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良質なコメは中国人富裕層の口に/(C)日刊ゲンダイ
日本人が食べているのは中国産コシヒカリ 偽装の“本丸”はコメだ
http://gendai.net/articles/view/life/145954
2013年11月15日 日刊ゲンダイ
次々と食材偽装が発覚する中で、“食偽装の横綱”とされるコメだけが問題にならないのはなぜなのか――。
筆者が思うに、一連の偽装の本丸はコメだ。あるホテルチェーンで食材の仕入れを統括する部長は、「どのホテルも知らんフリしているだけ」と話す。
「偽装と無縁の“業務用米”なんてあるわけがない。だから、内部調査もしない。調査して偽装の事実を発表すれば、恐らく日本のホテルは一軒残らず引っかかってしまう」
米穀卸業者・三瀧商事(三重県四日市市=解散)による過去最大規模のコメ偽装が発覚したのは先月のこと。加工用を食用に偽装し、流通大手のイオンに卸した「国産米」の中身は、中国、米国産。どちらも重金属、カビ毒汚染、農薬残留の疑いがある札付きのコメだが、イオンはそんなコメを弁当やオニギリにして大量販売していた。
「ホテルが仕入れる業務用米も似たようなものだし、実際に三瀧商事の偽装米を使っていたホテルが何軒もある。ただ、口が裂けても発表できないだけのこと。インジェクション・ビーフ(牛脂注入肉)の何倍も傷口が深くなるから、最後まで隠し通すしかない」(前出の部長)
国としても、TPPでコメの「聖域化」を主張している手前、事が大きくなるのは避けたい。
農水省によるコメの等級は、1〜3等と規格外の4段階がある。米粒の形、色、粒揃い、割れや虫食いの跡があるかどうかで等級が決まるが、どんなにうまくないコメでも外観さえ良ければ1等になるし、どんなにうまいコメでも外観に難があれば3等、規格外になる。
首都圏の卸業者によれば、「ホテルが特にこだわるのは粒が揃っているかどうかで、うまいかどうかはあまり関係ない」という。それは、うまくする“魔法の白い粉”があるからだ。
卸業者がこう言う。
「ホテルには言わないが、同じ品種で粒揃いの1等米なら、産地が違っても納品する。より安いコメを探してね。新米100%もウソで、古米を20%くらい混ぜるのは常識だし、丸ごと古米の業者だっている。粒揃いなら中国産コシヒカリやひとめぼれを混ぜるのだって当たり前だ。グリシンとかを使うホテルが多いから、食味に関しては何の問題もない」
グリシンは、米国の専門家の間で発がん性が問題視されたが、日本では認可済みの食品添加物。これを加えて炊飯すると、古米、古々米100%でも「ツヤのある新米100%」らしい食味を演出できるから驚きである。古米特有の臭みも消える。また、防腐剤の役割もあり、ご飯の残りを冷蔵庫に置けば、最低1週間は日持ちする。それが朝のバイキング料理で人気が高いお粥(かゆ)になったりするのだ。
魚沼産コシヒカリなど本当においしいコメは、「中国の富裕層の口に入っている」(卸業者)。
いやはや、驚きの連続だろうが、平穏に生きたいのなら、ミシュランやブランドと距離を置くしかない。そうすれば腹も立たなくなる。
(ルポライター 吾妻博勝)
▽あづま・ひろかつ 福島県生まれ。放射能に汚染された山菜の出荷を告発して話題に。著書に「おいしい野菜の本当はこわい話」「コメほど汚い世界はない」「回転寿司『激安』のウラ」「初心者でもわかる人気食品の危険度」「新宿歌舞伎町 マフィアの棲む街」など。
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