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ワタミにユニクロ…短絡的なブラック企業批判が問題を延命?社員や客が加担も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131117-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 11月17日(日)6時50分配信
--「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏を知り尽くした新田氏が、かえって根本的な問題解決の先送りにつながりかねない、噛み合わないブラック企業をめぐる議論を整理します--。
前回記事『“よくわからない”ブラック企業問題〜誰にとっていい/悪い企業?日本企業の多くはグレー』(http://biz-journal.jp/2013/10/post_3106.html)で述べたように、ブラック企業にまつわる議論がよくわからないのは、問題の切り口が複数あり、どの立場に立つかによって答えが変わってしまうことによる。
一つの会社が、ある立場をとる人からは「いい会社」と称賛され、別の立場の人からは「ブラック企業」だと罵られる、などということは普通にあるものだ。その切り口とか立場の違いについては前回述べたが、今回は筆者が「最も我慢できない存在」から述べていきたい。
それは、「ワタミやユニクロなど、目立つ企業だけをブラックだと叩いて溜飲を下げている、脊髄反射な人たち」だ。彼らは、ネット上のごく一面的な情報だけを鵜呑みにし、自分たちは法に則り絶対的に正しいというスタンスで振る舞い、ワタミ・ユニクロに擁護的な意見に対しては「筆者は何もわかってない」「ステマ」「だって人が死んでるのに」といったいつもの批判を繰り広げる。
しかし、彼らは「自分たちのその行動こそが、ブラック企業問題の解決を遠ざけている」ということにまったく気付いていないのだ。
ワタミやユニクロは労働環境面では確かにブラックだが、同じレベルのブラック度合の会社ならほかにも多数存在している。なのに、なぜこの2社ばかりが叩かれるのだろうか。
それは、「経営者が目立つ」「儲かっている」「みんなが叩いてる」など、なんとなく同調しやすい空気があるからではなかろうか。一方で、労働基準法違反など日常茶飯事な本当のブラック企業は、なかなか日の目を見ることがない。なぜならそれらの会社はワタミやユニクロとは真逆で、「知名度がない」「小規模零細企業」「誰も注目しない」ため、叩いたところで周囲からの反応も薄く、面白くないからであろう。
共産党などは、7月に行われた参議院選挙で、あからさまに社名を挙げてブラックだと批判し、選挙ネタに使っていたくらいだ。これはもう「名誉棄損」とか「営業妨害」でかの党を訴えてよいレベルだったが、それさえ指摘しにくい雰囲気があったことに危険を感じている。社会的な「正論」の皮をかぶった、オトナのイジメといってもよいだろう。
結局、それらしい有名な会社を皆が叩いて、正義を果たしたつもりになっておしまい、ということになりかねない。物事を多面的に判断できる方々なら、少なくとも次の視点で考えていただけるだろう。
【労働行政と司法】
現在の労働法規は、終戦直後の不当解雇が横行していた頃に成立したもので、解雇規制が厳しい割に、他の法規違反には比較的弾力的な対応をしている。その点は裁判所の判断も同様であり、解雇には厳しく向き合う一方で、異動、転勤、転籍、出向など、会社が社員に対して広範な権限を振るうことについては黙認してきている。産業構造も社会情勢も変化した今、抜本的に見直すタイミングが来たと考えていいだろう。まずは解雇の金銭解決あたりから検討してはいかがだろうか。
【社員】
イヤなら辞めたらいい。職業選択の自由があるのだから。そもそも、ワタミやユニクロのように「圧倒的な努力が求められる」会社に、努力できない/したくない人間が入ってはいけない。言い方は厳しくなるが、「ブラック企業しか行き所がなかった人間」は、会社を批判する前にいろいろと考えるべきこと、やるべきことがあることに気づくべきだ。彼らでさえ、入社する時にはその時点での第一志望企業を選んでいるはずだから。
一方で過去の筆者のように、短期間での成長を希求してあえてブラックな環境に身を投じる者もいる。企業側は採用時にキレイゴトを言ってだまくらかすのはヤメにして、率直に厳しい面とメリットを伝え、覚悟ができている者だけを採用するようにすれば、入社後のミスマッチは起こらないはずだ。
【ユーザー】
相応の対価も払わずに、サービス要求水準ばかり厳しいお客様は「神様」ではない。自分の権利を声高に主張する前に、「労基法に違反しながらサービス提供してくれている人が存在することで、自分たちの生活が成り立っている」という事実にも目を向けるべきだ。どこかのシェフが正論を吐いて批判されていたが、高いレベルのサービスを受けて気持ちよくなりたいのであれば、相応の金を支払うべきであるし、まずは「彼らが批判している店を選択したのは彼ら自身」であることに気づくべきだ。あとは自分で稼いでいい店に行けと言いたい。
労働に対する価値観は、人それぞれ違うものだ。ある人は「金」を求め、ある人は「経験やスキル」を求める。またある人は「自分の時間」を大切にしたいという。価値観が違う者同士での議論が「ねじれの位置」になってしまうことは致し方ないが、「ワタミが〜」「ユニクロが〜」などと吠えるのに無駄なエネルギーを使うのではなく、それぞれの問題をどう解決していくかを考えたほうが前向きである。
取り急ぎ言えるのは、「『ブラック企業』という言葉を使っている限り、ブラック企業問題は解決しない」ということだ。
確かに「ブラック企業」というバズワードの威力はものすごく、それがあるだけで雑誌の売上やネット記事のPVはある程度上振れするレベルなわけだが、逆に言えば「便利な一方で、本当の問題の所在があいまいになる言葉」だともいえる。これは「若者の使い捨て」とか「やりがい搾取」みたいな「もっともらしいが、具体的にはよくわからない言葉」も同様だ。
ということで、今後は「36協定違反」や「解雇規制の見直し」、「採用広告におけるRJP」等といったかたちで、個別具体的に問題を採り上げ、解決のために論じていきたい。
新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
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