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、消費税をヨーロッパ並に引き上げる愚。
消費税率の時流を見よ。
新興国の台頭は、消費税の高い国を没落させるであろう。
消費税の引き上げ論者の中には、ヨーロッパが高い消費税を掛けているため日本はまだまだ消費税を引き上げるべきだ、あるいは引き上げることができる、という人達がいる。
しかし戦後のヨーロッパの経済的停滞は、消費税を高くし、それを福祉や、社会保障、年金などに費やしたことにある。高負担高福祉がヨーロッパを発展から遠ざけていたのではないか。
特にユーロー圏危機で目に付くのは、ドイツほど製造業が発達していないにもかかわらず、また貯蓄率が高くないにもかかわらず、やたらと消費税の高い国が多いことである。
これでは十分に製造業者が付加価値を蓄えることができなかったのも無理のないことである。企業や個人が高負担のため、十分な内部留保ができなかったのであろう。
特にギリシャや、スペインなど危機の深刻なところでの高消費税がよりデフレの解消を困難にしている。
これらの国は、自国の製造業の競争力、発展度合いを考える事なく、また国民の貧富の度合いなどを考える事なく、ドイツやイギリス、スウェーデンなどの高福祉社会の実現を目指したのであろう。
至れり尽くせりの福祉政策が国の重要な政策のひとつとなったため、これらの国の国民は、同じような福祉策が取られなければ、デモや、反乱を頻発させるため、国はやらざる負えなくなったのである。
そのため自国の産業の発達、蓄積の量が、十分でなく、薄く、脆弱であったのだ。企業の得る付加価値×貨幣が、消費税が高率のため、本来得られる付加価値より低く押さえられているのでる。利益額が低く押さえられるという意味である。
そのため、製造原価が高く、利益額の少ない態勢が自然と作られていたのであった。
それにより名目GDPが彼ら自身の働きの度合いより常に低い状態になっていたといえるだろう。
こうして考えてみると、戦後のヨーロッパが日本のように名目GDPが傑出して高くなったことはなかったように思う。それを物知り顔の経済専門家たちは、潜在成長力が低いからと説明していた、しかしそれは単に消費税率が高く、市場の資金量が少なかったからであったことが分かる。
私も若い頃、このようなまことしやかな説明に納得していたものだ。今もまだだまされている方も多かろう。
(現在の日本の状況の成長率も、日本は潜在成長率が低いので、低いという説明をしているが、単に、デフレ、又は高負担になっているため名目GDPの成長率が低くなっているに過ぎないのだ。)
このような状況のユーロ圏で、そこへアメリカのサブプライムによる債権の暴落とリーマンショックが襲ったため、金融資産の劣化による実態市場からの資金の減少が深刻になり、日本と比べるとことのほか早くデフレが進行しているようである。
日本は、バブル時に3%の消費税を施行したが、市場の過熱を抑えるのにあまり効果がなかった。しかし1990年初頭のバブル崩壊により、市場の資金が一気に減少してしまった。そして完全に資産デフレの状態になったのである。
そこへ消費税を5%に上げたため、国民の負担が増大し、消費へ回すお金が少なくなった。それが消費を減少させた結果、消費額が生産額に足りないデフレという縮小生産に陥ったのである。
ヨーロッパは、サブプライムやリーマンショックからの、大きな資産価格の暴落が、すぐに実体市場の資金不足を招き、消費不足を露呈させ、デフレという経済縮小循環に陥っている。それは消費税が非常に高率であるためになせる様相である。
デフレの根本は、生産額に対する消費不足にある。
その循環が資金を減少させ、経済を縮小させていくのである。
正常な経済であれば、貯蓄がその消費不足を補うはずであるが、金融資産の崩壊により借金が膨らみ、消費不足を補えないのである。
ユーロー圏の多くは、消費税が10%を越えているため、デフレに対する耐久性が日本に比べ脆弱であるようだ。リーマンショックの急激な資産デフレによる、実体市場の資金の大幅な減少が、生産量に対して、消費不足の状態を作らしめたのである。
それ故ヨーロッパのデフレ解消の第一歩は、消費税を引き下げることである。しかし何処の政府も逆に消費税を上げたがっている。嘆かわしいことだ。
正しいデフレに対する知識の欠如がこのような頓珍漢な政策を推し進めるのである。
特にイギリスが高福祉高負担の悪い先例を作ったためこのようなヨーロッパの悲劇が起こりつつあるのだ。
消費税の性質がどういうものであるかを知らずに負担を引き上げていった。それの掛け詞がゆりかごから墓場までであった。消費税の引き上げは資金の市場からの流出を意味し、同じ付加価値を労働者や、企業が増やしても、それに対する貨幣額が減少するのである。
