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ついに始まった、反社取引発覚のドミノ倒し みずほ銀行に続き、新生銀行も
http://toyokeizai.net/articles/-/23218
2013年11月02日 大西 富士男 :東洋経済 記者
やはり負の連鎖は起こった。
10月31日、新生銀行の当麻茂樹社長は同社の2013年4〜9月期(上期)決算発表の記者会見で、グループ信販会社のアプラスと新生信託銀行との提携ローンで反社会的勢力(反社)への融資が十数件あったことを明らかにした。
みずほ銀行とオリエントコーポレーション(オリコ)の提携ローンで暴力団などの反社会的勢力(反社)取引が2年間にわたって放置していた問題で、金融業界が揺れているさなか、みずほ問題の発覚後に実施した行内調査で見つかった。
新生信託銀行はすでに反社と判明した契約については、アプラスに代位弁済(代弁)を要求し、融資の肩代わりをさせて自行債権(融資)の解消は行った、という。
■全件チェックが行われていなかった
当麻社長は「入り口審査での反社チェックシステムが不十分だった」という趣旨の発言をしているが、このシステムがどういうモノであるかの詳細は明らかにされていない。
加盟店を通じた顧客からの割賦取引の申しこみを入り口で反社でないかどうか審査する役割を果たすのは、信販会社のアプラスだ。ここでの審査を通り抜けた契約のうち、自行の反社データと照合(突合)させて、事後審査として新生信託銀行が反社案件をあぶり出す2段構えの反社審査の仕組みは、オリコ−みずほの審査体制と基本的に変わらない。
ただ、東洋経済のアプラスへの取材で新たな事実が判明した。アプラスが行う入り口の契約審査で、反社に関する全件チェックが行われていなかったのだ。
みずほとの提携ローンで、オリコはまがりなりにも、自社で構築した反社データベースをもとに全件チェックを行っていた。今回のアプラスは、オリコと比べても反社チェックの入り口審査の仕組みがずさんということになり、新生銀行グループが謳う反社取引遮断システムに重大な欠陥があったことになる。
肝心の詳細について、アプラスは「不十分だった」と言う以上は口をつぐむが、取り扱う商品で入り口審査を変えていたもよう。「審査に時間をかけられる」商品、たとえば住宅・リフォームローンなどでは反社審査の全件チェックをかけていた一方で、主力商品の自動車(中古車、新車)ローンは入り口での反社チェックを全件していなかったようだ。
「審査時間は15分が普通」と関係者は語る。信販会社には、加盟店から審査のスピードアップの圧力がかかる。顧客も審査に長い時間がかかるのを待ってくれないという営業現場の現実もある。
オリコなど上位勢力に比べて序列下位にあるアプラスも、競争に負けまいと大量の契約データをチェックするために、審査迅速性の面で不利になる「反社全件チェック」導入を渋った疑いがある。営業優先で審査を怠った、というそしりは免れそうにない。
■発表内容は不十分
アプラスは提携ローンの反社審査の仕組みや、問題発生の原因、経営責任、今後の防止策など、現時点で対外的に一切明らかにしていない。10数行の金融機関と提携ローンを行っている、という以外には問題提携ローンの残高など基本的なデータの開示もしてない。
新生銀行の発表内容も問題の解明にはきわめて不十分だ。十数件という問題融資の数も、完済した反社取引など過去に及ぶ件数を正確に表していない可能性がある。すでにアプラスに反社融資は返したから問題は終わり、ではないはずだ。新生信託銀行が融資を解消してもアプラスには依然として反社取引が残っており、グループとして反社融資を許し、現在も抱えている現実は変わらない。
抜本的な防止・解決策、原因の究明、問われるべき課題は山積みだ。みずほ−オリコの失敗を教訓として生かすことができるのか。経営トップの対応が問われる場面でもある。
信販、ノンバンク、銀行など日本の金融機関が反社融資に広く汚染されていたという実態がこれからも次々と明らかになる可能性が高い。国内世論は言うまでもなく、米国を始め世界の規制当局・メディアも厳しい視線を寄せる日本の反社取引発覚のドミノ倒しが始まりそうだ。
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