04. 2013年11月01日 19:49:40
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ロイター 11月1日(金)16時33分配信 焦点:イエレン氏の資質に疑問符か、過去にバブル察知も黙認 10月30日、イエレン氏がFRB内で、不動産バブルへの警戒感を示していたことはこれまでほとんど検証されていないが、同氏は2007年のFOMCで、不動産バブルとその崩壊の予兆をめぐり警鐘を鳴らした。写真は3月、ワシントンで撮影(2013年 ロイター/Gary Cameron) [30日 ロイター] -バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の後任に指名されたイエレン副議長が、サンフランシスコ地区連銀総裁に就任した2004年6月当時、連銀管轄下の9州では不動産バブルが膨張しつつあった。 域内の住宅価格が高騰している際に、イエレン氏のスタッフは銀行が投機的な商業用不動産に投資し過ぎている、と警戒を促した。 それに対するイエレン氏の対応は、公式の見解と内部向けの発言がまったく相反するものだった。 イエレン氏はまず、管轄州を対象とした公式な発言では、金融セクターで高まりつつあるリスクに懸念は不要、とする認識を示した。 その一方で同氏は、FRB内部の舞台裏においては、銀行監督当局がリスクの高い不動産融資に対してより厳格な姿勢で臨めるよう、ガイダンスを出すことを「ワシントンに訴えている」と述べていた。 イエレン氏がFRB内で、不動産バブルへの警戒感を示していたことはこれまでほとんど検証されていないが、同氏は2007年6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、不動産バブルとその崩壊の予兆をめぐり「600ポンドのゴリラ」という表現で警鐘を鳴らした。バブルは最終的に崩壊、世界は深刻な金融危機に陥ることとなった。 米上院銀行住宅都市委員会は11月中旬、イエレン氏の次期FRB議長指名に関する公聴会を開催するが、同氏の当時の公的な発言と、FRB内での行動との食い違いが、問題視される可能性がある。 ロイターはFRBを通じてイエレン氏にコンタクトをとったが、同氏はこのリポートへのコメントを拒否した。 <不動産バブル最前線> イエレン氏は、当時、不動産バブルの最前線にいた。 住宅差し押さえが最も多かった4州のうち、サンフランシスコ地区連銀の管轄州が3州(ネバダ州、アリゾナ州、カリフォルニア州)を占めた。またこの3州は個人の破産比率でも全米で上位に入った。 管轄下で破綻した銀行の数は8行に上り、12の地区連銀のなかでは2番目に多かった。主犯は不動産に対する野放図な投資だった。 しかしイエレン氏は、是正措置をとるようワシントンにひそかに働きかけることに、限界を感じていた。 同氏はのちに、危機の原因を調査する委員会で、商業用不動産融資を抑制するよう銀行に要請する2007年のFRBの意見書について、無意味だと思ったと断言。いつでも「破って、ごみ箱に捨てることができる」ものであり「このリスクを抑制するのに役に立つツールではない」と述べている。 カリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとった後、地区連銀総裁ポストを射止めた当時、住宅価格は恐ろしいほどに上昇していた。 S&P/ケース・シラー住宅価格指数によると、2000年初頭から、イエレン氏が地区連銀総裁に就任した2004年夏の間に、ロサンゼルスとサンディエゴの住宅価格は倍以上に高騰。ラスベガスでは、その前の1年間だけで50%上昇した。サンフランシスコでは、2000─2001年のネットバブル崩壊以来40%近く上昇した。 <規制政策、地区連銀に決定権なし> イエレン氏はのちに、サンフランシスコ地区連銀が管轄していた54行について、資本を不動産につぎ込み過ぎていたと語っている。 地区連銀では管轄する銀行について厚いケースファイルを作っている。イエレン氏も地区連銀総裁就任当時、スーパーのカートいっぱいのファイルに目を通したという。しかし規制政策はワシントンのFRBの理事会が決定、地区連銀は実行という役割分担ができている。 イエレン氏はのちに、明確なガイダンスを出すようFRBの理事会に私的に働きかけたことを、金融危機調査委員会で証言している。 イエレン氏は調査委で「われわれは懸念はしていたが、銀行に乗り込んで『自己資本比率を引き上げろ』とは迫らなかった。われわれにそうした権限があるのか。権限はないと感じていた」としている。 イエレン氏の総裁時代、サンフランシスコ地区連銀で銀行監督を担当していたスティーブン・ホフマン氏は、イエレン氏について「声高に訴えることはしなかったが、一歩間違えば甚大な影響が及ぶようなリスクが高まっていることを、周囲に気付かせていた」と述べた。 <バブルを疑いつつも、楽観姿勢崩さず> 危機が迫っているとしても、イエレン氏は管轄内の銀行関係者や財界関係者らを前に講演して回った際、微妙ではあるが楽観できる兆候がある、などと断言。危機をうかがわせるような発言はなかった。 サンフランシスコ地区連銀総裁に就任した2004年、サンフランシスコでリスク管理担当者に対して、監督強化により「われわれの金融システムはショックへの耐性が高まった」と指摘した。同じ年、フェニックスでは「経済の明るい兆候が増えている」と話している。 2005年3月になると、不動産への懸念を表明するようになった。ハワイでは銀行関係者に対して、スタッフが商業融資を調査しているが、住宅ローンの「承認基準の緩さ」に懸念を持ったと語った。 ただこの時も「問題が広がるとは考えていない」「業界の状況はこれまでにないほど力強い」などと、楽観的な姿勢を崩さなかった。 2005年10月ごろには、FRBは利上げして住宅価格の「バブル」を抑制すべきではないかとの声が専門家の間から漏れ始めた。 イエレン氏は、そのころにはスタッフも「バブルかもしれない」と認識し始めた、と話している。それでも2005年10月の講演では「バブル対策に反対する議論は、対策を支持する声より勝る」と主張。 