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今後も続く米予算混乱 インフレ政策で攻防…日本への影響必至 日高義樹(ZAKZAK) 
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/553.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 10 月 31 日 10:21:53: AtMSjtXKW4rJY
 

オバマ氏によるイエレンFRB議長(左)人事にも共和党は反発(ロイター)


http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131031/dms1310310723001-n1.htm
2013.10.31 世界を斬る 日高義樹


 「政府の閉鎖騒ぎが終わった後も、オバマ大統領と共和党の対立は激化する一方だ。米政治の混乱が、景気回復の足をひっぱることになるのは間違いない」

 ワシントンの友人らがこう口をそろえている。両者の対立が続いているため、米国の2014年度予算や赤字の限度額を決めた強制的予算削減法の行方がどうなるのか、まったく分からない。与野党の話し合いの最大の焦点である税制の変更も見通しが立っていない。

 私が会長の顧問をしている全米商工会議所は、安価な労働力としてヒスパニック系移民を雇いやすくする移民法改正に期待しているが、その法律の成立もメドがたっていない。

 各種データを見るかぎり、先の政府閉鎖の影響を受けて仕事が増えなかったことは明らかだ。まもなく発表される10月の雇用統計では、失業率が上昇しているのではないかと懸念されている。重要な経済指標の一つである購買力指数も大きく落ち込んでいる。

 ウォール街の専門家は私にこう言った。

 「予算をめぐる争いは今後も続く。先行きが不確実なため、金融市場が混乱する懸念が強い。連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策の手直しも先延ばしになるだろう」

 FRBといえば、オバマ大統領はバーナンキ議長の後任としてイエレン副議長を指名したが、共和党はこの人事に強く反発している。

 「イエレン氏は、金融緩和を続け、インフレ政策でオバマ経済の失敗をごまかそうとしている」

 共和党保守勢力の代表の一人、テッド・クルツ上院議員はこう主張し、オバマ氏の人選に真っ向から対立する姿勢を見せている。クルツ氏は上院財務委員会のナンバー2で、FRB人事に強い力を持っている。

 クルツ氏は「オバマ氏のインフレ政策と社会主義的な予算増大政策をくい止めなければ、米国の次世代が膨大な借金を背負うことになる」とも話している。

 米国で最も権威のある経済調査機関といわれる議会予算局は、最新の「長期的予算展望」で「このままなら米政府の累積赤字額は10年後の2023年に国民総生産の71%、38年に100%になる」と報告している。

 加えて、オバマ氏の主要な課題とされる新医療保険制度がコンピューターシステムの欠陥で全く機能せず、修理に膨大な費用と時間がかかりそうな情勢だ。

 こうしたオバマ氏の無駄遣いに対抗して、予算審議で重要な役割を持つ米下院多数派の共和党は、ホワイトハウスに本格的な政治的ゲリラ戦をしかけるとみられる。結果、米景気の回復が遅れて、日本に悪影響を及ぼすことになるのは間違いない。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

 

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コメント
 
01. 2013年10月31日 10:29:50 : e9xeV93vFQ
JBpress>海外>USA [USA]
米国の栄華が終わりを告げようとしている
死ぬまで働き続けたいと考える人が3分の1以上に
2013年10月31日(Thu) 堀田 佳男
 米金融大手のウェルズ・ファーゴが中流層に実施した最新の世論調査によると、「死ぬまで働きたい」と回答した人が37%。「80歳まで働きたい」という人は34%もおり、2項目を合わせると71%に達する。

「60歳から悠々自適の生活」は過去の遺物に

NY「オキュパイ」デモがウォール街を占拠、2万人行進も 米国
ニューヨーク証券取引所前に押し寄せた「ウォール街を占拠せよ」デモの参加者〔AFPBB News〕

 かつての60歳か65歳でリアイアしてあとは悠々自適の生活を送るという人生設計は、もはや過去のものとなりつつあるようだ。

 この71%という数字は過去数年間で急激に上がってきたものだ。2年前は約50%である。

 これは米国の公的年金(社会保障年金)だけでは、老後の生活を送ることが難しいことを意味してもいる。米国社会で何かが急激に変化してきている。

 読者の方は、2年前にニューヨーク市で起きた「ウォール街を占拠せよ」という抗議運動を覚えておられるだろう。米政財界への不満が爆発し、座り込みから泊まり込みへと発展し、沈静化するまで数カ月間も続いた。

 背景にはバラク・オバマ政権の金融機関救済への批判や富裕層への優遇措置があった。デモ参加者が掲げたのは「我々は99%だ」というスローガンで、富裕層1%が占有する富と社会格差に対する憤懣が表出した。それは仕事が見つからない学生や失職中の人だけでなく、一般市民にも浸透した深刻な憂慮であり、憤りだった。

 前出の世論調査でも、中流層の59%が月々の光熱費や住宅ローンなどの「必要経費を支払うのがやっと」の生活になっていると回答しており、「家計が厳しい」のが普通になった。さらに48%はリタイアするのに十分な貯蓄や退職プランを用意できていないと答えた。現実的に米中流層の財政状況は厳しさを増しているのだ。

 こうした数字を分析すると、先の「死ぬまで働きたい」の意味は、老後に何もしないよりは仕事をしていたいというのではなく、「死ぬまで働かざるを得ない」というのが実相であることが分かる。

 筆者は体験的に、多くの米国人が40歳くらいまでに億万長者になり、以後はできれば働かないで暮らしたいとの願望を持つことを知っている。米国では実際にこの望みを実現している人もいるが、限られた富裕層だけに許された生活スタイルである。

 日本の老後と貯蓄はどうなのだろうか。金融広報中央委員会の世論調査では、リタイアするのに十分な貯蓄をしていないと回答した人は米国の48%に近い42%という数字だ。

 男女800人を対象にしたインターネット調査によると、いつまで働くのかとの問いに対し、「65歳まで」が最も多く24%。次いで「60歳まで」が21.8%。「死ぬまで」という選択項目はなかったが、代替項目の「可能な限り働き続けたい」が19.6%でほぼ2割にとどまった。

 またすぐにでもリタイアしたい人は6.1%だった。これは余生を遊んで暮らせるだけの資産がある人の割合とも受け取れるが、預金はあっても仕事をし続けたいと思う人の方が多いということである。こうして見ると、近年は米国の深刻さがより目立っている。

