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日本経済全体でみたときの2020年東京五輪特需への期待
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20131114-00010000-teikokubiz-nb
帝国データバンク 2013/11/14 18:02
五輪開催までに解決すべき課題、「原発事故処理」が突出
調査結果(要旨)
1.2020年の東京五輪開催は企業の76.0%が日本経済に特需をもたらすと回答。企業規模、業界、地域にかかわらず多くの企業が東京五輪特需に期待を示す。
2.企業の33.4%が東京五輪は自社の業績に「プラスの影響」を与えると認識。「大企業」ほど高く、「人材派遣・紹介」「旅館・ホテル」「放送業」「リース・賃貸」「広告関連」などの『サービス』で特に高い。また、地域では、東京を中心とする『南関東』をはじめ、『近畿』『北関東』も3割を超えた。
3.東京五輪開催が日本経済を押し上げるために解決すべき課題として、「原発事故処理」が77.0%で突出して高く、「震災被災地の復興」「公共インフラ整備の加速」「東京五輪終了後のビジョン作成」が続いた。
4.企業の64.9%が日本経済の持続的成長のために東京五輪の開催は「有効」と回答。企業規模や業界、地域で大きな違いはなく、幅広い企業が持続的経済成長に対して五輪開催を積極的に評価。
1. 日本経済への東京五輪特需、企業の76.0%が見込む
日本経済全体でみたとき、2020年東京五輪特需への期待の有無を尋ねたところ、「ある」と回答した企業が1万769社中8,183社、構成比76.0%となり、4社に3社が日本経済に特需があると考えていた。他方、「ない」は8.8%で1割未満となった。
「ある」と回答した企業は、「東京」の企業が8割を超えているほか、全規模、全10業界、全10地域でもすべて7割を超えており、多くの企業が東京五輪特需に期待を示している。
企業からは、「建設業界の特需は予想できる」(建設、東京都)や「五輪特需というよりも、これにともなった周辺整備に期待したい」(土木建築サービス、大阪府)、「東京五輪はあくまで短期的な経済効果をもたらす特需として認識し、日本にとって本当に経済成長させるべきものは何か議論すべき」(医療用機械器具製造、東京都)といった声が挙がった。他方、特需が「ない」とする企業からは、「一時的な特需が出たとしても、その後の急速な冷え込みは過去にも経験している」(特殊産業用機器卸売、東京都)や「一過性の特需であり、五輪が終われば特需も終わる」(婦人・子供服卸売、愛知県)など、五輪後を懸念する意見がみられた。
2. 自社業績に対して企業の33.4%が「プラスの影響」があると回答
2020年に東京五輪が開催されることで、自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、「影響はない」が39.1%で最も高かった。他方、「プラスの影響」があるとした企業も33.4%となり、3社に1社が自社業績に好影響と見込んでいることが明らかとなった。逆に、「マイナスの影響」は4.3%にとどまった。
「プラスの影響」を規模別にみると、「大企業」(39.0%)が「中小企業」(31.7%)を7.3ポイント上回り、大企業ほど業績への影響に期待している様子がうかがえる。
業界別では、『サービス』(36.3%)が最も高く、『製造』(34.3%)、『卸売』(34.2%)、『建設』(33.9%)、『運輸・倉庫』(32.3%)が同程度の割合で続いた。さらに、業種別でみると、「人材派遣・紹介」が49.2%で第1位となり、以下、「旅館・ホテル」(47.4%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(46.2%)、「放送業」(44.4%)、「リース・賃貸」(44.0%)、「その他サービス」(43.5%)、「広告関連」(43.2%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業」(42.4%)、「その他製造」(41.1%)、「専門サービス」(41.1%)が上位10業種となり、いずれも4割を超えた。そのうち、サービス業が7業種を占めており、『サービス』業界での期待の高さがうかがえる。
また、地域別では、『南関東』(45.2%)が唯一4割を超え、以下『近畿』(34.9%)、『北関東』(31.8%)が続いた。さらに、都道府県別でみると、「千葉」が47.3%で第1位となり、以下、「東京」(47.1%)、「神奈川」(40.0%)、「大阪」(38.5%)、「埼玉」(38.0%)と続き、『南関東』の一都三県がいずれも5位以内となった。また、「群馬」(37.3%)や「栃木」(34.2%)の『北関東』のほか、『四国』の「徳島」(36.8%)と「高知」(34.1%)が第7位と第9位となった。
3. 解決すべき課題、「原発事故処理」が77.0%で最多。「震災被災地の復興」も半数超に
