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アメリカ:QE3の失敗(という名の金融緩和策)
アメリカのQE3といわれる金融緩和策は失敗に終わったようだ。やはりアメリカも日本と同じで、財政破綻が恐いと見える。これ以上の緩和策に必要な原資の調達に不安を感じたのであろう。
結局、金利が上がるような資金需要がなく、実体経済も、生産者側だけが活発化し、消費者側が盛り上がらないため、拡大再生産につながらない自律回復しないものになる。
そのため、来年(2千14年)半ば頃までにQE3を完全に止めると、2千15年の半ばには、再び成長が止まり下降し始めるだろう。。そこでまた財政出動や低金利、公共投資の追加投資が俎上に上がってくることになる。さてその時アメリカはどうやってその資金を手当するのであろうか。楽しみだね。
アメリカが日本をまねたデフレ政策も、日本で失敗したのと同じように失敗したのだ。その日本のまねをしたアメリカの政策を、またまたまねた黒田日銀政策はいったい何ものぞ。
アメリカは300兆円もの債権資産を買い入れたらしい。さてどうやってこれを処分するのだろう。どこに売るのか、誰が買うのか、なぞだな。実体経済が上向き、拡大再生産の循環に入っておれば、処分し易いだろうが、今はまだその時ではない。
そうこうしている間に、FRBの議長が交替して、またまた金融緩和策を続けるそうだ。このまま続けていても、自律回復する見込みはなく、資金を突っ込むだけで終わるだろう。
デフレ下の債権や資産の買い入れは、実体経済からの幅広い需要がなければ、その投入資金の枯渇と同時に、資産価格や債権価格は低下する。
恐らく、塩漬けのまま、財政事情が悪いままで運営して行くことになろう。同じことが日銀にも当てはまる。黒田日銀は、莫大な債権を買い入れたが、それを放置したまま退任することになる。
どうしてくれるんだ。この失敗を。黒田や安倍は責任を取らないでやめてしまう。日銀の買った債権をなくして初めて成功と言えるのだ。
将来の飯の種を今宴会を開いて食い散らかしているだけなのだ。将来につけを残さないためと言いながら、莫大なつけを残すだろう。
これで消費税を引き上げれば、日銀も買い入れた債権を全く売ることができなくなるだろう。それどころか消費税引き上げによる激しい経済縮小のためさらに買い上げることになり、国債を全部日銀が買い占めても一向に景気が回復しないことが分かるだろう。
その時既に遅いのだ。このアメリカのQE3や、日銀の異次元金融緩和の国債買い入れや、その他の金融資産買い入れによる資金供給方法は、デフレの解消法とはなんら関係の無い愚策である。かえってバブルを作り出すだけの代物である。
このQE3の政策遂行により、多くの不利益を諸外国にもたらした。世界へのデフレの輸出である。低金利金融緩和による世界へ資金供給は、各国の金融資産を高騰させ、実体経済から遊離せしめたのである。
それが今回の資金引き上げにより、各国の金融資産の縮小を招き、金融市場の大幅な資金減少が、実体経済へ遡及し、生産量に対して資金量が大きく不足し、デフレを助長していく。
低金利金融緩和による異常な資金供給がデフレを招く罠であるとはこういうことなのだ。
インフレを輸出しているのではなく、実体経済と金融資産価格の乖離を促し、そのギャップの修正がデフレを招くのである。
しかしQE3の根本的な問題は、アメリカ経済を自律的に回復させられず、借金を増やしただけに終わったことにある。
もしアメリカがQE3により拡大再生産を伴う自律回復軌道に経済を乗せたのであれば、世界市場の巨人であるアメリカは、各国へのデフレ輸出など雲散霧消させたであろうし、またそれができるであろう。
グリーンニューディールや生産刺激策等はアメリカの国内の問題に過ぎないが、QE3は、外国への影響が大きい。低金利が海外資産を高騰させてしまったからだ。
この金融緩和を含むグリーンニューディール等の公共投資、生産刺激策の根本的な失敗は、所得線の角度を引き上げることができない点にある。それは、自律回復する市場へ回帰できなかった事を意味する。
