は多くの費用がかかっている。たとえば、紙幣は時間が経つと精巧な偽札が必ず登場するので、時々、新しいデザインに切り替えられる。ビットコインの暗号化技術は高度なものだと言われているが、時間が経てば、これを打ち破る技術が出てこないとは限らないだろう。ビットコインは政府の関与がないことが一部の人たちからは評価されている。これは逆に言えば、詐欺や盗難など何か問題が起きたときに、誰か対処してくれるのかわからないということでもある。
ビットコインの信用創造が拡大したら・・・

おカネを創造できるのは中央銀行だけではないということは、金融論の教科書の最初に出てくる話だ。たとえば日本の円では、日銀券や財務省が発行している硬貨など形のあるおカネは全体のごく一部でしかない。日本国内にあるおカネの残高は、マネーストックと呼ばれ、代表的指標はM2だ。M2は2013年11月末で854.8兆円だが、日本銀行が供給したおカネであるマネタリーベースの残高は190兆円だけ、日銀券の発行高は84兆円にすぎない。銀行が貸し出しを行うことによって日本経済で流通しているおカネの量は、そこから大きく膨張している。

ビットコインにも普通のおカネと同じように貸し借りをするサイトがあるようだ。今のところあまり利用されていないようだが、貸し借りのサイトが人々の信頼を得るようになり、拡大していけば、ビットコインの流通量の管理は極めて難しくなる。もともとのビットコインの発行量は限られていても、実際に世界中で使われるビットコインは貸し借りで大きく膨張する可能性がある。

各国の中央銀行は自らの供給するおカネの量を調整することなどで、市場にあるおカネの量を調整し、それぞれの国のおカネの価値を安定化させている。中央銀行や政府のような組織のないビットコインでは、誰も貸し借りで膨張する流通量をコントロールしようとする人はいない。

ビットコインの可能性のひとつは、送金などの手数料の安さだ。ビットコインを使えば国と国の間の送金でも手数料がほとんどゼロというのは大きな魅力的だ。金融機関を使った海外への送金手数料はどこの国でも高額なようで、留学生が米国の大学への学費を低手数料で送金するpeerTransferのような仕組みもある。ビットコインに限らず、インターネットを使った国際的な資金取引の利用は大きく拡大するかもしれない。
排除か、共存か

しかし、ビットコインを使った国際的な取引が拡大していけば、政府や中央銀行にとっては厄介なものになるだろう。インドでは政府の警告で取引所が閉鎖になり、中国の中央銀行は法的に保護されていないという警告を発し、金融機関による使用を禁止したと報道されているなど、排除の動きも出ている。

各国の政府や中央銀行が、既存のおカネと共存させようとしていくのか、それとも排除しようとするのか今後は興味深い。今のところ欧米諸国では使用を禁止するのではなく、何らかの規制を導入する方向に動いていると報道されている。

さて、ビットコインの将来はどうなのか? 正直なところ、仕組みが完全に理解できたわけではないのでわからない。海外送金などの決済システムとして可能性があることは先にも述べたが、ビットコインの価値が普通のおカネに比べて大きく変動しそうであることは間違いないだろう。価値変動のリスクが大きいことで大儲けする人も出てくるはずだが、平均して参加者全員が利益を得るのでなければ、ギャンブルのようなものということになってしまう。
無料の昼飯なのか?

わからないことはもうひとつある。ビットコインのシステムを維持するためのコストである。ビットコインが発行上限に達するまでは、新しいコインの創造がコストを賄うインセンティブになるが、上限に達した後はビットコインの価値が傾向的に増加し続けないとコストが賄えないように思える。経済学の基本のキは「世の中に無料の昼飯はない」(誰かがコストを負担している)という原則だが、ビットコインがこの原則に従いながらどうやって維持コストを賄っていくのかが理解できない。

ビットコインを「交換の媒介」や「価値の保蔵」という機能から考えたときの最大の問題は、価値が不安定なことだろう。価値の変動が大きいということは、逆にリスクは大きいが利益も大きいと考えて利用する人を生んでいる。これが投資なのか投機なのかは、今の時点では評価が分かれるに違いない。

筆者は保険会社のエコノミストだから、当然のことながら危険回避型の人間である。今から参加すれば大きな利益が得られるかもしれないが、リスクが評価できないことには手を出さない主義だ。本当にビットコインが利便性の高い有用なものならば、いずれ社会に定着するだろうから、そのときに利用者になれば、利便性という十分な利益が得られると思っている。  

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