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身内で傷の舐め合い、終わらぬ「みずほ危機」 どうなる、みずほ。週刊東洋経済緊急ルポ<1>
http://toyokeizai.net/articles/-/23565
2013年11月09日 浪川 攻 :東洋経済記者
「風土に大きな問題があった」──。10月28日、みずほグループのトップ、佐藤康博氏の口から出た言葉は、不祥事を説明する際に経営者が用いる常套句だった。
みずほ銀行はオリエントコーポレーション(以下、オリコ)保証による提携ローンで生じた反社会的勢力(以下、反社)との取引を2年間にわたって放置。そのうえ、金融庁には、「経営レベルに取引の存在は報告されていなかった」という虚偽説明まで行っていた。
この罪に対して自ら下した罰は、みずほフィナンシャルグループ会長兼みずほ銀行会長の塚本隆史氏の銀行会長辞任と半年間の報酬返上、同グループ社長兼同銀行頭取である佐藤氏の半年間報酬返上などの処分だった。
処分の妥当性は、来年6月の株主総会においても議論を呼ぶはずだが、みずほ内外における受け止め方は辛辣だ。
みずほ銀行内部からさえ、「結局、経営陣による傷の舐め合い」という厳しい言葉まで飛び出す。なにしろ、佐藤氏は問題の本質を突き詰めずに「風土」のせいにしてしまった。「みんなが悪かった」「特にOB(前経営陣)の引き継ぎのやり方が悪かった」という結論は、要するに現経営陣を擁護することにつながっているわけだ。
■情報を共有できない組織
報酬カットは2人のトップを筆頭に、現役役員42人、OB12人が整然としたピラミッドのように並んで見える。この点も、傷の舐め合いという印象を与える。
しかし、総ざんげのような処分で済む問題ではない。発覚した反社取引は約230件、総額にして2億円超。みずほ銀行にとって件数、金額とも微々たるものだが、それを放置し続けて、事実を偽った行為は極めて深刻だ。
今回の問題を風土というあいまいな言葉を使わないで表現すると、「経営陣による正確な情報の共有化」の欠如である。
佐藤氏が28日の会見で、「組織の縦割り構造が問題」と語ったのは、そのことを表現しているのだろう。だが、欠落していたのは横のつながりだけではない。縦のつながりも機能していなかったと言わざるをえない。要するに、ガバナンス基盤の著しい脆弱さである。
その是正のためにも、金融庁が求めたのがみずほコーポレート銀行、みずほ銀行の統合というワンバンク化。それを内部で推進したのが佐藤氏だった。その豪腕ぶりに表立った抵抗はなく、ワンバンク化は今年7月に実現。だがそれでも、みずほ上層部の病は治癒しなかった。
■ワンバンク化の弊害
むしろ、より深刻化したといっていい。ワンバンク化によるポストの削減、人事体系の一本化などの改革は銀行内を活性化させるどころか、逆に内向きな、事なかれ主義を醸成したからだ。おまけに優秀な人材ほど外部に出してきた結果、上層部には転出人事を取り仕切った人事畑など上意下達型の人材が残った。そのため現場の正確な情報がトップに上がらない構造になってしまった。
ある幹部はこう話す。「取締役会は、佐藤さんの独演会。誰も意見など言わずに佐藤さんの話に黙って聴き入っているだけだ」。ここからも、経営幹部間の情報共有の危うさが浮かび上がってくる。
■提携ローンが抱える問題
佐藤氏は持ち前の強気な姿勢で続投を宣言。コンプライアンス体制の強化に向けた業務改善計画を実行していく事こそが、自身の責任だと言い切った。
だが、反社を完全に排除することは簡単ではない。提携ローンについては「オリコとの反社データの共有化」をいち早く表明したが、そもそも、このローン商品をこのまま維持していくのかどうかという点も問われる。
04年に本格化したオリコとの提携ローンは、経営が悪化したオリコを支援する施策の一つだった。「取り扱いを拡大することを前提にしていなかった」(みずほ銀行関係者)。ところが、現実にはローン残高はうなぎ上りに増えていった。今や、みずほ銀行だけでも約8000億円の残高になっており、他の提携金融機関分を加えると、その1.6倍強の残高規模だ。
顧客に対面するのはオリコ加盟店、初期審査はオリコ、最終的な融資実行はみずほ銀行という提携ローンの危うい責任分担形態を、金融庁も問題視し始めている。
■大口融資規制に引っかかる可能性も
もし、みずほ銀行が問題を根治するために提携ローンを取りやめ、オリコによるローン実行へと変更しようとすれば、みずほ銀行の8000億円のローン残高は、オリコ向けの融資に切り替えざるをえなくなる。
だが、そうすれば既存のオリコ向け与信との合算で大口融資規制に抵触しかねない。反社が入り込む可能性のあるローン商品に対して大規模な融資を行うことが妥当か、という議論も生じてくる。
結局、抜本的な対処は困難であり、身動きが取れない。そうした中、地銀などが相次いで同ローンの提携解消に動き始めている。そうなると、いずれはみずほ銀行だけが同ローンの担い手として残っても、おかしくないのだ。
「反社」の課題認識がいつしか欠落
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■若返りのショック療法
危機は終わっていない。しかし、上層部には早くも楽観的なムードが漂う。特に幹部たちは旧行系列の関連会社における好待遇のポストを求め、「関連会社詣でが始まっている」(みずほ関係者)という。
あえて佐藤発言を使えば、上層部が風土病に冒されていることは間違いない。母体3銀行の確執と、それに基づく微妙なポストの分け合いにより生じている風土病だ。11年3月、2度目のシステムトラブル発生直後、本部の企画担当役員が社内メールを通じて全国の支店長に対し初動で行ったのは、対処方法の指示ではなく「西堀頭取に激励のメールを送ろう」という呼びかけだったのだから、深刻さがわかるだろう。
みずほ銀行にはこれまで社外取締役がいなかったが、11月1日付で元最高裁判所判事の甲斐中辰夫氏が就任する。佐藤氏は「社外取締役を2〜3人に増やしたい」とも述べている。こうしたガバナンス改革が実を結ぶだろうか。
「佐藤氏がやるべきことは、経営陣の大幅な若返りしかない」──。金融庁幹部はこう指摘する。確かに、現状打開に必要なのは、ショック療法なのかもしれない。
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