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ドル資産投資は多様化している!世界のマネーはますます米国に向かう
http://diamond.jp/articles/-/44483
2013年11月18日 藤田勉 [シティグループ証券株式会社取締役副会長] ダイヤモンド・オンライン
2010年代の最大の投資テーマは、米国・ドルの復活である。リーマン・ショック後の長く深い世界不況を脱した後、世界のマネーは、最大の金融市場である米国に向かいつつある。結果として、米国の株式などの証券は、世界の中でも圧倒的に高い収益をあげようとしている。
過去、10年に一度の頻度で大きな投資テーマが到来してきた。1980年代は日本のバブル、1990年代はIT革命、2000年代はBRICsが、グローバル金融市場を牽引するテーマであった。
そして、2010年代の投資には、3つの大きなテーマがある。それは、グレート・ローテーション(債券から株式への大転換)、シェール革命、アベノミクスである。2010年代に、これらの3大テーマは、われわれの投資に大きな影響を与えるだろう。
■世界をけん引する米国株式
米国の株式市場は、世界でも図抜けて大きい。世界の時価総額の45%(2012年末)を占め、2位日本、3位英国(いずれも約8%)を大きく凌ぐ。そして、米国株は大きく上昇している。2008年以降の安値、つまりリーマン・ショック後の安値から2013年8月末までの上昇率は、米国が177%と、新興国130%、欧州114%、日本76%を圧倒している。その理由として、米国企業の国際競争力が強いことが挙げられる。
アップル、グーグル、ファイザー、IBMなどハイテク企業が、世界の株価上昇を大きく牽引してきた。これは、米国企業が、新興国を含む世界全体の経済成長の恩恵を受けていることを示す。つまり、米国株に投資するということは、米国経済ではなく、あくまでも、米国企業に投資することを意味する。
米国株式市場の特徴として、アップルなどのハイテク企業や、コカ・コーラなどグローバルな消費者ブランド企業の構成比が大きい点が挙げられる。また、エクソンモービルやシェブロンなどのエネルギー企業、バークシャー・ハサウェイといった金融など、伝統的産業も大きい。
かつては、日本は「ものづくりに強い」と言われたものである。しかし、残念ながら、それは昔話となった。医薬品、コンピューター、半導体、半導体製造装置、通信機器、航空宇宙など、ものづくりが物を言うハイテク分野で存在感を示している多くが、米国企業である。成長性と収益性の高いハイテク産業と個人消費関連産業において、米国企業の強さは圧倒的だ。
■ドル資産投資は多様化している
米国市場の最大の特徴は、証券市場の規模が大きいうえ、多様な点である。かつては、ドル建て証券投資というと、米国株と財務省証券(国債)が中心だった。しかし最近では、さまざまな証券への投資が日本でも人気を集めている。
過去10年(2003〜2012年)の投資収益率(年平均)は、米国株の最も代表的な指数c500が7.1%、米国債券のシティグループ世界国債インデックス(アメリカ)が4.7%である。リーマン・ショックなどがあったことを考えれば、まずまずの投資成果である。
そのうえ、株や国債よりも、投資収益率がはるかに高い金融商品がある。マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)のアレリアンMLP指数は16.5%、不動産投資信託(REIT)のS&P米国REIT指数は11.6%、ハイイールド債のシティグループ米国ハイイールド市場インデックスは10.4%と、伝統的な株式や債券の収益率を大きく上回る。しかも、MLPとハイイールド債の利回りは、株や国債よりはるかに高い。
日本でも、REITやETFが普及しつつあり、一般にも親しまれている。そして、米国のREITやハイイールド債は、数年前までの豪ドルやレアルに代わって、投信の売れ筋になっている。それらより過去の投資収益率がさらに高いMLPは、ようやく日本に上陸したところである。MLPの市場は、日本には事実上存在しないだけに、なじみがあまりない。同様に、優先株、優先証券も多少知られてきたが、米国と比較すると、一般的な投資手段にはなっていない。これらは、投資収益率と利回りが高いにもかかわらず、まだまだ、日本の個人投資家に十分浸透していない。
■日本でもドル資産投資ブームは起こるか?
翻って、日本への集中投資はリスキーである。日本の個人の金融資産は、世界で最も金利が低く、世界で最も借金の多い国である日本の円資産に集中している。アベノミクスの効果が注目されるものの、日本経済は、今後2年連続で消費税増税(合計13兆円)の影響を大きく受けるため、低成長から容易に脱却するとは思えない。加えて、少子高齢化、巨額の累積赤字などの構造問題は深刻だ。国債や円の暴落も、全くありえない話ではない。そうであれば、リスク分散が不可欠ある。
日本では長らく、レアルや豪ドルの投資信託が人気を集めてきた。米国投信ブームは、始まったばかりである。これまで米国は低金利であったために、その市場規模が格段に大きいことを考えると、日本の個人投資家による米ドル投資の構成比率は著しく小さい。日本の個人投資家は利回り嗜好が強いだけに、米国金利が今後上がるにつれ、日本でもドル資産投資ブームが起こるだろう。しかし、相場のピークで投資したのでは儲からない。時機の見定めが肝心である。
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