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食品偽装底なし沼
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2013/11/7 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
◇老舗洋食店・グリル満天星
プロは絶対に使わない「結着剤」使用の加工肉で業績回復?
阪急阪神ホテルズから始まった食品偽装問題は、百貨店に飛び火。きのう(6日)は最大手の三越伊勢丹HDも、グループ内のテナントのレストラン14カ所、52品目のメニューで表示と異なる食材を使っていたと発表。そごう・西武でも7店舗で偽装が分かった。
そんな中、高島屋や三越などの百貨店にテナントとして入り、加工肉をステーキと表示していたのが、洋食店「グリル満天星」を運営するファインフードシステムズだ。総料理長の窪田好直氏は宮内庁園遊会の料理を担当したこともあり、グルメ雑誌や料理番組でおなじみの有名店である。
同社広報担当者はこう説明する。
「業者から仕入れたヒレ肉の塊は2〜3キロで、メニューごとに調理しやすいよう形を整えています。具体的には、1本の塊肉の端(全体の1%ほど)を少し折り返し、結着剤を塗って大きい塊にくっつける。それが『加工』にあたるのですが、認識が甘く、表示していませんでした。結着剤は味の素製の『アクティバ』という食品添加物。ハムやソーセージ、かまぼこなどによく使われています」
同社は、このような加工を「業界の常識」と主張した。だが、東京・新橋にあるフランス料理店オーナーはこう言う。
「結着剤なんて聞いたことがないよ。細切れ肉はハンバーグなどにアレンジすればいい。プロは絶対に使わないね」
東京商工リサーチによると、同社は11年12月期まで3期連続赤字で、売上高も右肩下がりだった。ところが、昨年12月期は黒字転換。売上高も約13億8500万円で、前期比6000万円ほど増えている。まさか、偽装で食材コストを浮かし、業績改善を図ったわけではなかろうが……。
「総料理長を広告塔にしてメディア露出を増やしていますが、まだ客足が大きく伸びるには至っていません。売上高も長期的に見れば縮小傾向です。在庫を抱える不安から、ロスを減らそうとし、今回の偽装が生まれたのかもしれません」(業界関係者)
店側の理屈に消費者は納得できない。
◇車エビに化けた“薬漬け”ブラックタイガーの恐怖
高級ホテルや老舗百貨店で次々と発覚している食材偽装で目立つのが「エビ」の代用だ。
「バナメイエビ」が「芝エビ」、「ブラックタイガー」が「車エビ」に“化ける”のが代表例で、高島屋や大丸松坂屋、井筒屋などではブラックタイガーが「車海老のテリーヌ」としておせち料理に使われ、4万円近い価格で販売されていた。本当に消費者をバカにした話だが、問題はこれだけじゃない。“偽装エビ”は安全性にも疑問符がつくのである。
日本では市場に流通しているエビの9割余りが輸入品だ。主な輸入先はベトナム、インドネシア、タイなど東南アジアだが、輸入エビは日本の検疫で度々引っ掛かる問題食材の“常連”なのだ。
厚労省の輸入食品違反事例によると、ベトナム産の「バナメイエビ」や「ブラックタイガー」からは、それぞれ基準の残留濃度を超える合成抗菌剤「エンロフロキサシン」が検出されている。インド産の「バナメイエビ」から検出されたのは、合成抗菌剤「フラゾリドン」。ともに養殖中の病気を避けるために使用されたのは明らかだが、発がん性の危険や消化器系への副作用が懸念されているコワ〜イ薬なのだ。
「もともとブラックタイガーやバナメイエビの養殖が盛んだったのはタイですが、近年は原因不明の奇病が広がって生産量が激減。ベトナムや中国に養殖場所が変わりつつあります。生産者はエビが病気にならないよう、早く大きくして出荷したいと考えるため抗菌剤をバンバン使い、使うほど病原菌が耐性を持つためさらに使用量を増やさざるを得なくなる。日本の検疫で何度も引っ掛かるのはそのためです」(経済ジャーナリスト)
消費者問題研究所代表の垣田達哉氏はこう言う。
「養殖モノには、いろいろな薬剤が使われていると思った方がいいでしょう。もちろん水際の検疫検査で防ごうとしていますが、全量検査はムリです。(基準値超えの)輸入エビが、検疫をすり抜けて市場に流通している可能性もゼロではありません。それだけに今回の問題は根が深いのです」
牛肉、エビ……。偽装されたのは、日本人が昔から大好きで、国産と輸入品で価格差が大きいブランド食材だ。消費者のそんな心理を突いた悪質行為だからこそ、「誤表示」なんて言い訳で許してはならないのだ。
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