デフレは、資金量が市場から大幅に流出し、生産量に比べ著しく資金量が少なくなった経済である。それを描写したのがデフレ線であり、所得線の角度が下降し、常に供給に対し消費が少ない、消費過小の所得線が支配している。
(縦に資金量を取り、横に生産量を取った、所得線である。正常な場合は、45度線を描き、インフレの場合は、45度線以上の角度になり、デフレの場合は45度以下の角度になる。)
言い方を変えると、生産の増大に比べ所得の増大が少ない所得線が支配しているのである。
アメリカがQE3やグリーンニューディールで、所得線を45度線に戻すことができないのは、デフレは、需要と供給のギャップから生じている分けではないからである。
デフレは45度の所得線との角度の差である。
デフレは、供給と消費のギャップであり、生産能力に対する消費不足が問題なのである。そのため生産能力をいくら刺激し、生産量が増大しても、消費が増えないため、より多くの不良在庫が残ることになる。消費されない生産物は不良在庫や、廃棄物になる。
あるいは、消費されない生産物を消化するために、低価格で販売しようとする。それは付加価値の低下を招くことになる。
そのため所得が生産に比例して伸びることはない。
生産量をいくら増強しても消費が一定のため、1単位辺りの付加価値が下がるばかりで、所得を引き上げる力が弱く、所得線の角度は上がらない。
デフレはこの所得線の角度引き上げることにより解消される。45度線以上にならなければ、自律回復の軌道に乗らない。QE3や、財政出動などの公共投資による経済政策は、所得線の角度を引き上げる事なく、ただ闇雲に生産量を増大させるだけである。
デフレにおける生産量の増大は、それに見合った消費がないため、所得が増加しない。この事実、この理論をはっきりと認識しなければならない。
現在の経済学はここのところを間違って解釈しているので、デフレ政策を間違うのである。
所得は生産量の増大で増える訳ではない。生産量が消費されて始めて所得になるのである。生産量の増大と、その生産量の増大分の消費がなされて初めて所得が増大するのである。
逆にデフレ下の生産量増大は、単なる生産量の増大に過ぎず、消費が伴わないため、付加価値の減少を招き賃金を低下させる。そのため一向に拡大再生産せず、所得線の角度も上がらない。
それを永遠にに繰り返し、ただ長く景気の下降をくい止め、その間に奇跡的に消費が増加するのを待っているに過ぎない。そのため消費の増大という奇跡が起こらなければ、
いつまで経っても、デフレが解消されないのである。
やがて生産量増大のための源資がなくなるにつれ、再び生産量の減少が始まり、経済が縮小する。
その原資は、低金利であり、公共投資であり、補助金政策などである。アメリカでは、QE3であり、グリーンニューディールであり、シェールガス補助金などである。
この下降した所得線の支配する市場で、いわゆるデフレ市場で、生産量の増大や、資金を生産者側に注入する政策は、蒸気機関車を、無理やり坂道を上らせているようなものである。
無理やり勾配のきつい坂を上らせているのだ。しかし上れば上るほどコストが増え機関車自体が重くなっていく。同じ燃料では機関車を上らせることができなくなる。
石炭などの燃料をくべているときは、それでも何とか坂道を上がっているが、燃料が少なくなるにつれ、上がって行けなくなる。
燃料がなくなると、以前より早い速度で坂道を再び転がり落ちることになる。またもとの木阿弥だ。違いは借金が増えていることだけだろう。
蒸気機関車に燃料をほうり込むより、軌道を下げなければならないのだ。坂道の傾斜を少なくするのが本来のデフレ解消策である。
それには、生産者側にお金を供給するのではなく、消費者側にお金を供給し、購買力を増やせばよいだけだ。デフレはこれをやれば簡単に直る。
しかし現在までの経済学は、このような消費者側に資金を回す理論がなかったために、未だにデフレを解消できないのだ。(デフレ・インフレの一般理論参照)