リーマン・ショックと住宅バブル崩壊のダブルパンチ

米住宅市場の底打ちは09年末以降、専門家
ラスベガスで売りに出されている住宅。価格引き下げのサインが掲げられている〔AFPBB News〕

 ウェルズ・ファーゴの退職信託部門のローリー・ノードクィスト氏が説明する。

 「過去3年同じ世論調査をしていますが、月々の必要経費を支払えるかどうかを心配する人が増えているのが現実です。老後に貯蓄をしている人の割合が確実に減少しています」

 この流れが続くとなると、米市民の将来に暗雲が立ちこめていると言わざるを得ない。

 米景気は今ゆるやかに回復しているが、リーマン・ショックと住宅バブルの崩壊で、金融資産を大幅に目減りさせた世帯が多い。日本と比較すると、米国では資産を株式で所有する人が32%もいる。日本はわずか8%に過ぎない。

 資産をキャッシュ(預金)で保持している人の割合を見ても、日本が54%であるのに対し、米国は13%。いかに金融危機や株価暴落で大きな影響を受けやすいかが分かる。

 前出の世論調査では、回答者の24%はもう株式市場に自信が持てないとしている。しかも株式市場は「自分にとって利益を生み出さない」と考える人が45%に達している。さらに52%の人は「もう株には手を出したくない」と答えているのだ。

 これまでの米国の主な資産運用先は株式と不動産だった。過去5年でその両方がクラッシュしたことで、実質的な資産を減らし、投資の手立てをなくしてしまった。

 家を買い替えることで、より大きな家屋に転居し、さらに利益まで出せる時代は終わった。投資信託を長期間保有すれば、それで余生を豊かに送れるという神話も終焉を告げたと言っていい。

 今後、米国経済が大きく持ち直しても、米国民の貯蓄と投資に対する価値観が変化しない限り、「働かざるを得ない」状況に大きな変化は訪れないだろう。

 ただ苦しくなる家計とは別に、米国人の働き過ぎという現象は20年以上前から専門家に指摘されていた。

働きすぎのアメリカ人

 1992年、ハーバード大学経済学部准教授だったジュリエット・ショア氏が『働きすぎのアメリカ人』を出版し、労働時間の延長とバケーションの短縮を指摘して話題になった。当時、米国人は1970年と比較し、すでに年間で約1カ月も多く働くようになっていた。

 米国のホワイトカラー層の年俸はいくら残業しても変わらず、家庭よりも職場にいる時間の方がはるかに長い人が少なくない。ワーカホリックと呼ばれる人たちが増え始めた時期でもある。

 ただ、この主張には反論もあり、学者の間で議論が巻き起こった。1つは、統計の取り方に偏りがあるとの指摘だ。就業者全体ではなく、いくつかのカテゴリーに分けて分類しているため、ホワイトカラーなど特定層の労働時間は延びているが、米国の就労者全体には適用できないと言われた。

 確かに、筆者の周囲を見渡した時、平均的な米国人は日本人よりも休暇をはるかに多く取っている印象があった。日本の会社員や団体職員の多くは、いまだに有給休暇を消化し切れない。と言うより、有給休暇を使い切ってバケーションに出る文化を持つ組織が少ない。

 さらに、米国でもパート労働者が増えており、彼らの総労働時間が正社員や正職員より多いわけがないという指摘があった。パートの割合が増えれば増えるほど、数字的には労働時間は減る傾向にあるはずだ。

 それでも、近年の経済環境によって平均的な米国人の労働時間は20年前とは違う理由で長くなっているのは周知の事実である。

 80歳まで、いや体が動かなくまるまで働かざるを得ないという現実に直面しているのが、今の米国の中流層の悩みである。

 換言すれば、これは米国の「栄華の終わり」と言っても差し支えないかもしれない。

[12削除理由]:無関係な長文多数

02. 2013年10月31日 17:37:35 : e9xeV93vFQ

小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」
米国経済減速の可能性 FRBがQE3縮小を見送る理由とは 小宮一慶
• 2013年10月25日連載ウォッチ
 医療保険制度改革問題で混乱した米議会は、デフォルト(債務不履行)ギリギリの期限である10月16日の夜になってようやく暫定予算を成立させることができました。この予算策定の遅れが市場に与える影響が気になります。9月に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が量的金融緩和第3弾(QE3)縮小を発表するのでないかと、多くの人が予想していましたが、結局、縮小は見送られました。これについて私は、FRBは米国景気の先行きに陰りがあると見ているのではないか、と危惧しています。予算執行の遅れにようやく発表された9月の雇用統計も、悪くはないものの、市場が予測していたほどの力強さがありませんでした。
 もし、米国経済が減速しているのであれば、ようやく底を打ち始めた世界経済が、再び減速してしまう恐れがあるのです。今回は、QE3縮小延期の理由と米国経済の現状について解説していきます。
FRBはなぜQE3縮小を見送ったのか
 これまで米連邦準備制度理事会(FRB)は、何度か量的金融緩和第3弾(QE3)の縮小について言及してきました。バーナンキFRB議長は、5月にQE3縮小を示唆し、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見では、「2013年後半に購入ペースを緩めることが適切だと考えている」と明言していたのです。
 そこで市場には「FRBは9月のFOMCでQE3の縮小を発表するのではないか」という観測が広がりましたが、結局は見送られることになりました。
 なぜ、FRBはQE3に踏み切らなかったのでしょうか。これに関連して、非常に興味深い記事がありましたので、ご紹介したいと思います。2013年10月14日付の日本経済新聞朝刊に米ハーバード大学教授 マーチン・フェルドシュタイン氏によるコラム『米の量的緩和はリスク』が掲載されていました。このコラムでは、FRBがQE3縮小を見送った理由について、3つの可能性があると述べています。
堅調だと思われていた米国経済に減速懸念
堅調だと思われていた米国経済に減速懸念
 1つは、バーナンキ議長を含むFRB幹部たちは、元々、QE3を縮小するつもりはなかった、というシナリオです。これまでバーナンキ議長は、QE3縮小について発言してきましたが、これは単純にQE3をやめたがっている幹部への配慮だったのではないか、というのです。