消費税の引き上げは、どんな場合でもデフレスパイラルを起こすが、バブルの時は過熱を押さえる程度に影響する。しかしデフレの時は強烈な下降圧力となる。
日本がバブルの崩壊による大失敗から、度重なる政府のデフレ促進策にもかかわらず、20年間破綻せずに持ちこたえたのは偏に、消費税の負担が軽かったからである。
ここにきてヨーロッパ並に引き上げてどうするのだろう。ヨーロッパが高い消費税を課しているため、まだまだ消費税を引き上げられるというのは、全く見当違いのことであり、経済の根本を見誤った主張である。
消費税の5%で完全にデフレに陥った日本経済に、さらに追い打ちを掛けるように、3%消費税率を高くしてやって行ける分けがないのである。
橋本という首相がいたが、消費税を引き上げ、彼は日本の国富を著しく減少させた。まさしく愚かな首相の見本となってしまった。2度とこういう愚かな首相を出しては行けない。
いけないはずであったが、消費税引き上げを主張する民主党の菅、野田両首相から、ここにまた安倍という消費税の引き上げを主張する首相を作るはめになるとは思わなかった。
彼らはこの主張を暗愚と思わず、英雄的行為だと思っているようである。恐ろしいことだ。
このような恐ろしい人達が生まれる背景に、明治以降の日本の教育システムが欧米のキャッチアップにあり、それ以上の英知を生む教育をないがしろにしてきたことにあるだろう。
その結果が無謀なデフレ下の消費税の引き上げである。あるいは、アメリカのQ3を模した異次元緩和であろう。いずれも全くの愚行である。
しかも新興国が台頭してきた現在、消費税を引き上げてどうするのだろう。
ヨーロッパが停滞したのは、高い消費税を掛け企業人の本来生み出す付加価値を奪い取った結果、ダイナミックな企業競争が減退したことによる。
新興国の台頭は、消費税の引き下げ競争を生むだろう。でなければ立ち行かないからだ。
もはやヨーロッパ型の自分の国がよければよいという閉鎖型の高福祉策ではやって行けない。先進工業国が、アメリカやヨーロッパ、日本などの少なかった場合に、何とかやっていけた政策なのである。
今のような新興国が高度に工業化してきた現在では通用しない。
これからの世界経済は、貨幣切り下げ競争より一歩進んだ消費税引き下げ競争になるだろう。あるいは国民負担引き下げ競争になる。そうならなければ勝ち抜けまい。
デフレ下での愚かな貨幣切り下げ競争が自国の富を奪い合い全世界を貧乏にする競争に比べ、消費税引き下げ競争は、国富の増加を促し、デフレの解消に向かわせる正しい手段である。
日本のある種の経済専門家や評論家、IMFなどは、ヨーロッパの猿まねをすることを喜んでいる。しかし消費税を引き上げヨーロッパ並にすることに何の勝算もあり得ないのだ。敗北以上の破綻をもたらすだろう。
消費税引き上げの最大の災厄は、デフレスパイラルを起こすことも然ることながら、個々の企業の付加価値がほとんどなくなり、所得の低下が国民一人一人の国民負担を補うことができなくなる点である。
それは産業社会の崩壊であるとともに、国民生活の破綻を意味する。デフレはことほどさように恐ろしいものなのである。
来年2千14年4月から消費税を8%にし、翌年10%にする。それでも足りないから消費税を15%に引き上げるとかいう馬鹿げた論者も大勢いる。
しかし消費税引き上げるほどに、付加価値が減じ、国民負担に耐えられない企業や個人が続出し、やがて誰も負担することができなくなる。それが産業経済の終焉である。
やればやるほど経済が縮小していくのは理の当然である。これが分からない人達が経済専門家と称しているのがよく分からない。
デフレ下の消費税引き上げは、経済縮小を速めるばかりで、財政再建などできない。消費税を引き上げれば引き上げるほど経済が縮小し、税収がどんどん減少する。完全にデフレの罠に嵌っているのである。
今の消費税5%でも日本は名目GDPの減少を止めることができていない。消費税の引き上げは名目GDPを減少させる政策であることは私のブログを読んでいる方なら誰しも知っていよう。
8%にして名目GDPが増えるはずがなく、3%の消費税引き上げが、3%の付加価値の減少になるはずはなく、付加価値の減少がどの程度になるか想像できない。一気に10%以上低下しても驚け無いだろう。
デフレスパイラル(所得線の下降)とはそういうものである。
一言主。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
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