「生産、雇用、インフレというFRBの目標に影響する場合のみ、金融政策は住宅その他資産の価格上昇に対応すべき」と述べた。 イエレン氏の意見は、当時からあまり変わっていない。同氏は今年、バブルの防止には規制の活用が望ましい、と述べた。ただし、金融政策の活用について、否定的な姿勢をはっきりとは示さなかった。 <そして、崩壊> 米国の住宅価格は、2006年7月にピークをつけた。 カリフォルニア州の中古住宅価格(中央値)は、2006年に55万6430ドルを記録し、年収(中央値)のおよそ9倍の水準に跳ね上がった。同時期、全米では22万1900ドルと、年収のおよそ4倍だった。 それでもイエレン氏は楽観的な発言を続けた。2006年3月の講演では「経済は全般にかなりの耐性を示している」と述べている。 確かにこの当時、経済は堅調な状態にあった。2005年末にはハリケーン「カトリーナ」で大きな打撃を受けたが、第1・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前期比年率4.9%に達した。3月の失業率は4.7%と低水準であり、物価上昇圧力も抑制されていた。 イエレン氏は、住宅ブームが反転すれば「深刻なマイナスの影響が出かねない」と述べたが、「不透明感は強いものの、経済は非常に望ましい軌道上にある」と、楽観的なトーンで講演を締めくくった。 1カ月後にはベイエリアの住宅価格が1982年の6倍に上昇したことを指摘。予想の「明るい面と暗い面」を注視するよう促した。 カリフォルニア州の農業地帯の銀行関係者を前に行った2006年の講演では、移民や恵まれない人々に手を差し伸べるよう訴え、低所得世帯の住宅保有を促進するプログラムを提唱した。数年後には、その農業地帯では多数の住宅が差し押さえに見舞われることになる。 しかし、住宅市場が全国的に崩壊し始めるのは、2007年に入ってからだ。同年3月には、住宅価格と販売戸数は、1989年のS&L(貯蓄貸付組合)スキャンダル以降で最大の下げを記録した。 ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミストであるマーク・ザンディ氏は、のちに、カリフォルニア州のリセッション(景気後退)は2007年5月から始まった、との見方を示している。米経済全体がリセッション状態に陥るのは、2007年12月のことだ。 住宅価格の下落が唯一の警鐘だったわけではない。2007年2月には、世界有数の銀行であるHSBCグループが、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)の滞納が急増していることを理由に、106億ドルの不良債権費用を計上すると発表。4カ月後には、ベア・スターンズが運用する2本のヘッジファンドが大規模な損失を警告、数週間後には両ファンドとも破綻に追い込まれた。 仏最大手銀行のBNPパリバが2007年8月、米モーゲージ市場に大きなエクスポージャーを持つ3本のファンドの資産を凍結すると、世界の中銀は市場が機能不全に陥りつつあるあることに気付く。 <FRBの対応後手に> こうした状況のなか迎えた2007年6月のFOMC。イエレン氏は住宅市場の状況について懸念を表明したが、そのほかの当局者の間では、経済は難局を乗り切りつつあるとの意見が多数派を占めた。 議事録によると、イエレン氏は「成長見通しのリスクという点では、私は依然、600ポンドのゴリラの存在を感じている。それは住宅セクターだ。住宅価格が一段と下落し、ローンの延滞が深刻化するなど、住宅市場がさらに悪化するリスクを心配している」と述べた。 バーナンキFRB議長はその当時、不動産価格下落のシステミックリスクについて、さほど重要視していなかった。結局この時のFOMCではインフレリスクのほうが意識され、政策金利の据え置きを全会一致で決定。さらに8月7日のFOMCでも同様の決定を下した。イエレン氏はこの2回のFOMCでは、投票権を持っていなかった。 しかし8月FOMCから間もなく、FRB当局者は緊急の電話会議を実施。クレジット市場において高まっている緊張感について協議したうえで、金融機関に流動性を供給する用意がある、と発表した。 その次の9月の定例FOMCではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き下げることを決定。これ以降利下げ局面に入り、2008年末までに政策金利は実質ゼロとなる。 イエレン氏は、2008年10月の講演で、FRBがどうして、リスクの兆候を見逃してしまったのか、という点について、「金融システムの主要な機能」の相互作用を見誤ったため、と分析している。 <当時を振り返って> 2010年、オバマ大統領からFRB副議長に指名されたイエレン氏は、共和党からの質問に対して、融資基準の緩さと住宅価格の上昇を「関連付ける」ことに、同氏ら政策当局者は失敗したと述べた。 リチャード・シェルビー上院議員(アラバマ州)がサンフランシスコ地区連銀の管轄地域の「規制監督の崩壊」について質問すると、イエレン氏は初めは「注意深く、かつ適切」だったとして反論した。 シェルビー議員が「いい加減で不適切」だったのでは、とさらに追及すると、イエレン氏は「パンチボールを適切なタイミングで片づけるのは非常に難しいということを、われわれは学んだ」と語った。 【関連記事】 ハリケーン「サンディ」から1年、被災住宅の再建に問題も ツイッターが災害時緊急警報の新サービス、日米韓で開始 コラム:2050年の勝ち組、世界で一番住みたい都市はどこか 米独立記念日に「自由の女神」再公開、ハリケーンで閉鎖8カ月 米デルタ航空第1四半期、特別項目除く利益が予想上回る 最終更新:11月1日(金)16時34分ロイター mixiチェック Yahoo!ニュース関連記事 米上院はイエレン氏のFRB議長指名承認へ-ポール共和党議員(Bloomberg)16時41分 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