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中国企業への投資は慎重に? 太陽光大手・サンテックの盛衰から学ぶこと(WEDGE) 
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/747.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 11 月 12 日 14:30:37: AtMSjtXKW4rJY
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131112-00010001-wedge-bus_all
WEDGE 11月12日(火)12時46分配信


欧州諸国が一時積極的に導入した固定価格買い取り制度(FIT)が貢献し、世界の太陽光発電設備の設置量は拡大を続けている。一方、中国メーカーを中心に、太陽光モジュール(太陽光パネルと同じだが、メーカーなどではモジュールと呼ばれることが多い)の生産量は設置量以上のペースで拡大したため、ここ数年市場は完全な供給過剰になり、モジュール価格は大きく下落している。

 中国メーカーの安値攻勢に敗れた自国メーカーを保護するために、米国は昨年から中国製太陽電池に対して課税を行っている。また、欧州委員会も課税を検討したが、中国政府が報復を匂わせたことから、中国企業が自主的に価格と輸出数量を規制することで決着した。最低価格は1ワット当たり56ユーロセント、年間数量は700万kWだ。この辺りの経緯は、「太陽光パネルで貿易摩擦‐欧州にツケを回す中国の産業政策」を読んで戴ければと思う。

■太陽光モジュール生産1位から子会社破綻 サンテックを巡るそれぞれの思惑

 6年前日本のシャープは世界一の太陽光モジュール生産量を誇った。翌年にはその地位はドイツQセルズに奪われたが、Qセルズもその地位を維持することはできず、中国サンテックが1位となった。いま、シャープはリストラを経て辛うじて経常利益(25年の7月から9月期で33億円、前年同期は1973億円の赤字)を上げているが、Qセルズは12年の4月に破綻し韓国資本に買われた。サンテックも13年3月に社債の償還に行き詰まり、中国の製造子会社は破綻した。

 ニューヨーク証券取引所に上場されている破綻を免れたサンテック・パワー・ホールディングス(以下SPH)の社債償還、負債返済を巡り、中国地方政府、香港企業と米国投資家の思惑の違いが明らかになり始めた。中国と米国の債権者の扱いが異なることが、その背景にある。中国企業への投資は、やはり「慎重に」だ。

■FITが太陽光発電市場を作りだした

 FITは「みんなの力」で再生可能エネルギー(再エネ)を増やす政策だ。太陽光発電、風力発電などからの電気を高く買い取り、その負担は電気料金で広く、薄く回収する。しかし、みんなの力ということは、所得に関係なくということだ。このため、導入量が増え、負担額が増えるに連れ問題が出てくる。

 ドイツでは、13年のFITの負担額は1kWh当たり5.28ユーロセントだ。14年の負担額は6.24セントになると既に発表されている。標準家庭で年間約3万円を再エネ支援に負担することになる。所得が低く節電の余地のない家庭にとっては大きな負担だ。まだ負担額が3.59セントだった12年にドイツで行われた世論調査でも、負担額が高過ぎるが回答の半分を超えた。

 所得により高過ぎると思う人の比率には差がある。最も高過ぎるとの回答が多い州は旧東ドイツのザクセン‐アンハルト州だ。73%が高過ぎるとしている。最も低い州は旧西ドイツのバーデン‐ヴェルテンベルク州で43%だ。1人当たり国内総生産額を見ると、ザクセン‐アンハルト州は約23000ユーロ、バーデン‐ヴェルテンベルク州は36000ユーロと大きく異なる。必需品の電気を節約するのは贅沢な家電製品を使用していない家庭ほど難しく、負担感も大きい。

 負担額が増えすぎたFITをどうするのか、総選挙後のドイツでは大きな政策課題として浮上している。日本でも、12年7月1日からのFIT導入以降、既に2100万kWを超える太陽光発電設備が認可されている。今後認可された設備が稼働を始めれば、費用負担が問題になるだろう。

■設備導入拡大も相次ぐメーカーの破綻

 FITの導入によりドイツ、スペイン、イタリアでは太陽光発電設備導入が大きく伸びたが、図の通り、負担額の増加により欧州を中心に世界の設備導入の伸びは鈍化した。欧州市場の減速を補うかのように日本、中国、米国が新たな市場として登場し、13年の導入量は再度増加し3800万kWに達すると予測されている。

 欧州での設備導入増が環境ビジネスを拡大すると期待した各国の企業により太陽光モジュールの生産が開始され、世界市場は瞬く間に供給過剰に陥ってしまった。特に、中国政府が成長戦略の柱の一つとしたことを受け、地方政府が太陽光モジュール製造業の育成に乗り出したことから、中国メーカーが乱立した。中国だけで世界の需要量すべてを満たせるほどの生産が行われたことから、モジュールの価格は急速に下落する。

