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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 農家を見捨てる政府・与党
http://wjn.jp/article/detail/6335929/
週刊実話 2013年11月21日 特大号
産業競争力会議の農業分科会が10月24日、減反政策や戸別所得補償制度の廃止を提言した。政府もこれに呼応する形で、減反政策の見直しに向かって検討を始めている。
主食であるコメを守ることを最優先してきた農政の大転換だが、政府は農家を見捨てるとは言っていない。これまでの守りの農業から攻めの農業に転換すると言っているのだ。つまり、これまで手厚い保護の下にあった日本のコメ作りを市場競争にさらすことによって、農地が大規模農家に集約化され、生産性の高いコメ作りが行われるようになり、日本の安全でおいしいコメが国際競争に打ち勝っていくというバラ色の未来を描いているのだ。
しかし、そんなことが起きるはずがない。第一に、農地の集約化など、そう簡単に進まないからだ。2010年の『農業センサス』によると、兼業農家の割合は72.3%と、4分の3を占めている。しかも、農業収入よりも農業以外からの収入が多い第2種兼業農家が、全体の58.5%を占める。彼らは、ビジネスとして農業をやっているのではない。人件費を考えたら現在でも大赤字だ。
それでは、なぜ彼らが農業を続けているのかといえば、親から受け継いだ農地を守らなければならないと考えているからだし、同時に農業そのものに喜びを感じているからだ。
もちろん、兼業農家に経済原理がまったく働かないわけではないので、減反廃止でコメの値段が下がったり、所得補償も減れば野菜などへの転作が進むはずだという意見もある。だが、それも間違っている。第2種兼業農家は週末と有給休暇を活用した農業をしている。それが可能な作物は、コメだけだ。野菜などは常時手をかけることが必要で、そもそもサラリーマンの仕事と両立できないのだ。
百歩譲って、農地の集約化が成功したと仮定しても、日本のコメ作りが市場競争の下で生き残ることはないだろう。
現在15ヘクタールを超える規模で生産しているコメ農家の生産コストは、1キロ当たり200円程度だ。一方、コメ輸出をしている外国のコストは、わずか50円なのだ。これでコスト競争に勝つことなど不可能だ。大規模農家こそ、自由化の影響で、生産を続けられなくなってしまうのだ。
それでは、減反や補償金の廃止で何が起きるのかと言えば、ただ単に農家がますます貧乏になり、若者が誰も農業に就業しなくなるということだ。同じことは、タクシー業界で、すでに起きている。'02年からタクシーの需給調整が廃止されて、タクシー会社は自由に増車ができるようになった。その結果、'01年に299万円だったタクシー運転手の平均年収が、'10年には245万円まで下がったのだ。
さらに農家を鞭打つのが、軽自動車税の増税だ。農家は、自動車の税金を回避しているのではない。都会のように公共交通機関がないので、お父さんの普通車、お母さんの軽自動車、そして農作業用の軽トラックという3台を保有しないと生活ができないのだ。当然、都会で普通車1台を保有しているサラリーマンと比べたら、3台保有の農家の方が、支払う税金は多いのだ。
こんな農家イジメばかりしていたら、いずれ日本の国土が荒廃してしまうだろう。
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