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iPhoneをはじめとしたスマートフォン向けの需要増で、電子部品業界は活況に沸く
電子部品業界がおびえる、苦い記憶の再来 絶好調のアルプス電気が下半期を慎重視するワケ
http://toyokeizai.net/articles/-/23225
2013年11月04日 島 大輔 :東洋経済 記者
スマートフォン向けの受注増と円安効果で、上半期業績の上方修正が相次ぐ電子部品業界。だがその一方で、かつての苦い記憶が再び業界を襲うのではないか、という警戒感も強まっている。
「(スマホ市場は)世界大手2社に加えて、中国メーカーも増えてきている。12月以降、供給過剰感が出て、調整が入ると見ている」。電子部品メーカー大手、アルプス電気の米谷信彦専務は10月31日、2013年度上半期(4〜9月期)の決算説明会で、目下の不安を口にした。
同社の今年度上半期は、売上高3282億円(前年同期比24.1%増)、営業利益111億円(同292.8%増)と大幅な増収増益だった。カメラアクチュエーターなどスマホ向け部品が大きく伸びたことに加え、期初の為替前提(1ドル=90円、1ユーロ=117円)よりも円安で推移したことから、従来計画に対しても売上高で422億円、営業利益で66億円上回った。
■下半期の営業利益を下方修正
だが、同時に上方修正を発表した通期の業績見通しは、売上高6480億円(前期比18.6%増)、営業利益240億円(前期比250.3%増)と、それぞれ従来計画に対して480億円、50億円の上乗せにとどまった。
上半期の営業利益が従来計画を66億円上回ったにもかかわらず、通期見通しは50億円しか上乗せしなかったということは、下半期(2013年10月〜2014年3月)の営業利益を従来の計画値よりも16億円引き下げたということだ。これは、会社側がそれだけ下半期を慎重に見ていることを意味する。
これをさらに詳細に分析すると、アルプス電気が下半期の先行きを厳しく見ている様子が浮かび上がる。
今回、アルプス電気は下半期の為替水準を1ドル=95円、1ユーロ=125円に見直した。同社は海外での売上比率が高いため、為替が1円円安に振れると、対ドルで3.6億円、対ユーロで0.6億円、営業利益にプラスとなる。つまり、為替前提の見直しだけで23億円ほど営業利益が押し上げられた格好だ。したがって、為替影響を除くと、下半期の営業利益は従来計画よりも39億円下方修正したことになる。
その理由は、米谷専務が口にした「スマホ市場の調整」を織り込んだからにほかならない。
■電子部品業界がおびえる“あの記憶”
電子部品メーカーには苦い記憶がある。今年初め、アップルが突然、iPhone5の大幅減産に踏み切った。単一モデルとしての生産量が群を抜いて多かった同機種の減産によって、関連部品の売り上げが落ち込み、電子部品各社の業績に打撃を与えた。これが、いわゆる「アップル・ショック」だ。
「スマホ向けは特にクリスマス商戦後に大きく受注が変動するため、先行きがまったく読めない」。スマホ向けに強みを持つコネクター専業の電子部品メーカー、ヒロセ電機の串田榮副会長も、こう漏らす。
電子部品メーカーにとって、今やスマホ関連部品は業績の動向を左右する生命線。しかし、いつまで足元の活況が続くのかは極めて不透明だ。部品メーカーは、スマホ市場の動向にこれまで以上に敏感になっている。
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