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2013.10.29 「日本」の解き方
日本電産の永守重信社長が来年度から「ベースアップ(ベア)」を実施することを明言した。
日本電産は、筆者のようにパソコンの自作を趣味とする者にとってはなじみの深い会社だ。パソコンの各部品は熱を持つため冷却ファンが必要だが、日本電産の製品はモーターが静かで冷却能力が高いことで有名なのだ。そのほかにも精密小型モーターでは世界一のシェアである。
日立製作所やトヨタ自動車のトップもベアを示唆している。現在の経済状況や企業業績からみて、こうした給料上昇の動きは大企業の幅広い業種や中小企業まで広がるのか。広がるとすればいつごろなのか。
これに関連して、安倍晋三首相が16日の衆院本会議で民主党の海江田万里代表の代表質問に対し、「今年の春闘について、連合の集計結果によると、ベースアップを行う企業の割合が5年ぶりに2ケタになりました」と答えたことが少し話題になった。
連合の資料は、2013年7月1日時点での春闘の結果で、妥結済み組合5576組合のうち「賃金改善」を獲得したのは584組合で10%強だったというものだ。連合の言い分として、賃金改善には一時金などが含まれているが、ベアは給与の基本給部分の昇給であり、概念が違うという批判があった。
たしかに労働界の実務では、こうした言葉の使い分けをしているが、欧米では、一時金であろうと基本給であろうと給料の上昇には変わりないので、言葉の使い分けはない。そもそも、「ベースアップ」という言葉自体、和製英語である。しかも、成果主義による賃金制度になると、同一年齢同一給与を前提とするベアという考え方自体、意味がなくなってきている。
いずれにしても、5年ぶりの給料上昇が起こりつつあるのは事実なので、労働界用語について多少言い間違ったとしても、たいした話ではない。
給料上昇は、まず一時金、残業手当から始まり、その後に基本給となる。そして上昇のタイミングは、雇用形態や業種によって異なる。過去データからみると、雇用形態ではパートタイム、業種では鉱業、卸売・小売業、運輸業、建設業が相対的に賃金の上昇が速く、逆に、フルタイムや、その他サービス業、情報通信業、製造業、医療・福祉、電気・ガス・熱供給・水道業では、相対的に賃金上昇が遅くなる。
賃金の変化は、平均すれば物価の変化と同じようなものだ。物価上昇率が2年で2%まで上がるのであれば、賃金上昇率も2年で3%ぐらいになる。これはあくまで平均的な話であるので、中小企業でも、雇用形態や業種によって、それより早くなるところも遅くなるところもあるだろう。
しかし、日本全体としては、賃金上昇率は物価上昇率を上回る可能性が高いので、平均より賃金上昇が遅れるとしても、過去20年間の苦しい時期から考えれば、将来に希望が持てるだけましだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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