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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131104-00010745-president-bus_all
プレジデント 11月4日(月)12時15分配信
■いつでも売れるように
皆さんにご認識いただきたいのが、経営者であれば誰でも、ご自分の会社を売って、ハッピーにリタイアするチャンスがある、という事実です。しかし、どんな会社でも簡単に売れるわけではありません。しかも、チャンスはそれほど多くはないのです。会社のハッピーリタイアメントは結婚に似たものと考えていただくとわかりやすいと思います。チャンスがそれほど多くないのに、準備ができていないと婚期を逃す、あるいは結婚を急いで失敗する。そんな失敗をハッピーリタイアメントを狙うときには絶対に避けていただきたいのです。
ハッピーリタイアメントには2つ種類があります。M&Aと親族への事業承継です。
あなたの家に突然、来客があり、「あなたの家を買いたいので内覧させていただけませんか? 」といわれたらどうしますか? 多くの方は「当面、売る気がないので」と言い、丁重にお断りするのではないでしょうか。しかし、アメリカでは多くの場合、家はいつでも売れるように準備OKになっています。自分たちの家を持つアメリカ人がまめに日曜大工をするのも単なる趣味ではなく、重要な資産である自宅の価値を常に維持し、少しでも価値をあげていこうという考えの現れなのです。
M&Aや親族への事業承継でも考え方は同様です。いつでも売れるように、準備をし、会社の価値をあげておくことが重要なのです。
■「売れる会社」に変えるには
会社の価値をあげるには、何をおいても利益をあげることがポイントです。赤字の会社が売れないとは言い切れませんが、利益が出ている会社のほうが何倍も売れる可能性は高いのです。赤字や業績が下落しているタイミングでの売却となると、仮に売れたとしても買い手に足元を見られ、思ったような金額での売却ができない恐れもあります。
また、赤字の状態では親族への事業承継も難しくなります。利益を出して、その上昇局面で売却や事業承継ができれば最高ですが、そんなことのできる経営者は稀です。これを実現するには、ビジネスをしている中でいつでも会社を売れるように準備をしておくことです。
■社長仲間の話を鵜呑みにしない
こういった厳しい話を経営者の方にすると、よく「××社長の会社ではそんなことなかった」といういわゆる社長仲間の話を伺います。これは鵜呑みにしてはいけません。こういった社長同士の会話では自慢話が多く、話半分程度で聞いておかなければならないのが通常です。社長の話はあくまで自分が直接関わった案件の範囲だけであり、M&Aや事業承継を専門にしている業者の経験値と比較すると極めて狭い範囲の話なのです。もっと多くの正確な情報を集めるようにしてください。
このような情報を集めるには、本物のコンサルタントと出会うのがベストです。本物のコンサルタントを見極めるには、経営者や関係者を守るため、会社をたたむことも経営者に進言できる人なのかを見ることです。我が子のような会社を「たため」と言えるコンサルタントこそ、本当に関係者のことを考えられる、実行力のあるコンサルタントです。
■自分なしで動く会社をつくろう
オーナー経営者であれば、営業や開発などのビジネスの根幹をご自身が支えていることが多いはずです。しかし、M&A、親族への継承を問わず、譲渡にあたっては、自分が会社から抜けてもきちんとビジネスが回り、利益をあげる仕組み、体制を作っておくことが重要です。これなしには買い手も買う理由がありませんし、親族内でも承継が難しくなります。また、何よりご自身がハッピーリタイアメントできません。ハードルは高いのですが、このような経営体制を作ることで、何より安定した経営が可能になります。そうした安定した経営こそ、買い手としては欲しく、親族が相手でも胸を張って譲ることのできるビジネスなのです。
私は、必死で努力をされたにもかかわらず、たくさんの会社が無残にたたまれる様を見てきました。残念なことに、その多くが今回の連載で説明した基本的なことを知らないがゆえに破産やM&Aのタイミングを誤り、しなくてもいい苦労をしてしまったわけです。
少しでも多くの会社や経営者、そして従業員、取引先、顧客を救いたい、という想いをもって本稿を書いてきました。
ゆるやかに破産しましょう、ということを言いたかったわけではありません。破産を心配するずっと前にM&Aでexitしてしまえば、いのちを守る心配もしなくてよいはずなのです。「いつでもレディの状態でいてください」ということが一番お伝えしたかったメッセージです。
経営者の年齢があがる一方、若い人たちの就職難が問題となっています。引退を考える経営者に若い人へとビジネスを譲っていただければ、事業継承の問題も就職問題も解決するはずです。それができないのは、経営者の皆さん、若い人たちの知識不足、準備不足が大きな原因です。経営者の皆さん、ご子息の皆さん、もっと多くの人に会って、もっとたくさんの本を読んで、もっとネットの記事を読んで勉強し、自分で考えて、もっと強くなってください。準備万端にしてください。今回の連載がそのきっかけになれば幸いです。
こういった情報を提供し、サービスを提供する会社はまだまだ少ないのが実情です。既存のM&A業者は数億円以上で売買される案件しか扱いません。特に事業継承の問題を本質的に解決しようとすれば、街によくあるお店や会社のM&A、取引金額でいうと数千万円、いや1,000万円以下のM&Aを積極的に扱う必要があります。私は、そのためにハッピーリタイアメントというM&A情報提供サイトを立ち上げ、私が代表を務めるアルテパートナーズ株式会社で運営しています。
小規模M&A支援事業は1社が結果を残せばそれで終わりということはなく、全国規模でアドバイザーが増えなければ、全国的な問題解決ができません。そのため、日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)を立ち上げ、アドバイザーの育成、連携強化を図り、ハッピーリタイアメントをご支援するサービスを皆さんがいつでも利用できるような体制を構築しています。
本稿をきっかけとしてハッピーリタイアメントという考え方を多くの経営者の方々に知っていただき、この先10年20年間、問題となる事業継承、若者の就業難の問題を皆さんと一緒に解決していくことができれば最高です。
文=大原達朗(アルテパートナーズ代表、公認会計士) 企画協力=アルテ総合法律事務所(村井淳也・弁護士/渡邉 論・弁護士)
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