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電力自由化のまやかし
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37497
2013年11月17日(日)ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
除染費用の支払いを拒んでいる東京電力が、改めて環境省から支払いを求められた。しかし、井上信治環境副大臣に呼ばれた東電の石崎芳行副社長は、「支払えない」と回答。東電は環境省から請求されている除染費用約404億円のうち、いまだ300億円以上を支払っていない。
これは通常でいう「債務不履行」であり、東電はすでに「破綻」していることになるのではないか。誰もが思う素朴な疑問だろう。
そもそも除染の費用は、放射性物質汚染対処特措法によって、東電が負担すると定められている。形式としては国がいったん肩代わりした上で、東電に請求する流れになっている。
東電の言い分として、国がいったん肩代わりした分が本当に除染費用なのかどうかをチェックしなければいけないから、少し待ってくれというのならまだ理解はできる。ところが石崎副社長は、「事務作業に時間を要している上、経営状況が思わしくない」と支払い拒否≠フ理由を述べている。その上で企業としては破綻したくないというのだから、虫が良すぎはしないか。
現在、国や地方自治体が予定している除染費用は3兆円。これはすべて東電負担で、もちろん3兆円を直ちに負担すれば東電は破綻する。というのも、東電の今年3月末連結決算で資産は14兆9891億円、負債は13兆8513億円、資産超過額が1兆1378億円。いま3兆円を負担すれば、即債務超過になるからだ。
しかし、除染費用は今後徐々に発生していく。その間に電気料金の値上げをして対処していくから破綻はしない。これが東電のロジックである。
ただし、除染費用は3兆円にとどまらない。除染に伴って出る廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設にさらに1兆円。これも東電の負担となる。さらに、生活再建に向けたインフラ整備まで考えると、いくらかかるのかわからなくなる。
除染費用の負担に東電が悩んでいるのは明らかで、東電は放射性物質汚染対処特措法を改正して全額国費での対応を自民党に要請している。
自民党も東電にこれまで世話になってきたためか、法改正に前向き。10月31日、自民党の東日本大震災復興加速化本部がまとめた方針では、これまでに計画された除染費用約2兆円は東電負担とするが、「追加除染」や中間貯蔵施設の建設1兆円は東電負担から国費投入に変更するという。
この自民党方針が通れば、東電負担は2兆円で済むが、それを電気料金値上げでカバーするから破綻でないというロジックのいかがわしさは払拭されない。
東電がこうした主張をするのは、「競争がない独占企業」であることを宣言しているのも同然である。というのも、普通の企業のように料金値上げしたらライバルが現れて売上減・収益減になるのではなく、東電の場合は料金値上げがそのまま売上増・収益増につながるという前提があるからだ。
しかし、この理屈を国が許せば、政府がいう電力自由化がまやかしだと認めたことになる。今国会で電気事業法改正案が成立するだろうが、そこでの電力改革で、大手電力による地域独占体制を見直して新規事業者の参入を促し競争を通じて電気料金の値下げを目論むというが、これが東電を温存させるための「絵に描いた餅」になりそうなのだ。
東電を守るか、東電を速やかに改組して電力自由化による新規参入・料金値下げのどちらを選ぶのか。重要な選択をしなければいけない時だ。
『週刊現代』2013年11月23日号より
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