 2つ目は、バーナンキ議長は確かに9月に縮小を始めるつもりでしたが、過去に縮小について触れたとき、自分たちの発言によって大きく市場が動いたり、長期金利が急上昇したことに驚いて、取りやめた可能性があるということです。米国の長期金利である「10年国債利回り」の推移を見てください。確かにQE3縮小について発言した5月以降、長期金利が1%以上も上がっているのです。
 3つ目は、最も懸念すべきシナリオです。堅調だと思われていた米国経済に、減速の傾向が見えはじめたことを懸念した可能性があるということです。その場合、もし、縮小を始めてしまうと、将来の事業活動が高金利に阻害されかねないとFRBは判断したのではないか、というのです。
 米国の2013年上期のGDP成長率は、年率で1.8%に留まりました。民間予想によりますと、7〜9月期は経済成長が加速する可能性は低いと考えられており、このままでは、今年の成長率は2%を大きく下回るということです。


消費者物価は2%を切る水準が続く
消費者物価は2%を切る水準が続く

 その上、もう一つ懸念材料が生まれつつあります。「消費者物価(前年比)」を見てください。ここのところ、2%を切る水準が続いていて、デフレに陥る可能性が浮上しているのです。今、多くの人が、米国景気は順調に回復しているし、今後もこのトレンドが続いていく、と考えています。ところがFRBは、実は米国景気はそれほど強くないどころか、弱含みつつあるのではないか、と認識している可能性があるのです。
 実際のところは、どうなのでしょうか。はっきり言いますと、現時点では、誰にも分からないでしょう。つい最近までは、「年内には、QE3を縮小するだろう」と考えている人が多かったと思いますが、もし、先に述べたフェルドシュタイン氏の三つ目の仮説(経済が減速している可能性)が正しければ、10月初旬の議会での予算審議の遅れや債務上限問題でのごたごたもあり、QE3の縮小は年明け以降まで延期されるのではないかと考えられるのです。


景気減速のシナリオになれば、世界経済が再び減速す..景気減速のシナリオになれば、世界経済が再び減速する恐れも
 もし、この三つ目のシナリオのように動きますと、せっかく底を打ち始めた世界経済が再び減速してくる恐れがあるのです。
 今、市場は、QE3が近いうちに縮小されることを前提に、つまり、米国経済は堅調だということを前提に経済の先行きを考えています。ですから、もしQE3が縮小することになっても、一時的には市場にネガティブなインパクトを与えるでしょうが、縮小自体は米国経済の強さを裏付けるものですから、最終的には好材料となります。

 こうした観測が覆されることになりますと、今後の米国経済、そして世界経済は、予想より悪化する可能性が出てくるのです。
 それでは、現在の米国の景気指標を見ていきましょう。全体的には、確かに悪くない数字が並んでいます。QE3終了の判断材料となっている「失業率」を見ますと、比較的順調に改善してきている様子が窺えます。
 それから、「非農業部門」の雇用者数の推移を見てください。これは、いつも説明していますように、月15万人、年間180万人増えていれば好調だと考えられています。2013年8月も19.3万人、9月は14.8万人(速報値)増加していますから、まずまずの数字だと言えます。ただし、9月は市場予想の18万人よりは少ない数字でした。


米国の個人消費は好調ではない
米国の個人消費は好調ではない
 米国のGDPの約70%を支える「個人消費」の数字も見てみましょう。このところ3%前後で推移していますね。この指標は、安定的に5%を超えていると米国経済は好調であると私は判断していますから、そういう点では、まだ米国の個人消費はそれほど好調ではないと言えます。
 一方、耐久消費財の消費の動きは微妙です。「住宅着工」は年換算で90万戸前後の水準まで戻していますが、このところの伸びは少し緩慢です。ただし、一部の地域では不動産バブルが起こっているとの指摘もあります。米国での自動車の売上を示す「自動車販売」は2013年8月は年率1602万台まで回復しています。リーマンショック前の2007年には、1600万台を超えていたことを考えますと、これはかなり好調な水準だと言えるでしょう。
 気になるのは「住宅着工」がやや伸び悩んでいることです。2012年より改善してきていることは間違いありませんが、春先から90万戸を行ったり来たりしている状態で、それ以上は増えていないのです。


消費が旺盛な米国人が先行き不安で貯蓄に
消費が旺盛な米国人が先行き不安で貯蓄に
 それから、米国の国民が長期的な景気に自信を持っていないなと感じるのは、「貯蓄率」です。この推移を見ますと、2013年5月以降、4%台半ばで推移していることが分かります。

