04. 2013年11月11日 22:24:57
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コラム:バーナンキ議長に花道か、1月QE縮小の条件=上野泰也氏 2013年 11月 11日 18:04 JST 上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト(2013年11月11日)8日に発表された米10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が20万4000人増と市場予想を大きく上回った。また、8月、9月の過去2カ月分も計6万人分の上方修正となった。 政府機関閉鎖で一時帰休扱いとなっていた連邦政府職員については、その間の給与がさかのぼって支給される。このため、給与支給の有無が分類基準になる事業所調査では雇用者としてカウントされた。 この日の米国市場は、雇用統計の強い内容を材料に株高・債券安・ドル高に動いた。ニューヨークダウ工業株30種平均の終値は1万5761.78となり、史上最高値を更新した。筆者が以前から予想している1万6000ドルへと近づきつつある。 今回の雇用統計のポイントは、以下の通りである。 ●雇用統計は後日の修正が多いため断定的な判断を下すわけにはいかないものの、現時点で入手できる数字をもとにすれば、10月の政府機関一部閉鎖が民間部門の雇用動向に及ぼした影響は、ごく限られたものにとどまった。民間部門の雇用者数の増加は過去3カ月のうち2カ月で20万人を超えている(8月が20万7000人、10月が21万2000人)。これは米連邦公開市場委員会(FOMC)内の量的緩和(QE)早期縮小開始派にとって、強い追い風である。 ●財政状況が安定してきたことを背景に、政府部門の雇用者数があまり減らなくなっている。州政府による雇用は教育関連を含め、足元で増加している。 ●民間部門を業種別に見ると、小売業、娯楽・接客業といった消費関連の雇用の堅調さが目立つ。これは、住宅バブル崩壊後のバランスシート調整を米国の家計が終えたため、個人消費がしっかりしてきたことを間接的に示す動きである。 ●非農業部門雇用者数の後方6カ月移動平均を見ると、8月の16万9000人増をボトムに、9月が17万3000人増、10月が17万4000人増と、緩やかに加速している。また、昨年末の水準を今年10月分と比較してみると、非農業部門雇用者数は186万3000人増。月平均の18万6300人増は、2011年や12年の年間の数字に比べると、ペースとしてはやや加速している。 上記の諸点に鑑みると、今回の雇用統計の結果は明らかに、9月のFOMCで「一時停止(pause)」ボタンが押されて動きが止められているQE縮小の早期開始を後押しするエビデンスである。 だが、今回の雇用統計を受けて早期縮小開始に向けて前進したのは「一歩だけ」だろう。12月17―18日開催の次回FOMCで縮小が開始されるためには、1)来年1―2月における財政混乱の再燃リスクが大方消滅する、2)雇用統計が顕著な改善を示すという、2つのハードルをクリアする必要がある。だが、前者は少なくとも現時点では、年内にクリアするのがかなり難しそうなハードルである。 また、10月分以降の米経済指標には、企業関連の統計が強い一方、クリスマス商戦が控えているにもかかわらず消費者のマインド悪化が続いている(回復力が弱い)という、見逃すことのできない特徴がある。この状況がはっきり変わってこないと、米連邦準備理事会(FRB)当局者としても足元の景気動向について十分安心することはできないだろう。したがって、年明け後の1―3月期に縮小開始はずれ込む可能性が引き続き高いと見る。 <ドル円のレンジ上抜けは困難> では、1月28―29日に開催されるFOMCでのQE縮小開始という「バーナンキ花道シナリオ」となるのか、それとも3月18―19日の同会合で決定する「イエレン新体制シナリオ」となるのだろうか。 雇用統計が次回も強めの数字で、かつ財政面のリスクが大方払しょくされるという条件さえ整えば、前者の「バーナンキ花道シナリオ」が濃厚になる。今回の雇用統計を受けて、1月説の実現確率がかなり高まったと考えるべきだろう。 共和党に対する米国民の支持率低下、共和党の内外におけるティーパーティー(茶会)への風当たりの強まりに鑑みると、95年・96年に政府機関が閉鎖されたケースと同様、来年1―3月期中のいずれかのタイミングで、民主・共和両党間で財政の問題は事実上棚上げされて11月の中間選挙をゴールとする選挙戦モードに移行。再度の政府機関閉鎖や米国債デフォルトリスクの浮上は回避されるだろうと、筆者は予想している。 そして、まだ見えてきていないのは、そうした結末の予想がコンセンサスになるのがいつなのかということである。 いずれにせよ、QE縮小・停止問題では、その開始が3月あるいは4月以降だろうと決め付けて油断するのは避けるべきだ。 9月のFOMCで縮小開始が急きょ見送られたことで、QEがこのまま長期間にわたり続くのではないかといった過剰な期待(あるいは一種の慢心)が、市場の一部に芽生えてしまった感がある。そしてそれは、イエレンFRB副議長を含む多くのFOMC参加者にとって、決して看過できないことではないだろうか。 なぜなら、中央銀行のバランスシートが毎月850億ドルというハイペースで拡大を続けているのは、あくまでも危機対応で発動された強力な緩和措置の帰結であって、経済状況が相応に回復して雇用の伸びが巡航速度になれば、当然縮小・停止されるべき性質のものだからである。 そして、バランスシートの急膨張に直面して、中央銀行パーソンとしての半ば本能的な警戒感や恐怖感が、多くのFOMC参加者の間で共有されているのではないかとも推測される。QEの予想されるコストに注意を払う必要があると、ハト派とみられているボストン連銀のローゼングレン総裁が11月5日に発言したことにも、そうした警戒感がにじみ出ているように思われる。 