2020年の東京五輪開催が日本経済を押し上げるために、どのような課題を解決すべきか尋ねたところ、「原発事故処理」が77.0%(複数回答、以下同)で突出しており、8割近くの企業が日本経済の活性化のためにも原発事故処理が欠かせないと考えている。さらに、「震災被災地の復興」(55.0%)が5割を超え、東日本大震災に対する解決を重視している様子がうかがえる。次いで、「公共インフラ整備の加速(耐震化、バリアフリー化、交通インフラなど)」(46.2%)や「東京五輪終了後のビジョン作成(施設維持・管理・処分・転用など含む)」(36.4%)、「財政の健全化」(33.7%)が続いた。インフラ整備や持続可能な財政のほか、五輪終了後のビジョンの作成を求める意見が上位にあがった。
企業からは「老朽化したインフラの再整備と防災政策の再構築、治安維持、そして何といっても汚染水をはじめとした原発事故の終息に目処をつけること。安全安心が損なわれる可能性は極力ゼロにすべき」(自動車部品付属品卸売、東京都)や「原発政策に対する国民的コンセンサスの形成」(石油卸売、岡山県)、「建築関係では、既に東京に需要が集中し始め、東北震災復興の妨げとなる懸念がある」(工業計器製造、京都府)といった、原発や震災復興の取り組みを急ぐ必要性を指摘する意見が多い。また、「都心部の建物・インフラの耐震化と再生リニューアルを進める事が必須」(不動産代理・仲介、東京都)、「五輪を目標とするのでなく、五輪を起爆剤としてどのような経済振興策を取ろうとしているのか、将来のビジョンを明確にしてほしい」(建築工事、大阪府)など、大会終了後にどのような制度設計を描いているかについて懸念を抱いている様子がうかがえる。
4. 日本経済の持続的成長に東京五輪開催が「有効」64.9%
日本の持続的な経済成長のために、東京五輪開催は有効かどうか尋ねたところ、「(有効だと)思う」と回答した企業が64.9%となった。他方、「(有効だと)思わない」は13.2%と1割程度にとどまった。「(有効だと)思う」企業は、規模、業界、地域で大きな違いはなく、幅広い企業が持続的経済成長において東京五輪の開催を積極的に評価している様子がうかがえる。
企業からは、「1964年の東京オリンピックで確立された戦後のインフラを中心にメンテナンスならびに補強の時期にきており、日本の持続的な景気浮揚において今回の東京オリンピックは絶好のタイミング」(機械工具製造、神奈川県)や「オリンピックが開催されることで建設関連、飲食関連、食品、菓子関連、雑貨関連など、あらゆる業界に相乗効果をもたらして経済成長に有効な要因を作ることになる」(菓子・パン類卸売、北海道)といった、経済を活性化するチャンスと捉えている意見も多い。また、「オリンピックを機にアジアの中心であることを再認識し、日本の良さを全世界に知ってもらう良い機会になる」(産業用電気機器卸売、福岡県)や「スポーツを通じたビジネス、人的交流が閉塞感のある経済にカンフル剤となる可能性がある。また、若年層にも刺激を与え、海外志向の流れが生まれる」(一般貨物自動車運送、新潟県)、「スポーツ文化の発展や、各地域がスポーツと健康をテーマに活動起点を作る良い機会」(印刷、東京都)など、海外や生活面に与える影響を期待する意見も挙がった。
まとめ
2020年の夏季オリンピック・パラリンピック東京大会が決定以降、すでに開催に向けた具体的な動きは始まっている。企業活動においては、東京五輪開催が日本経済の先行きや自社の業績にどのような影響を与えることになるのか、さまざまな試算や検討が行われている。
実際、企業の8割近くが日本経済全体で五輪特需が生まれると考えており、このような認識は企業規模や業界、地域にかかわらず7割を超え、東京の80.8%とも大きな違いはない。また、自社業績についても、東京を中心とする関東圏や近畿圏で好影響と考える企業が多く、人材派遣・紹介や旅館・ホテルなどサービス業で五輪への期待が高い。地域や業種により業績への影響に差異はみられるものの、全体では企業の3社に1社が自社業績にプラスの効果をもたらすと見込んでいる。
五輪が開催されるまでに「原発事故処理」「震災被災地の復興」といった東日本大震災への対応を進め、さらに、「公共インフラ整備」「東京五輪終了後のビジョン作成」などハード面の再構築や五輪終了後の青写真を具体的に描き、用意しておくことは、日本経済を一段と活性化させることにつながるであろう。
東京五輪開催が日本経済の持続的な成長に有効なイベントだと考えている企業は、3社に2社に達する。特に、「20年以上続いた日本人の沈滞ムードが消え、明るい未来を期待する気持が出てきている」(生鮮魚介卸売、東京都)とあるように、多くの人に2020年という目標が生まれたことによる効果は大きい。アベノミクス効果により再び成長過程に入った日本経済にとって、2020年東京五輪は新たな起爆剤となる存在といえよう。
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