 この指標は、好景気の時は0%に近い水準まで下がり、バブルのピークでは、多くの米国民は借金してまで消費していましたから、月の数字ではマイナスになっていたこともあったのです。ですから、今はかなり高い水準だと言えますね。消費が旺盛な米国人が、先行き不安を感じて貯蓄をしているのです。「消費者信頼感指数」も、9月に減少しています。
 以上の点からも、FRBは米国経済の底堅さにQE3を縮小するほどの自信を持てないのだと考えられます。これから、雇用と消費が伸びてきて、その結果、GDPも3%程度の伸びを維持すれば、QE3は縮小に向かうのではないかと思いますが、少し難しいと感じます。一旦縮小した後、再び方針を変えるというのはFRBとしては極力避けたいところですから、QE3縮小の発表には慎重にならざるを得ないのです。
 このコラムでもいつもお話ししていますが、米国のGDPは世界のGDPの約22%を支えていますから、米国の動向は世界に大きな影響を与えます。2013年に入ってから、米国経済が堅調に推移していたこともあり、低迷していた欧州経済やアジア経済にも底打ち感が出てきました。
 市場は、このまま米国景気が底堅くなっていくだろうと考えていました。ところが、もし、そのシナリオが覆されてしまうと、米国だけでなく、ようやく回復してきた欧州やアジア経済も再び減速する恐れがあるのです。
 もう一つ注意すべきなのは、医療保険制度改革問題で混乱した米議会は10月16日の夜になってようやく暫定予算を成立させることができましたが、こうした影響で雇用統計やGDPなどの重要な指標の発表が遅れたことも、市場を混乱させている一因となっています。さらに、政府機関が閉鎖されている間は、一時は80万人もの連邦職員が一時帰休する事態となりましたから、経済に与える影響も少なくないでしょう。この問題がどれだけ経済の足を引っ張ったかは、これから発表される指標を確認する必要があります。
一度QE3を縮小したら、失敗は許されない
一度QE3を縮小したら、失敗は許されない
 いつ、どのようにQE3を縮小していくか。この判断は、失敗が許されません。本当に米国景気が堅調であれば、縮小しても問題はありませんが、もし、縮小によって景気が失速してしまったら、FRBの信任は一気に失われてしいます。景気が失速しなくとも、縮小後、経済が順調に回復しなくても信頼度は落ちます。ですから、一度縮小して、再び元に戻すということは絶対にやりたくないことなのです。
 そのためFRBは、QE3縮小のタイミングやそのやり方を非常に慎重に見極めるでしょう。QE3を開始した先年9月には、失業率6.5%の時点で完全にやめるとしましたが、それは、完全にやめる時期を明示したに過ぎず、どこから縮小するかはここまで説明したようにとても難しい判断になります。来年には新議長への交代も決まっており、そのあたりも微妙に影響する可能性があります。
 縮小の方法に関しても同様です。現在、月850億ドル(住宅ローン担保証券400億ドル+長期国債450億ドル)の資金供給を行っていますが、それをどのくらいのペースで減らしていくのか。片方だけ減らすのか、両方バランス良く減らすのか。また、いつまでもゼロ金利を続けていくことも経済の状態としては健全ではありませんから、金利引き上げの時期も模索していかねばなりません。
 このようなことを考えますと、FRBは、これから難しい舵取りを迫られるのではないかと思います。特に、2014年1月からはイエレン新議長が就任しますから、新議長の信任を維持するためにも、なおさら失敗は許されません。こういった背景からも、QE3の縮小については、かなり慎重に判断されるのではないかと考えられます。
以上の点を考えますと、当分は縮小されない可能性もあるのではないかと思います。いずれにしても、政府機関の閉鎖によって発表が遅れている雇用統計をはじめとする景気指標の動向に注意が必要です。(つづく)
小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『ハニカム式 日経新聞1週間ワークブック』』(日経BP社)――絶賛発売中!
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皆様からお寄せいただいたご意見(7件)
1. 米国は、自国の産出(海外投資の見返りを含む)以上の贅沢な消費が作るGDPの約3%の経常収支赤字を毎年ドル札増し刷りで補っている。米国民は、紙切れの米ドル札バラマキで楽をしているが、長年米国〈民〉が血と汗を流して築いた世界覇権の結果だと考えれば、全く不公平な仕組みともいえない。
経済発展には、人材・設備・ノウハウとその調達資金が必要である。国内の人・物は自国通貨増発で支払えるが、発展途上国は必要な人材・ノウハウ・産業機器等の大部分が外国頼りだから、購入の国際通貨ドルが必要である。現在、米国の金融緩和累計約2.8兆ドルは、米国の経常収支赤字支払いで黒字国に流れ、そこを経由して発展途上国の旺盛な資金需要を満たしている。
クスリ様は、世界の膨大な資金需要を基軸通貨ドルの膨張に頼る不合理を指摘されている。基本的で重要な指摘だと感心する。但し、『QE3の増加資金は、米国国内ではなく、海外への投資、投機資金として流れ出している』について、産油国や中国等の経常収支黒字国が中間に介在していると補足させていただく。それらの黒字国では、米国からの輸入品が少なく、貿易でドルを米国に還流できずに余ったドルを自国や他の発展途上国への投資にまわす。一部、マーちゃん様の言われるハゲタカもあろうが、大半は成長への投資の役割を果たしていると思われる。
世界に流出したドル札が発展途上国の膨大なドル資金需要をまかない、米国は、世界の警察官以外に、年3%で金を貸す発展途上国向けノンバンクの役割を果たしている。米国の世界経済への貢献は大きい。また、第一の矢、異次元金融緩和で円安を招きよせると同時に発展途上国への資金供給も実現させた安倍晋三首相は、よく時代を認識している人物と称賛するべきだろう。
世界は人物金が自由に国境を超えるグローバル経済に移行済だ。しかし、世界の政治経済関係者は、小宮様もそうだが、まだその認識が不十分で、一国内で判断する人が多い。『世界経済が金融を通じて密接につながっていることが逆に大きなリスク』とのとひょん様のご指摘は当たっている。 (富士 望) (2013年10月28日 12:30)
2. 基軸通貨で量的緩和を行うと最早一国だけの経済指標で判断を下せる状態にないということを認識すべきと思います。バーナンキ氏が量的緩和3を縮小すると言っただけで発展途上国からの資金引き揚げが開始されそうになり、該国からクレームが来たとのことです。世界にばらまかれたドルの緩和を行うということは通常の貿易ルート以外の禿げ鷹軍団がドル価値が高くなることを見込んで資金を引き揚げ、該国の通貨が弱くなった所で大量買い付けを行うことにより、巨万の富を築く目論見と考えられます。
禿げ鷹軍団のこのやり方で以前マレーシアが標的に遭い通貨危機になるところでしたがマハティール首相は汗水たらして稼いだお金を禿げ鷹軍団ごときにさらわれてなるものかと為替交換の制限をしたと記憶しています。素晴らしい判断でしたが、この処置は自由を奪うものと有る筋からクレームが出されものの、マハティール氏は守り抜いたのです。
地道に稼いだ金をマネーゲームで失う、何か変ですね。しかし自由経済というものはそれを容認するものなのでしょう。アベノミクスも金余りで一部の国内裕福層がマネーゲームに走り、汗水たらして地道に稼いだお金の価値を下げないようにどのようにすべきかシステムを見直す必要があるのではないかと思っています。アベノミクスの有り余るお金の使い道が真っ当で有りますよう祈るばかりです。 (マーちゃん) (2013年10月27日 21:16)

