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過去を見れば、増税決定後に駆け込み消費で一旦は株価が上昇するも、下落に転じている。今回の消費税増税は上昇基調にある日本の株価に水を差しかねない
消費税増税の吹き矢で日本経済は浮上か墜落か? 植草一秀氏
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20131107/zsp1311071131003-n1.htm
2013.11.07 ZAK×SPA!
東京オリンピック招致を手中に収め、勢いを増す安倍政権。それに続いて第5の矢=消費税大増税を放つ。過去には竹下登氏、橋本龍太郎氏が同じ矢を放ち、あえなく討ち死にしたわけだが、’14年度に放たれる渾身の矢は一体何をもたらすのか。
安倍首相は10月1日の記者会見で’14年度の消費税率8%実施を宣言した。先送りを示唆しながら、結局は増税の決定。思わせぶりな素振りで気を引いておきながら袖にするのは罪なことだ。
「増税を先送りしたら株価が急落する」と叫んでいた御用エコノミストは多いが、実際には増税を宣言したら株価は急落した。パターンとしては、’96年6月に消費税増税方針を閣議決定して株価下落トレンドを生み出した橋本龍太郎政権と似ている。
増税が実施される前は、激しい駆け込み消費が生まれ、一時的に景気は盛り上がる。’97年も5月には一時的に株価が2万円を回復。その後、株価は下落したわけだが、今回も多くの紆余曲折を迎えることになるにちがいない。
そもそも、駆け込み消費が盛り上がるということは、消費者が増税に極めてナーバスになっている表れだ。9月27日に国税庁が発表した民間給与実態調査にも、労働者の厳しい現実が映し出された。
給与所得者の年収は平均408万円、うち20・1%が年収200万円以下。非正規労働者の比率は4割に迫っている。日本経済の停滞が20年以上続く状況下で、国民の生活実態は極めて厳しい。
今回の消費税増税と社会保険料増加で国民負担は9兆円も増える。これだけでGDP比2%のデフレインパクトが発生する。問題は、’14年度の財政デフレ要因がこれに留まらないことだ。
【米国の「財政の崖」を超える「財政の絶壁」】
安倍政権は’12年度末に13兆円の補正予算を編成し、この財政出動が’13年前半の株価上昇の一因になった。補正予算効果は’13年度の経済に流れ込んだわけだ。問題は、’14年度にかけて補正予算分の財政支出が減少するため、それがそのまま’14年度の経済抑圧効果を生むことだ。
国民負担増の9兆円と合わせると、’14年度の財政デフレの規模は22兆円に達する。これはGDP比4%を超える。’13年に「財政の崖」と呼ばれて大騒ぎになった米国の財政赤字削減規模がGDP比3%だったことを考えると、まさに「財政の絶壁」と言える。
米国は緊縮財政の規模をGDP比1%強に圧縮して、経済撃墜を回避した。安倍政権は経済の落ち込みを回避するために6兆円の経済対策を策定しているが、この規模の対策ではどうにもならない。’96年度に橋本政権が踏み込んだ緊縮財政のブレーキの規模がGDP比で約3%だった。私は“政策逆噴射”と呼んでいるが、これで見事に日本経済は撃墜された。
オリンピックの東京招致が決まり、安倍首相はこれを第4の矢とし、’14年度に消費税増税=史上最大の超デフレ政策という第5の矢を放つ。これで日本経済をこっぱ微塵に破壊し尽くしてしまう懸念が存在する。財務省の根回しが効きすぎて、適正な警告を発する者がほとんどいないが、安倍政権が“消費税増税とともに去りぬ”の事態に陥らないことを祈る。
★’14年度の財政デフレの規模「22兆円」
消費税率+3%引き上げと社会保障負担増加で、’14年度の国民負担は9兆円増。補正予算剥落効果13兆円を合わせると、デフレインパクトは22兆円に達する。
■植草一秀氏(政治経済学者) シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『アベノリスク』(講談社刊)がある
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