02. 2013年10月31日 10:19:47
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NBonline 「総点検 消費増税」 アベノミクス、1年後に問われる真価2013年10月30日(水) 張 勇祥 2014年4月の消費増税で景気は減速感を強めることが避けられない。参院選の圧勝などで順風に見える安倍政権にとっても正念場が訪れる。待ち構えるのは「物価」と「政治」の壁だ。 2014年春の消費増税で、景気はどうなるのか。腰折れし、1998年やリーマンショック後のような不況に逆戻りしてしまうのか。 『日経ビジネス』10月28日号の特集「総点検 消費増税」では、日本を代表するエコノミスト6人に2014年度の実質経済成長率の見通しを聞いた。結果は、10月1日に安倍晋三首相が打ち出した5兆円規模の景気対策を織り込んだ上で、0.6〜1.9%のプラス成長だった。 6人の予想は低い順に並べると0.6%、1.0%、1.0%、1.2%、1.7%、1.9%。少し幅が大きいようにも思えるが、イメージとしては1%前後というところだ。 景気対策は成長率を0.5%ほど押し上げるとの見方が多い。すると、対策なしでの成長率見込みは0.5%前後。かなり心もとない数字になりそうなところ、景気対策で何とか一定のバッファー(緩衝材)があるところまで持っていくシナリオだと言えそうだ。 6人で日本のエコノミストの意見を代表できるのか。これはもっともな指摘で、日本経済研究センターがまとめている「ESPフォーキャスト」を見てみる。これは40人前後(最新版の10月分では41人)のエコノミストの意見を集約したもので、成長率の平均は0.73%だった。 41人中、7人は景気対策の効果をまだ織り込んでいないので、11月分の結果が出ればもう少し引き上げられるだろう。 恐らくは1%弱あたりになる。成長率が2%台後半から3%に届こうかという今年でも巷の回復感はほとんどない(さすがに悪化もしていないが)のに、来年は停滞感がかなり強く出るのは避けられない。 今夏の参院選で圧勝し、次の国政選挙がある2016年までは無風と見られていた安倍政権。ただ、こうして考えてみると、早くも1年後にはアベノミクスの真価が問われることになる。 待ち構える「物価」と「政治」の壁 まず待ち構えるのは「物価の壁」だ。日銀は2年で2%の消費者物価指数(CPI)の上昇を実現するとしている。ターゲットは2015年春になる。 ちなみに足元の数字(9月)は0.7%(生鮮食品を除く)。これはコアCPIと呼ばれるもので、食料及びエネルギーを除いたものはコアコアCPIなどと呼ばれる。 このコアコアCPIは0.0%。つまり横ばいだった。コアコアCPIも長くマイナスが続いていたので日銀の金融緩和が全く効果なしと言うつもりはないが、要は円安によるガソリンや電気料金の上昇が物価高につながったわけだ。 消費者物価指数は前年同月と比べる。電気料金などの上昇が一巡する来春からはCPIの伸びも鈍化するというのがエコノミストたちのコンセンサスだ。2014年度のCPIが伸びを欠いたとき、2015年春に向けて日銀はどうするのか。 足元は消費増税を決断できるほど景気が良い(ことになっている)。早いタイミングで金融緩和を追加できる状況ではないのだ。一方、2015年10月に予定する消費税率への10%引き上げを控えて景気が落ち込むことは避けねばならない。こうしたことから、2014年春以降に日銀が追加緩和に踏み切るとの観測が強まっているのだ。 黒田東彦・日銀総裁は金融緩和の「出口」について触れていない。現時点では、出口をどう出るかというより、出口が見えてくる可能性があるかどうかという状況だ。ESPフォーキャストでも、日銀の物価目標を達成できると見るエコノミストは41人中1人だけだ。 続くのは「政治の壁」だ。繰り返しになるが、2015年10月に消費税を10%に引き上げようとするならば、2015年前半の景気がかなり良くなければならない。やはり、足元と同様に2〜3%の成長が見通せることが必要になる。 2015年の景気が良いことは、安倍政権にとっても極めて重要だ。あまり語られていないが、2015年4月には統一地方選があり、9月には自民党の総裁選が控える。景気が消費増税後の頭打ちから脱しきれなければ、思わぬ逆風が吹きかねない。 加えて、消費税率の引き上げに半年ほどの準備期間が必要だと考えると、やはり2015年春の時点で景気の足取りがしっかりしていないといけない。逆算すれば2014年後半の経済運営が死命を制することになる。 「成長戦略実行国会」は小粒な法案が目立ち、早くも実効性に疑問符が付き始めている。そもそも成長戦略が経済の活力を高めるには時間がかかる。やはり第1の矢と第2の矢(金融緩和と財政政策)頼みになる可能性が高そうだ。そうなると国際公約でもある財政再建が遠のいてしまう――。消費増税と景気対策のループから抜け出せるか。答えが見通せるようになるのは、そう遠いことではない。 このコラムについて 総点検 消費増税 「税」は国の形を決める。来年4月1日、消費税率が現在の5%から8%へと引き上げられる。社会保障費の増大に歯止めがかからない以上、国民は今後も税率アップを覚悟せざるを得ない。だが、消費増税を単に財源補填策や家計圧迫要因と捉えれば見誤る。業界再編、個人間取引の勃興、一物一価――。消費増税という不可避の未来は、日本経済に大きな変化を促している。 日経BP社
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