1. FRBが金融緩和縮小を見送った理由は米国経済減速が原因ではなく、国内経済、新興国に与える影響、リーマンショックと中国のシャドーバンキングが原因だと思います。金融緩和縮小を実施すれば新興国から資金がアメリカに還流され資産バブルが起きる可能性があります。つまりリーマンショッツクの再現が近い将来再現する可能性がでてきます。資金が逃避した新興国の経済は(BRICS)1997年のアジア通貨危機の時のように大混乱になり一部のヘッジファンドは儲けるでしょうが、新興国に資金を供給しているアメリカの金融機関は大打撃をうけてIMFがアジア通貨危機の時と同じように出てくるでしょうが、今回のBRICSは経済規模が大きいのでIMFだけではてに負えないかもしれません。日本も新興国の経済成長を取りこんでいるので影響をうけます。また、リーマンショツクを回避しようとした中国が打ち出した財政投資は初めのうちは効果を発揮しましたがインフレ、バブル崩壊を恐れたため金融縮小を実施したことがシャドーバンキングにつながったことも学習効果になっているのかもしれません。以上から今回の金融緩和縮小が見送られたことは世界経済にとってはよかったと思いますが、世界経済が金融を通じて密接につながっていることが、逆に大きなリスクになる気がします。特にFRBの金融政策 (とよひょん) (2013年10月26日 16:57)
2. 米国のQE3の縮小は懸念は、米国債の金利上昇=国際価格の下落をもたらし、新興諸国への投資資金を引き揚げ景気を減速させ米国本土の景気減速=デフレ化を惹起しつつあることは、しごく金融経済原則に則った合理的な動きであろう。正に日本のアベノミックスの経済効果の逆筋を辿っているからである。なぜそうなるのであろうか?データーで明確には出来ないが、恐らく大半のQE3の増加資金が米国国内ではなく、海外への投資、投機資金として流れ出しているからであろう。世界にはお金さえあれば高度に経済成長出来る新興諸国が、まだまだ数多くあるからである。所謂ドルキャリーが世界的に行われいるわけである。全世界を見回せば非常な資金不足であるが、このお金は強い信用に裏付けされた世界の基軸通貨の米ドルか、せめてユーロ、円程度でなければ通用出来ない訳であり、新興諸国が勝手に自国通貨を印刷するわけにはいかない代物だ。ここに、米国=ドルのジレンマが有る。世界の経済的な発展を促す筈の基軸通貨が世界的に見ればまだまだ不足しているわけであるが、米国一国だけではこの不足をまかないきれない=全世界を背負いきれない程、世界の経済規模が大きくなってきている現状認識が重要であろう。全世界的な経済発展の為には自由貿易のみならず、米ドルを補完する強力な基軸通貨が求められている時代認識を経済界も日本政府も深めるべき時であろう。世界は強力な信用に裏付けされた豊富な投資資金を必要としているが、それに何れの国々も応える能力を持っていないことを。そして、それが、世界的な経済発展を妨げている根本的な原因の一つであることを認識する必要があると思われる。 (クスリ) (2013年10月26日 16:29)
3. (富士 望) (2013年10月25日 14:35)の『価値創出の裏付けのないドル札増刷は、ベルギーのGDPに匹敵する年45百万ドルの巨額…』の『45百万ドル』は『45百億ドル』の単位間違いです。それにしても巨額ですね! (富士 望) (2013年10月26日 11:39)
4. 米国は1982年以降30年も経常収支赤字を続けている。赤字は金融工学の成果と称して発行する債券で埋めていたが、リーマンショック以降は債券発行による海外流出ドルの回収ができなくなり、2008年以降、FRBの金融緩和でドル札を印刷し、経常収支赤字を埋めて米国内の資金不足を補っている。
価値創出の裏付けのないドル札増刷は、ベルギーのGDPに匹敵する年45百万ドルの巨額だが、それを止めれば米国経済は金不足で縮小するから、FRBは、米国の経常収支が赤字の間、金融緩和を止められない。
経済統計を自分で分析したところ、米国は、1998年の原油価格高騰に連動して経常収支赤字が膨らみ、仮に原油輸入ゼロなら経常収支はトントンと判明した。原油価格高騰が米国の巨額の経常収支赤字原因になる一方、日本は省エネ技術力で原油輸入量を減らして経常収支黒字を維持した。やはり日本は技術で成り立つ国だ。(これらのグラフが添付できず残念、各種経済統計値とその推移を網羅したネット上の『世界経済のネタ帳』は非常に役に立つ。)
最近、シェールガス開発で米国の原油輸入が減り始めた。日本向けLNG輸出が可能になる2020年頃、米国のエネルギー輸入超過は解消し、巨額の経常収支赤字も終わると予想される。そのころやっと金融緩和(ドル札増刷)も終わるだろう。
その時、米国に対抗した日本の異次元金融緩和も止められるが、日米両経済大国が資金供給を止めたら、発展途上国の旺盛な資金需要はどこが賄うだろう。中国に余裕がないなら、結局、先進国は、発展途上国への資金供給のために金融緩和を続け、世界経済の膨張に対応するかもしれない。だいぶ先のG20の重要議題かな。
小宮様、米国の金融緩和と経常収支赤字がほぼ一致していることや、経常収支赤字は原油価格高騰が原因だとお気付きでしたか。年4回しか発表されないが、米国の経常収支やその赤字原因にもっと注目してください。 (富士 望) (2013年10月25日 14:35)
5. 米国の経常収支は、2005〜2008年の0.7兆ドル超の赤字よりやや改善されたが、2010年以降、GDPの3%弱、約0.45兆ドルの赤字が続いている。
赤字は、米国への投資か借入(債券売却)で補わねばならないが、債券売却はリーマンの破綻後は期待できないし、経常収支黒字の上位三か国、独、中、サウジ合計で年約0.6兆ドル、それ以下の各国は年数十億ドルと微少で、外国からの投資も期待できない。
米国の2008年から2013年迄6年間の経常収支赤字累計額は約2.7兆ドル、2008年に始まったFRBの金融緩和合計額は2.6兆ドルだ。経済統計は、明確に米国が経常収支赤字をドル札増刷で補っていると証明している。
FRBが金融緩和を止めたら、米国(の金融機関等)が外国から資金を調達しない限り、米国の経済は金不足で縮小する。しかし世界各国は成長地域への投資を優先するから、0.45兆ドルの巨額赤字を他国からの投資で消すことは無理だ。他国資金に期待してQE3終了を考えたFRBの読みは甘かった。QE3縮小言及で長期金利上昇は当然である。
国内の様々な経済活動は、結局経常収支に集約される。各国間の中長期のマクロな金の動きは、経常収支に注目すればよく分かる。家計が赤字なら、支出を減らすか借金を増やすかで、国家の経常収支が赤字の場合も同じである。しかし、覇権国家で国際通貨ドルの印刷権限を持つ米国は、QE1〜3の金融緩和でドル札を印刷し、赤字を埋めている。
日本の経常収支は黒字だし、円は基軸通貨ではないから、異次元金融緩和は赤字対策ではない。しかしドル札が増刷されて余剰ドルが市場にあふれるなら、超円高を防止して日本の輸出競争力を確保するため、異次元金融緩和を止められない。
最近、日本企業のブラジルや東南アジアへの出資が増えている。異次元金融緩和の資金は、円売りドル買いを通じて発展途上国への投資に回っているようだ。この金の動きは円安を維持し、海外所得を増やす。資金不足の発展途上国も助かる。非常に良い傾向だ。 (富士 望) (2013年10月25日 12:40)
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20131024/370419/?ST=career&P=7


