神戸市灘区の酒造会社「富久娘酒造」が純米酒に醸造アルコールを混ぜたり、吟醸酒に規格外の米を使ったりして４９品目を自主回収している問題で、同社の小島久佳社長が１２日午前、同社事務所で会見し、「現場の判断で、少なくとも４、５年前から行っていた。会社ぐるみではない」と釈明した。（鎌田倫子、阿部江利、土井秀人）

　小島社長は「過失ではなく、作為的な部分が大きい」と認めた上で、純米酒に醸造アルコールを混ぜたことについて「アルコール度数が足りず、加えてしまったのではないか」と話した。

　１０月２１日に大阪国税局から「純米酒に醸造アルコールが混入している」との指摘を受け、社内で帳簿を調べたところ、規格外の米を吟醸酒に使用していたことが判明したという。

　吟醸酒や純米酒、本醸造酒といった「特定名称酒」は、３等以上に格付けされた米を使うことが定められているが、同社は、普通酒向けの米と３等以上の米を混ぜていた。小島社長は「作業の効率化のために、現場のリーダークラスの判断でやったのではないか」とした。規格外の米は３等以上の米より２〜３割安いという。

　同社は１６８１年創業。旭化成の子会社だったが、東証１部上場のオエノンホールディングス（東京）が２００３年８月に買収した。オエノンは富久娘を含め全国に計六つの酒造会社を傘下に持つ。

　問い合わせはフリーコール０１２０・６２１５６０（平日午前９時〜午後５時）

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201311/0006491228.shtml