消費者側に直接資金を供給する政策を取ることが、軌道を下げる政策であり、所得線を引き上げる政策である。それがデフレを解消させるのである。
そもそもインフレを起こす基本は、市場にお金を増やし、生産量を減らすことにある。この当たり前のことが分かっていないのだ。
そしてQE3の最大の売り物である債権の買い入れは、デフレがどこで起こっている分かっていないために、行われた愚策である。
デフレは実体市場で生じており、市場の資金枯渇が、資産市場の低下をもたらしているのである。そのため市場から資金が金融資産の方へなかなか回って行かない。
このような時に政府が金融資産を買うと、実体経済からの資金流出が少ないため、その価格は容易に上昇しやすい。しかしながら、このような恣意的な金融資産価格の上昇は、企業のパフォーマンスが伴っていないため、バブル化している。
そのため常にバブル解消の下げ圧力が働いている。政府機関がその金融資産の購買を減らすとすぐに価格が下がって行く。
また企業の論理と消費者側の論理は全く違う。
アメリカが住宅公団のようなファニーメイなどの株を買ったり、公的資金を注入してもデフレ解消にはほとんど意味が無い。
なぜなら、資金が増え、会社の破綻がなくなると、業者は、ローンを持ち、返済に四苦八苦している人達を助ける事なく、新たにローンを組んでくれる新たな顧客を探し、彼らにより安い価格で資産を提供し、ローンを新たな低金利で提供するのである。
ローン破綻懸念者は、いつまでも救われず、結局破綻することになる。本来この政策は、破綻懸念者を救済することになるはずであったが、全くそれには役に立っていない。
これは日本の銀行への公的資金の注入が、銀行を助けるのみで、債務過剰の企業の救済にはならなかったのと同じである。
当初、銀行に公的資金をを投入すれば、銀行が倒産せず、そして銀行は、貸出をしていた企業に対して手助けするものと期待されていた。しかしその予想は見事にはずれた。
銀行は、自らの財政状態が良くなり、自分の不良債権処理を優先し、借金の多い企業からつぶしたのである。自分の利益を優先させたのである。
これが企業の行動基準である。自分の利益や存続を優先させるのは当たり前の経済学の行動基準である。
そのため企業にいくら資金を注入しても、(補助金として、低金利で、株や社債の購入で、)公共投資として企業の仕事を増やしても、企業は自分の利益を優先する。
国内に有効な投資先がなければ、当然いくら資金が供給されても投資はしない。海外がよければそちらに行く。
公共投資などで、設けた特定の企業に、国がお願いして、賃金引き上げを要請しても、低賃金で働かなければならない人達が多くいる市場で、買い手市場で、高い賃金で雇う企業はいない。それをすれば株主に訴訟を起こされることになるだろう。
企業の論理は、企業が有利になるほど、自己の利益を追求するため、消費者の利益は二の次になる。
企業の懐を豊かにしても、個人消費は増えない。消費が増えない限りデフレは解消されることはない。
中央銀行などの債権の買い入れは、企業の株価を高め、企業の資金を豊かにするが、それは決して消費の増大に結び付くという約束はない。
企業は自己の利潤を追求するのが本分であり、実体市場の活動によらないで、懐が豊かになれば、賃金を引き上げる必要がないしまた、利潤追求のために、賃金引き下げの圧力が増してくる。
また企業は、実体市場の拡大がなく、資金が豊富になれば、消費者の要望を聞く必要がなく、価格を据え置いて耐え抜くことができる。その間消費者は、生活に必要な物資を買えない。
デフレは、あくまでも消費の不足であり、その解消には消費の増大が必要である。企業の懐を豊かにしても個人消費には、よい影響はない。
それ故、中央銀行の債権買い入れによる金融緩和は、何の効果もないものである。かえってその買い入れた債権をどのように解消するのかが大問題となるだけである。
一言主
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