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食材「偽装」詐欺事案を「誤表示」問題に偽装 (植草一秀の『知られざる真実』) 
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/627.html
投稿者 笑坊 日時 2013 年 11 月 05 日 06:40:57: EaaOcpw/cGfrA
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-38dd.html
2013年11月 5日

阪急阪神第一ホテルグループで食材の偽装が明らかになって以来、食材偽装問題が全国規模に広がりを見せている。

ところが、この「偽装」問題が、「誤表示」と表現されるケースが多い。

「偽装」と「誤表示」ではまったく意味が異なる。

「偽装」を「誤表示」とすること自体が「偽装」である。

単に表示が正確でなかったという「誤表示」と、事実ではない虚偽の表示を意図的に行った「偽装」とは問題の本質がまったく異なる。

この点を明確に区別して問題に対処する必要がある。

中華料理界で、小さなエビを芝エビと総称してきた慣習があるなら、バナエイエビを芝エビと表示してきたことは、ギリギリ許容範囲内であるとも言えるかも知れないが、国産のブランド名を使用しながら、はるかに安価な外国産を用いていた場合は、明らかな「偽装」である。

両者を明確に区別した取扱いが必要不可欠である。

阪急阪神第一ホテルグループのケースでは、霧島ポーク、沖縄豚、信州そばなどの名称で提供していた料理に、この表示とは異なる食材が使用されていた。

これを「誤表示」とは言わない。

「偽装」である。

なぜなら、顧客の側は、こうした料理に、ブランド物の食材が使用されていることを前提に高い金額を支払っているのである。

「純金」の表示で金塊を販売して、実は、それが「金メッキ」製品であったとき、これを「誤表示」で済ませることができるのか。

刑法には「詐欺罪」の規定があるが、単なる金属の塊を「純金」と表示して、純金に該当する金額を顧客から受け取った場合、これは「詐欺罪」に該当するのではないだろうか。

警察当局は刑事責任を追及するために行動することが義務付けられるはずである。


新たに、近畿日本鉄道系の旅館「奈良万葉若草の宿三笠」(奈良市)では、豪州産牛の成型肉を、「和牛」と表記して販売していたことが明らかになった。

さらに、この食材には、食物アレルギー症状を引き起こす物質が含まれており、その表示がないまま、子供にも提供していたことがわかった。

三笠は、豪州産牛を使った成型肉を使用しながら、「和牛朴葉(ほおば)焼き」、「和牛ステーキ」として提供していたのである。

「和牛」表示は料理長の発案であったというが、これは「誤表示」ではなく「犯罪」である。

三笠は、これ以外にも、ブラジル産鶏肉を使った唐揚げを「大和肉鶏の唐揚げ」と表示して提供していたことが発覚している。

大和肉鶏は奈良県内の養鶏場で飼育されている、3品種を掛け合わせた鶏の肉で、赤みを帯びた肉に弾力性があり、うまみ成分を多く含むもの。

奈良県がブランド化を推進し、生産者による「大和肉鶏農業協同組合」の出願で、2007年に特許庁の地域団体商標に登録されたもの。

ブランド食材のひとつである。三笠は、このブランド食材である「大和肉鶏」の名称を表示しながら、ブラジル産の鶏肉を使用していた。


これ以外にも、ブラックタイガーやホワイトタイガーを「車海老」、ロブスターを「伊勢海老」と表示して料理を提供していた業者の存在が明らかになっている。

すべてに共通することがらは、食材の価格に著しい相違があることだ。

高価な食材を使用しながら、安価な食材の名称を表示していたのなら、消費者が損失を蒙ることはない。

ところが、そのような「誤表示」はひとつも存在しない。

すべての「誤表示」は、高価な食材、ブランド物の食材名を表示しながら、実際にははるかに安価な別の食材を使用していたものである。

これは、「うっかり」、なんらかの「手違い」で、「誤表示」になったものではない。

消費者を騙す目的で意図的に事実とは異なる食材が用いられたものと考えるのが合理的である。

これらの問題をメディアが「誤表示」と表現して伝えるのは間違っている。

「食材名偽装」として報道しなければ、適正な報道とは言えない。


国会議員では、学歴の表記が間違っていたとして議員辞職を迫られた者もいた。

○○大学と表示していたのが、実は○○経済大学であったことが判明すれば、これは明白な学歴詐称になるだろう。

授業を聴講していただけの経歴を、○○大学卒業と表記していたら、やはり学歴詐称で責任を問われることになるだろう。

これらの問題を指摘されて、

「誤表示だった」、

「意図的に事実でない名称を用いたとの認識はない」

と弁解しても通用しないだろう。


食材というのは、料理に提供される段階では、どこのどのような食材であるかが、見た目には判別しがたいという特性を持つ。

だからこそ、消費者の側は、「信用」を重んじる。

信用を置ける業者の提供する料理であるから、料理に付される食材の名称を信用して、その食材に見合う高価な対価を支払うのである。

この「信用」を悪用して、詐欺的行為を働いていたことが発覚すれば、その責任は重大である。

もちろん、関係者が辞職などで責任を明らかにする必要があるが、同時に、業者の信用は地に堕ちる。

有名企業でありながら、このような不祥事を引き起こした企業においては、企業風土を根本から刷新しなければ、失われた信用を取り戻すことは難しいだろう。

 

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