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03. 2013年10月31日 19:25:23 : niiL5nr8dQ
物価2%目標に向け順調、緩和効果に自信=日銀総裁
2013年 10月 31日 18:26 JST
[東京 31日 ロイター] -日銀の黒田東彦総裁は31日、金融政策決定会合後の会見で、消費増税後の景気腰折れリスクは政府による経済対策などで小さくなったと指摘、物価が2%の目標に向け順調に上昇しつつあると金融緩和の効果に自信を示した。

ただ、ここ数カ月はBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)が伸び悩むことにも言及。リスク要因の顕現次第では、物価目標達成に向け、政策調整を行う方針も改めて示した。

<消費・内需に大きな緩和効果>

日銀は同日の決定会合で、半期ごとに公表している「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表した。2015年度の経済・物価見通しは7月の公表から大きく変えなかったが、14年度の成長率見通しを前年比1.3%から同1.5%に引き上げた。黒田総裁は「消費税引き上げによる成長率への影響が、政府の経済対策などいくつかの要因で緩和されている」とし、増税で景気が腰折れする可能性は低くなったとの見方を示した。

経済対策がない場合の成長率見通しについては、各審議委員の前提に依存するとして明言を避けた。

4月4日に開始した異次元緩和について、「投資・消費・その他の内需に特に大きな効果が出ている」と胸を張った。

「堅調な内需と成長を前提に需給ギャップが縮小し、幅広い品目で次第に物価が上がってくる」「生鮮食品を除く消費者物価指数が今年度内に1%まで上昇する」など、物価が目標の2%を目指して順調に上昇しつつあるとの見解を強調した。

賃金も、「企業収益の拡大、労働市場のタイト化、政労使協議などにより上昇が見込まれる」と期待を述べた。

<BEI、どんどん上がっていく状況でない>

もっとも、輸出が低迷している現状を踏まえ、緩和効果が「名目貿易収支にただちに影響はしない」と指摘した。

予想インフレ率の指標のひとつで、物価連動国債と普通国債の利回り差から算出される、BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)について、「半年前や1年前と比べると着実に上昇している。ここ数カ月はどんどん上がっていく状況でない」と指摘した。一方、予想インフレ率を示すその他のいろいろな指標は「顕著に上がっている」と強調した。

もっとも、内外のリスクを点検し、物価目標の実現に必要があれば、当然政策調整を行うとも語った。

<下振れリスク意識した白井委員の提案>

同日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)について、会合では佐藤健裕審議委員と木内登英審議委員が、2年で2%の物価目標を実現するとの記述の修正を提案。白井さゆり審議委員は一段と下振れリスクを意識し、わかりやすい記述を求める議案を提案したが、それぞれ反対多数で否決されたことを明らかにした。

白井提案について、黒田総裁は「上下双方向のリスク要因を、かなり詳細に検討しており、特に下方リスクを軽く見るとかということではない」と反論。委員らの物価見通しも中央値をはさんで「上下双方向にバランスしている」と強調した。

<通貨スワップ常設化、「足元に流動性懸念ない」>

日本経済は、従来の見通しよりも外需が下振れ、内需が上振れ、結果的に予想通りに回復しているというのが公式見解。世界経済も「来年にかけて緩やかに回復していく」とした。

世界経済に影響の大きい米国については「先行き緩和的金融環境と財政面の下押し圧力のやわらぎを背景に、回復テンポが早まっていく」との見方を示した。

もっとも「米財政協議の帰すう次第では、市場のマインド悪化から米経済が下振れる可能性がある」とも指摘した。

日銀は同日、米連邦準備理事会(FRB)など先進国6中央銀行との通貨スワップ協定を常設化するを公表した。黒田総裁は「来年2月に期限を迎えるが、市場安定化に貢献しているため常設化を決めた」と説明。

一方で「足元、国際金融市場で流動性に懸念はなく、日本の外貨資金繰りにも問題がない」と強調した。協定取り決め国を現状の6か国から拡大する可能性については「考えていない」とした。

異次元緩和では年間50兆円のペースで国債の買入れ残高を増やす計画を打ち出しているが、買い入れ期間が今年は4月から年末までの9カ月間であるのに対し、来年は12カ月に延びるため、毎月当たりの買入れペースが減速するとの懸念が一部の市場参加者にみられる。この点について総裁は「来年も今年と同じ年間50兆円のペースで残高を増やす」と指摘した。政策目標は買い入れ残高であり、フローベースの買い入れ額ではないものの、緩和ペースを緩めることはない点をあらためて強調した。

(竹本 能文 編集;田巻 一彦)



焦点:日銀の「強気」に冷ややかな見方、未達明白時に追加緩和の声
2013年 10月 31日 17:53 JST
[東京 31日 ロイター] -日銀が31日公表した「展望リポート」は民間とのかい離が依然として大きく、市場関係者の中では冷ややかな見方が増えてきた。

インフレ期待を崩さないために高めの見通しを修正できずにいれば、いずれ「後始末」が必要になると見られている。14年度見通しの達成の難しさが明白なりそうな来年のいずれかの時点で、追加緩和を迫られるとの見方が広がっている。

<景気・物価の不安要因浮上、民間とかい離>

日銀ががシナリオ通りに高めの見通しを据え置いたことについて「日銀は目標達成の自信の高まりを見せることで、将来の緩和なしとのメッセージを打ち出したが、市場では、消費や輸出の落ち込みから政策対応があるはずとの見方が出ている。日銀は市場と逆方向を向いており失望を誘う可能性がある」(JPモルガン証券・シニアエコノミスト、足立正道氏)といった懸念が浮上している。

特に「14年度の経済・物価シナリオが、民間エコノミストや市場の見方と大きく食い違っている点は、先行き大きな争点となるだろう」(農林中金総研・主席研究員、南武志氏)と見られている。

民間エコノミストの平均的な見通し(フォーキャスト調査)では、14年度の成長率が0.7%台であるのに対し、日銀は前回の1.3%から今回1.5%成長に上方修正してきた。

民間サイドは、5兆円の経済対策を織り込んでも、消費増税による落ち込みを前提とすれば、1%を大きく超える成長率には届かないと見ている。

物価についても民間サイドでは、ここまでの物価上昇がほぼ円安やエネルギーコストの上昇、特殊要因による値上げによる寄与が大きかったことを考えれば、来春以降はそうした要因がはく落し、0.7%程度に弱まると見ている。