米国債デフォルト懸念の払しょくによるショートカバーをきっかけに一時2.46%まで低下した米10年債利回りは、年明けにかけて2%台後半で当面の落ち着きどころを探る展開を続けると予想される。そしてその後は、FRBによる金融政策の正常化ステップをにらみながら、米国のファンダメンタルズと整合的な水準である3%台前半へと、段階的に水準を切り上げるだろう。超長期ゾーンについても同様の展開が予想される。 その一方、FRBは2月1日にイエレン体制が発足した後、金融引き締めそのものである利上げについては、量の縮小・停止とは明確に切り離して、失業率の数値基準を引き下げるなど「フォワードガイダンス」を強化することを通じ、ドル金利先高観の抑制を図ろうとするだろう。このため中短期ゾーンの米国債利回りは上昇しにくい展開が見込まれる。 このような中短期ゾーンの米国債利回りの動きは、ドル円相場がこのところの98円プラスマイナス数円のボックス圏を上抜ける動きを阻害する方向に作用するだろう。米10月の雇用統計が発表された後にドル円は99円台に乗せたが、この材料だけではボックス圏を上抜けていくのは困難だと筆者は見ている。 *上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。
焦点:欧州企業の業績に楽観論、ユーロ高の悪影響限定的か 2013年 11月 11日 13:47 JST [ロンドン 8日 ロイター] -欧州企業の第3・四半期決算はこの2年間で最悪の結果になりつつあるが、投資家は冷静に受け止めた上で、ユーロ高に伴う売上高の落ち込みは早期に回復すると予想している。 欧州株は今年に入って14%上昇し、4日からの週には5年ぶりの高値をつける堅調ぶりで、これは投資家が他の資産から株式に資金を移す姿勢に変化はなく、ユーロ圏の指標改善がやがて企業の業績向上につながると期待されていることを物語る。 全体の約4分の3の企業が決算発表を終えた今の段階では、トムソン・ロイターのデータによると、STOXX欧州600指数.STOXXの構成企業のうち利益が予想に届かなかった割合は50%で、前期の42%から上昇。2011年第2・四半期以降では最悪になろうとしている。 売上高はもっと悲惨で64%の企業が予想を下回っており、企業はある程度の利益をコスト削減でねん出したことがうかがえる。 ただ企業は金融危機の局面を通じてコストの切り詰めを通じた利益計上を行ってきており、現在は利益の伸びを維持したいなら売上高を回復させる必要がある。 ExaneBNPパリバのシニア株式ストラテジスト、グラハム・ビショップ氏は「今決算シーズンから得られる教訓は、売上高が予想を下回っているが業績に問題はないように見受けられるという点にある。これは外国為替レートが大きな影響を及ぼし、投入コストを抑えながら海外の売上高が減少していることを示唆している」と指摘し、特に新興国市場における事業を重視している企業の打撃が大きかったとの見方を示した。 バークレイズやHSBC、アリアンツ・グローバル・インベスターズ、クーツなどのアナリストチームも、欧州企業の売上高が低調だった主因の1つに為替レートの変動によるマイナスの作用を挙げた。 これらのアナリストチームは、売上高の予想とのかい離が最も大きかった欧州の優良企業15社のうち6社が為替レートの影響による側面が強かったとしている。 これまでに為替レートが業績に響いた可能性があると警告した企業としては、ドイツの化学大手BASF(BASFn.DE)や医薬品大手バイエル(BAYGn.DE)、スイスに拠点を置く高級ブランド品のリシュモン(CFR.VX)などがある。 欧州中央銀行(ECB)による7日の利下げがユーロ相場の下げ圧力になるだろうが、それでもユーロ/ドルは7月から10月終盤までに8%上がり、ユーロの対主要通貨バスケット相場は2年ぶりの高値になった。 ドイツ銀行のアナリストチームの推計では、ユーロ/ドルが10%上がると欧州企業は5.5%の減益に見舞われる傾向があり、第3・四半期の場合は全体で2─3%の減益につながった恐れがある。 ユーロはアジアや中南米の通貨に対しても急伸しており、スターマインのデータでは、新興国の売上高比率が全体の半分以上を占める企業の90%が、予想よりも低い売上高にとどまった。 <経済改善やユーロ先安観が追い風> それでも第3・四半期の売上高の不振は、今後に持ち越されそうにないとみられている。ユーロ圏の明るい経済見通しや、ユーロの先安観などが理由だ。 バークレイズのアナリスト、アレックス・スチュワート氏は「ユーロが主要貿易相手の通貨に対して高止まりするなら問題は残るが、ECBによる予想外の利下げがユーロを下押しそうだ」と述べた。 HSBCの株式アナリスト、ロバート・パークス氏は「われわれは来年、企業利益の伸びと利益率の上昇が相当進むと予想している。欧州における経済環境が一段と持ち直して企業の売上高を支え、営業利益率を押し上げるからだ」としている。 またトムソン・ロイター・データストリームによると、業績見通しを引き上げた企業数から引き下げた企業数を差し引いて全体に対する割合を算出すると、依然として見通しを引き下げた企業が引き上げた企業より多いものの、比率自体は7月のマイナス3.4%から同2.1%まで縮小してきた。 アリアンツ・グローバル・インベスターズの株式ストラテジスト、シュテファン・ロンドルフ氏は「株式市場は、これまでの決算シーズンで業績がぱっとしないことに関して相対的な楽観姿勢を続けてきた。さらに購買担当者景気指数(PMI)などの先行指標の著しい改善を目にして、投資家はもう1四半期は企業業績が振るわなくても我慢するつもりのように思われる」とみている。 その上で同氏は「先進国の景気回復の勢いは持続し徐々に裾野が広がっていくと予想しているので、こうした投資家の我慢は妥当だとわれわれは考える。投資家は警戒感は持っているが心配はしていない」と説明した。 (Atul Prakash記者)
[12削除理由]:無関係な長文多数 |