 11年には米国連邦政府が5億ドルを超える資金援助を行っていたソリンドラ社が破綻し、12年にはドイツQセルズ社の破綻などが続いた。いずれも、中国製との価格競争に敗れたためであり、米国政府、EU委員会により中国製の太陽光モジュールへの課税が検討されることになっていく。そんななかで、中国企業も体力を消耗していく。

■サンテックの成長と破綻

 サンテックは、豪州ニュー・サウス・ウェルズ大学で太陽電池の研究により15の関連特許を取得し、その後豪州企業に勤務していた施正栄が、無錫市の誘いを受け2001年に設立した。当初の出資比率は無錫市75%、施正栄25%だった。

 02年には2MWの太陽電池の生産を初めて行ったが、その後急速に生産能力を拡大し、06年には160MWに、11年には2000MWに達する。売り上げも伸び、02年の300万ドルが06年6億ドル、11年30億ドルとなった。

 05年のニューヨーク証券取引所へのSPHの上場が、この成長を支えた。この上場により、無錫市が当初投じた資金は13.3倍になったと言われている。米国での上場により資金調達が容易になったことから、04年には4000万ドルだった負債額は06年には3億7600万ドルとなり、11年には22 億8800万ドルに達する。収益が伸びれば、負債が増えても問題はなかった。しかし、営業利益率は06年の24.9%が11年には12.3%に落ち込み、純利益率は06年の17.7%が11年にはマイナス28.4%となった。

 さらに、イタリアでの太陽光発電事業への投融資が詐欺にあい、資金繰りに問題を生じるようになった。13年の3月15日に償還期限を迎えた米国の投資家が保有する社債5億4100万ドルの償還ができない事態となり、5日後には中国の操業会社無錫サンテック社が中国の破産法の適用を受けることになった。

■米国の投資家には、全く返済がなされない?

 サンテックに続き、やはりニューヨーク証券取引所に上場している中国LDKソーラーが社債の償還、金利支払ができない事態に陥った。太陽光モジュール市場は回復傾向にあるものの収益面で低迷が続く中国メーカーを支援するために、中国政府は、太陽光発電設備製造業者に17%の付加価値税の半額を13年10月1日から15年12月31日まで還付すると発表した。

 この発表を受け、SPHの株式は1.33ドルから1.70ドルに一瞬上昇したものの、11月1日現在では1.32ドルに戻っている。SPH株の最高値は07年につけた86.26ドルであり、株価は大きく下落している。

 13年10月になり、SPHが保有する資産の一部を、香港を拠点とする順風光電が買収する意向を示していると報道が行われた。さらに、無錫市政府が保有する投資会社を通し、1億5000万ドルを支援する意向との覚書を受け取ったとSPHが発表した。

 11月1日になり、順風光電が4億9200万ドルで資産の一部を買収する合意がなされたと報道された。この買収額でもSPHの20億ドルを超す負債額には大きく不足しており、中国の破産法では国内の債権者が優先される可能性が高いことから、米国の投資家には、全く返済がなされない可能性が高いとみられている。

 SPHの社債価格が額面の0.4%まで下落する事態になっているなかで、10月末になり、160万ドルの社債を保有する米国の4投資家が、上場しているSPHの会社清算を、米国破産法第7条に基づきニューヨークの裁判所に申し立てた。同社の保有資産の売却による中国製造会社の更生が行われても、米国の投資家に返済が行われる可能性はないと踏んでのことだろう。

■中国企業への投資は慎重に

 サンテックの破綻を通して見えてくることは、中国企業の不透明さだ。SPH傘下の操業会社は中国の法に基づき更生されることになったが、その更生には米国の債権者は全く関与できない。また、中国地方政府の関与が見えており不透明感が付きまとう。そのうえ、中国の法では返済も中国の債権者が優先され、海外の債権者は劣後する。

 サンテック、LDKソーラーともにニューヨーク証券取引所に上場し、米国で大きな資金調達に成功した。サンテックが、05年の上場と09年の増資によりニューヨークでの株式売却で調達した資金だけで7億4260万ドルだ。しかし、万が一の時には米国の法ではなく、中国の法に基づき米国の債権者の知らないところで処理することが可能だ。米国の投資家が少しでも返済を受けようと、破産を申し立てる気持ちになるのは当然だろう。

 中国企業が先進国の海外市場で上場しているから、投資家は安心できるわけではない。上場以来SPHの株式に関するアナリストのレポートは38出ており、そのうち31が「買い」あるいは「保持」を推奨していたとの報道もある。投資は当然自己責任だが、どの国の企業であれば安心できるのかも、よく考える必要がある。

山本隆三 (常葉大学経営学部教授)


 

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