一方で、日銀は1.3%と一段の上昇を見込む。さらに15年度には物価見通しは引き続き2%程度の目標達成は可能とのスタンスを崩していない。

南氏は「楽観的な景気シナリオなどによって、2年後には2%の物価上昇が実現する、というストーリーを作り上げた印象は否めない」と厳しい評価を下している。

<見通し修正の時期に、円安後押し必要>

ただ、日銀としてもそう簡単に見通しの下方修正に踏み切れない事情もありそうだ。今や、展望リポートは単に日銀の経済見通しを示すだけでなく、インフレ期待に働きかえるツールとしての役割もある。「2%の物価目標への自信低下ともいえる見通し下方修正となれば、インフレ期待の維持は困難となる可能性があり、強気姿勢を維持せざるを得ない」(シティグループ証券・チーフエコノミスト、村嶋帰一氏)といった見方もある。

それでも同氏は「強気一辺倒のコミュニケーションを修正する時期に来ているのではないか」とみている。

というのも円安一巡で、日本経済の上ぶれ要因や物価押し上げ要因が減衰傾向にあるためだ。「円安が再加速しない限り、為替要因による物価上昇寄与が低下してしまう。その時点で賃上げが広がり、需要拡大による物価上昇が現れるとは考えにくい。このままでは期待インフレ率がなえてしまう」(RBS証券・チーフエコノミスト、西岡純子氏)という懸念の声が増えつつある。

「日銀が重視する期待の変化のため、敢えて強気の経済・物価見通しを主張するという側面もあるのだろうが、民間予測との大幅かい離の挙句、万一これらの見通しが外れてしまった場合、中央銀行の信認が失われることもありうる点は留意すべきだ」(南氏)といった危険性もはらんでいるようだ。

(ロイターニュース 中川 泉 編集;田巻 一彦)

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04. 2013年11月01日 19:49:40 : e9xeV93vFQ
 
ロイター 11月1日(金)16時33分配信

焦点:イエレン氏の資質に疑問符か、過去にバブル察知も黙認

10月30日、イエレン氏がFRB内で、不動産バブルへの警戒感を示していたことはこれまでほとんど検証されていないが、同氏は2007年のFOMCで、不動産バブルとその崩壊の予兆をめぐり警鐘を鳴らした。写真は3月、ワシントンで撮影(2013年 ロイター/Gary Cameron)

[30日 ロイター] -バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の後任に指名されたイエレン副議長が、サンフランシスコ地区連銀総裁に就任した2004年6月当時、連銀管轄下の9州では不動産バブルが膨張しつつあった。

域内の住宅価格が高騰している際に、イエレン氏のスタッフは銀行が投機的な商業用不動産に投資し過ぎている、と警戒を促した。

それに対するイエレン氏の対応は、公式の見解と内部向けの発言がまったく相反するものだった。

イエレン氏はまず、管轄州を対象とした公式な発言では、金融セクターで高まりつつあるリスクに懸念は不要、とする認識を示した。

その一方で同氏は、FRB内部の舞台裏においては、銀行監督当局がリスクの高い不動産融資に対してより厳格な姿勢で臨めるよう、ガイダンスを出すことを「ワシントンに訴えている」と述べていた。

イエレン氏がFRB内で、不動産バブルへの警戒感を示していたことはこれまでほとんど検証されていないが、同氏は2007年6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、不動産バブルとその崩壊の予兆をめぐり「600ポンドのゴリラ」という表現で警鐘を鳴らした。バブルは最終的に崩壊、世界は深刻な金融危機に陥ることとなった。

米上院銀行住宅都市委員会は11月中旬、イエレン氏の次期FRB議長指名に関する公聴会を開催するが、同氏の当時の公的な発言と、FRB内での行動との食い違いが、問題視される可能性がある。

ロイターはFRBを通じてイエレン氏にコンタクトをとったが、同氏はこのリポートへのコメントを拒否した。

<不動産バブル最前線>

イエレン氏は、当時、不動産バブルの最前線にいた。

住宅差し押さえが最も多かった4州のうち、サンフランシスコ地区連銀の管轄州が3州(ネバダ州、アリゾナ州、カリフォルニア州)を占めた。またこの3州は個人の破産比率でも全米で上位に入った。

管轄下で破綻した銀行の数は8行に上り、12の地区連銀のなかでは2番目に多かった。主犯は不動産に対する野放図な投資だった。

しかしイエレン氏は、是正措置をとるようワシントンにひそかに働きかけることに、限界を感じていた。

同氏はのちに、危機の原因を調査する委員会で、商業用不動産融資を抑制するよう銀行に要請する2007年のFRBの意見書について、無意味だと思ったと断言。いつでも「破って、ごみ箱に捨てることができる」ものであり「このリスクを抑制するのに役に立つツールではない」と述べている。

カリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとった後、地区連銀総裁ポストを射止めた当時、住宅価格は恐ろしいほどに上昇していた。

S&P/ケース・シラー住宅価格指数によると、2000年初頭から、イエレン氏が地区連銀総裁に就任した2004年夏の間に、ロサンゼルスとサンディエゴの住宅価格は倍以上に高騰。ラスベガスでは、その前の1年間だけで50%上昇した。サンフランシスコでは、2000─2001年のネットバブル崩壊以来40%近く上昇した。

<規制政策、地区連銀に決定権なし>

イエレン氏はのちに、サンフランシスコ地区連銀が管轄していた54行について、資本を不動産につぎ込み過ぎていたと語っている。

地区連銀では管轄する銀行について厚いケースファイルを作っている。イエレン氏も地区連銀総裁就任当時、スーパーのカートいっぱいのファイルに目を通したという。しかし規制政策はワシントンのFRBの理事会が決定、地区連銀は実行という役割分担ができている。

イエレン氏はのちに、明確なガイダンスを出すようFRBの理事会に私的に働きかけたことを、金融危機調査委員会で証言している。

イエレン氏は調査委で「われわれは懸念はしていたが、銀行に乗り込んで『自己資本比率を引き上げろ』とは迫らなかった。われわれにそうした権限があるのか。権限はないと感じていた」としている。

イエレン氏の総裁時代、サンフランシスコ地区連銀で銀行監督を担当していたスティーブン・ホフマン氏は、イエレン氏について「声高に訴えることはしなかったが、一歩間違えば甚大な影響が及ぶようなリスクが高まっていることを、周囲に気付かせていた」と述べた。

