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ワシントンポスト買収で脚光を浴びたベゾス。メディアに続き、教育市場に参入(写真:AP/アフロ)
アマゾンの次なる狙いは「教育市場」 先生がアマゾンで講義する時代が来る?
http://toyokeizai.net/articles/-/22799
2013年10月29日 松村 太郎 :ジャーナリスト 東洋経済
本連載は、GAFAに関するトピックを毎週1つないし複数採り上げながら、米国・シリコンバレーを中心とするIT事情を定点観測的にお伝えしていく。今回はアマゾンをとり上げる。2013年10月、アマゾンはネットで数学を教えるサービステンマークス(Ten Marks)を買収した。今後どのような展開をしていくのか。
■ 教育とテクノロジーの組み合わせ
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アマゾンは、世界最大のオンライン書店から世界最大のEコマースサイトへと発展を遂げた。そしてキンドルで電子出版のプラットホームを構築し、音楽やアプリなど、すべてのデジタルコンテンツへと扱いを広げている。電子書籍に対して電子ペーパーの読書デバイス・キンドルを提供し、デジタルコンテンツ向けにはキンドル・ファイヤーをリリース。ベースとしているアンドロイドのタブレットの中でも大きな販売比率を占めるようになった。
そんなアマゾンが、今度は教育分野に取り組もうとしている。「Edu Tech」(エデュテック)ともいわれる教育とテクノロジーの組み合わせは、日本でも大きな注目を集める分野だ。しかし電子黒板や1人1台のタブレット、電子教科書といったデバイスの話ではなく、「どのように学び全体をデザインするか」というアプローチで考えていく必要がある。
プラットホーマーとしてのアマゾンが、どのような学びのプラットホームを構築しようとしているのか。
■ 実は教育事業参入のチャンスはあった?
アマゾンのCEOジェフ・ベゾスによるワシントンポストの買収は本連載でもご紹介した通り、非常に大きなインパクトがあった。しかしこのワシントンポスト買収の際、アマゾンは教育事業への参入のチャンスがあった。
ワシントンポストは、1984年にカプランを買収している。カプランは、高等教育(大学や専門学校)から資格の専門プログラム、テスト対策、英会話学校などを運営している企業で、米国の主要都市や大学がある街にはその校舎を見つけることができる。
カプランはワシントンポストの子会社として、毎年親会社の収益の約6割をたたき出してきた。ベゾスは高収益の教育部門を買わず、新聞部門だけを購入した。
ベゾスが純粋にワシントンポストという新聞だけに興味を持っていたことももちろんだが、デジタルとはやや縁遠いともいえる既存の教育部門のカプランに見切りをつけたという見方もできなくはない。
■ テンマークスとは?
では、アマゾンが買収したテンマークスとはどんなサービスなのか。
名前の由来は10/10、つまり日本語でいう100点満点のことであり、米国の全国標準の数学カリキュラムにフォーカスしている。教師が無料でアカウントを作り、オンライン上で数学のクラス環境を再現することができる仕組みだ。
生徒にはユーザー名とパスワードが発行さる。オンラインで選択式の問題を解いていき、点数に応じてバッジやミニゲームが遊べるなど、ゲーミフィケーション機能もある。もしもわからなくなったら、3〜5分のビデオによる説明を聞くことができる。こうした環境を用意することで、実際の授業へのフィードバックや親とのコミュニケーションを行うことができる。サービスは2010年11月に公開され、10万の教室で300万人以上のユーザーが利用している。
■ 「学び方」にフォーカスするアマゾン
アップルはiPadとiBooksで、最も普及するタブレット端末とインタラクティブなデジタル教科書の組み合わせによって、教育市場への関与を強めようとしている。開発者が多数公開するアプリも、その競争力の重要な源泉だ。
またグーグルも、アップルと同じように、Nexus 7などのタブレットデバイスとGoogle Play Textbooksでのデジタル教科書配信に取り組む。個人的には、クラウド統合環境のGoogle Appsの教育活用の手法に対してもう少し力を入れるべきではないかと感じているが、グーグルのプロダクトの組み合わせはより魅力的になる可能性を秘めている。
これに対してアマゾンは、デバイスやコンテンツの配信方法の次を、テンマークス買収で手に入れようとしている。それは、バーチャルに教室を作り出す仕組みのことだ。
他の巨大テクノロジー企業もスタートアップ企業も、Edu Techの分野には熱心だが、テンマークス買収により教え方をアシストする方法を手に入れたアマゾンは、教育への取り組みを一歩リードした、といってもよいだろう。
■ アマゾンが作り出す、新しいデジタル教育とは?
アマゾンは、タブレットデバイス、教科書を含む巨大なデジタル蔵書とレンタル、そしてテンマークスが持つ学習環境の3つを揃えている。タブレットはノートと鉛筆、アマゾンの書籍やビデオや音声のライブラリは教科書と図書館、そしてテンマークスのバーチャルな教室。学校全体をデジタル化するには充分のツールが揃った。
これを学校向けに利用することももちろんだが、全く違う方法も考えられる。
例えばキンドルで個人が自由に電子書籍を販売するように、先生(=教科書の著者)がアマゾンで講義を持つ仕組みを提供できる。あるいは個人がアマゾンで様々な授業を履修する目的で、アマゾンのカタログをめくるようになっても面白い。学習が機能を保ったまま、教室という場から切り離されていく可能性を得たとみることができるのだ。
「ググる」は日本語だけでなく、英語でも動詞になっている。何かわからないことがあったら、まず自分で調べてみることだ。体系だった知識を得るにはまだまだだが、いまその瞬間知りたいキーワードや情報を調べるには十分だ。そうしたインスタントな学びの代名詞が「ググる」であれば、アマゾンはより本格的な学びの代名詞になるかもしれない。
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