02. 2013年11月01日 11:00:24
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大前研一 『規制緩和・TPP・日欧貿易〜グローバルな視点で状況を理解する』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 規制緩和 産業競争力強化法案を提出 TPP 牛タン、骨付き肉など関税ゼロの有力候補に 日欧貿易 日本の自動車部品 輸入関税撤廃を提案 ------------------------------------------------------------- ▼ 産業競争力強化法案は細かすぎて、景気回復にはつながらない ------------------------------------------------------------- 政府は、企業再編を後押しする税制優遇を盛り込んだ 産業競争力強化法案を15日召集の臨時国会に提出しました。 デフレ脱却に向け供給過剰を是正する一方、規制緩和で経済を 活性化し需要を創出する枠組みになっているとのことです。 ついに、アベノミクスの第3の矢「成長戦略」の要が出てきたのか と思いましたが、詳細を見てみると意味不明なものばかりで、 これでは景気回復は期待できないでしょう。 外国人医師・看護師の拡大なども、英語が使える病院を増やすという 程度のことで、病院経営を許可しているわけではありません。 また公立学校を企業が運営できるというのも、学校法人として という制限があるので、結局は文科省の傘下に入ることになり、 大きな変革にはならないでしょう。 街づくりでは容積率・用途規制の緩和とありますが、 若干ゆるめた程度では効果は期待できません。 そもそも容積率の根拠を安全性に求めるなら、自治体、 市町村ごとに方針を決めて容積率を決定させればいいのです。 建造物の高さによっても、安全な容積率は変わってくるでしょうから、 それぞれの街づくりの方針が重要になってきます。 このような形で自治体に任せれば、景気が爆発的に良くなることも あると思いますが、現状示されている項目では細かすぎて インパクトがなく、景気回復につながるとは私には思えません。 ------------------------------------------------------------- ▼ TPPでは「海外に資金を投じていく」という考え方が重要 ------------------------------------------------------------- 政府は環太平洋経済連携協定(TPP)に合わせて関税をなくす 食品を絞り込む作業に入りました。 関税の撤廃を受け入れない「聖域」としてきたコメ、麦、砂糖、 乳製品、牛肉・豚肉の5項目のうち国内の生産者への影響が小さい との判断から、牛タンや骨付き肉などが関税をゼロにする 有力候補に浮上しているとのことです。 ある報道で、農家の保護にあたり日本国民が 1人あたり2万円負担していると指摘していましたが、 これは本質的な問題ではないと思います。 私がより重要だと思うことの1つは、日本が 「1つの事例に過剰に反応しすぎる」ことです。 例えば米国で発生したBSE問題で言えば、たった十数頭の牛の感染が 発覚しただけで、輸入が全面的に禁止になっています。 そして、一度禁止になると解禁されるまでに数年かかります。 かつて口蹄疫問題で禁止になったアルゼンチンからの輸入は、 しばらくして解禁されましたが、ほとんど誰も知らない のではないでしょうか。 さらに重要だと思うのは、「TPP=国内保護産業に対する制限撤廃」 と考えて四苦八苦するのではなく、「TPP=海外に攻める施策」 として捉えることです。 主要国の農業関連収入に占める政府支援の比率を見ると、 ノルウェー、スイス、日本、韓国などが上位を占める一方で、 オーストラリアやウクライナといった農業国では国からの 支援がほとんどないことがわかります。 もし日本がウクライナに、日本国内に投じている資金の 100分の1でも投資すれば、そこに世界最高の収益性を誇る 土壌を持つ農場を運営できるでしょう。 日本国内に100倍の資金を投じるよりも、 よほど効果があると私は思います。 もちろん国内の農家の保護を疎かにはせず、 農家が一生食べていけるだけの援助をするのも良いでしょう。 しかし、同時に農業そのものを開放する考えを 持つべきだと思います。 オーストラリアでコメを作れば、おそらく1キロ25円程度で 質が高いコメを生産できると思います。 ウクライナでは、鳥や豚を育てれば良いでしょう。 日本国内にこだわることなく、海外で日本人が好む作付けを するために、資金を海外に投じていくという考え方が 必要だと思います。 そして、こういう考え方こそ、グローバル経済なのです。 また、日本と欧州連合(EU)については非常に良い取引の ニュースが報じられました。 日本とEUがお互いの輸出入品にかけている関税の撤廃・削減を めざす交渉で、EUが日本の自動車部品の輸入関税を 直ちに撤廃する案を示しているとのことです。 日本がEU製のチーズやワインなど加工食品にかけている 輸入関税を撤廃することが条件になるそうですが、 これは大いに進めてほしいと思います。 現状、EUは米国や中国との関係は深いものの、日本との関係は 浅いので、今後深めていきたいということでしょう。 日本の自動車部品の関税撤廃も喜ばしいですし、欧州の良質の ワインやチーズが関税撤廃されて日本国内に入ってくるのは、 消費者としても嬉しいことです。 実際、日本国内で欧州のワインやチーズに真っ向から 抵抗しようという会社もほとんどないでしょうから、 この話は早急に進めてほしいところです。 ========================================================== この記事は10月27日にBBT Chで放映された大前研一ライブの 内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに再構成
[12削除理由]:無関係な長文多数 |