<バブルを疑いつつも、楽観姿勢崩さず>

危機が迫っているとしても、イエレン氏は管轄内の銀行関係者や財界関係者らを前に講演して回った際、微妙ではあるが楽観できる兆候がある、などと断言。危機をうかがわせるような発言はなかった。

サンフランシスコ地区連銀総裁に就任した2004年、サンフランシスコでリスク管理担当者に対して、監督強化により「われわれの金融システムはショックへの耐性が高まった」と指摘した。同じ年、フェニックスでは「経済の明るい兆候が増えている」と話している。

2005年3月になると、不動産への懸念を表明するようになった。ハワイでは銀行関係者に対して、スタッフが商業融資を調査しているが、住宅ローンの「承認基準の緩さ」に懸念を持ったと語った。

ただこの時も「問題が広がるとは考えていない」「業界の状況はこれまでにないほど力強い」などと、楽観的な姿勢を崩さなかった。

2005年10月ごろには、FRBは利上げして住宅価格の「バブル」を抑制すべきではないかとの声が専門家の間から漏れ始めた。

イエレン氏は、そのころにはスタッフも「バブルかもしれない」と認識し始めた、と話している。それでも2005年10月の講演では「バブル対策に反対する議論は、対策を支持する声より勝る」と主張。

「生産、雇用、インフレというFRBの目標に影響する場合のみ、金融政策は住宅その他資産の価格上昇に対応すべき」と述べた。

イエレン氏の意見は、当時からあまり変わっていない。同氏は今年、バブルの防止には規制の活用が望ましい、と述べた。ただし、金融政策の活用について、否定的な姿勢をはっきりとは示さなかった。

<そして、崩壊>

米国の住宅価格は、2006年7月にピークをつけた。

カリフォルニア州の中古住宅価格(中央値)は、2006年に55万6430ドルを記録し、年収(中央値)のおよそ9倍の水準に跳ね上がった。同時期、全米では22万1900ドルと、年収のおよそ4倍だった。

それでもイエレン氏は楽観的な発言を続けた。2006年3月の講演では「経済は全般にかなりの耐性を示している」と述べている。

確かにこの当時、経済は堅調な状態にあった。2005年末にはハリケーン「カトリーナ」で大きな打撃を受けたが、第1・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前期比年率4.9%に達した。3月の失業率は4.7%と低水準であり、物価上昇圧力も抑制されていた。

イエレン氏は、住宅ブームが反転すれば「深刻なマイナスの影響が出かねない」と述べたが、「不透明感は強いものの、経済は非常に望ましい軌道上にある」と、楽観的なトーンで講演を締めくくった。

1カ月後にはベイエリアの住宅価格が1982年の6倍に上昇したことを指摘。予想の「明るい面と暗い面」を注視するよう促した。

カリフォルニア州の農業地帯の銀行関係者を前に行った2006年の講演では、移民や恵まれない人々に手を差し伸べるよう訴え、低所得世帯の住宅保有を促進するプログラムを提唱した。数年後には、その農業地帯では多数の住宅が差し押さえに見舞われることになる。

しかし、住宅市場が全国的に崩壊し始めるのは、2007年に入ってからだ。同年3月には、住宅価格と販売戸数は、1989年のS&L(貯蓄貸付組合)スキャンダル以降で最大の下げを記録した。

ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミストであるマーク・ザンディ氏は、のちに、カリフォルニア州のリセッション(景気後退)は2007年5月から始まった、との見方を示している。米経済全体がリセッション状態に陥るのは、2007年12月のことだ。

住宅価格の下落が唯一の警鐘だったわけではない。2007年2月には、世界有数の銀行であるHSBCグループが、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)の滞納が急増していることを理由に、106億ドルの不良債権費用を計上すると発表。4カ月後には、ベア・スターンズが運用する2本のヘッジファンドが大規模な損失を警告、数週間後には両ファンドとも破綻に追い込まれた。

仏最大手銀行のBNPパリバが2007年8月、米モーゲージ市場に大きなエクスポージャーを持つ3本のファンドの資産を凍結すると、世界の中銀は市場が機能不全に陥りつつあるあることに気付く。

<FRBの対応後手に>

こうした状況のなか迎えた2007年6月のFOMC。イエレン氏は住宅市場の状況について懸念を表明したが、そのほかの当局者の間では、経済は難局を乗り切りつつあるとの意見が多数派を占めた。

議事録によると、イエレン氏は「成長見通しのリスクという点では、私は依然、600ポンドのゴリラの存在を感じている。それは住宅セクターだ。住宅価格が一段と下落し、ローンの延滞が深刻化するなど、住宅市場がさらに悪化するリスクを心配している」と述べた。

バーナンキFRB議長はその当時、不動産価格下落のシステミックリスクについて、さほど重要視していなかった。結局この時のFOMCではインフレリスクのほうが意識され、政策金利の据え置きを全会一致で決定。さらに8月7日のFOMCでも同様の決定を下した。イエレン氏はこの2回のFOMCでは、投票権を持っていなかった。

しかし8月FOMCから間もなく、FRB当局者は緊急の電話会議を実施。クレジット市場において高まっている緊張感について協議したうえで、金融機関に流動性を供給する用意がある、と発表した。

その次の9月の定例FOMCではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き下げることを決定。これ以降利下げ局面に入り、2008年末までに政策金利は実質ゼロとなる。

イエレン氏は、2008年10月の講演で、FRBがどうして、リスクの兆候を見逃してしまったのか、という点について、「金融システムの主要な機能」の相互作用を見誤ったため、と分析している。

<当時を振り返って>

2010年、オバマ大統領からFRB副議長に指名されたイエレン氏は、共和党からの質問に対して、融資基準の緩さと住宅価格の上昇を「関連付ける」ことに、同氏ら政策当局者は失敗したと述べた。

リチャード・シェルビー上院議員(アラバマ州)がサンフランシスコ地区連銀の管轄地域の「規制監督の崩壊」について質問すると、イエレン氏は初めは「注意深く、かつ適切」だったとして反論した。

シェルビー議員が「いい加減で不適切」だったのでは、とさらに追及すると、イエレン氏は「パンチボールを適切なタイミングで片づけるのは非常に難しいということを、われわれは学んだ」と語った。

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最終更新:11月1日(金)16時34分ロイター

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