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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 格差拡大は始まっている
http://wjn.jp/article/detail/4321765/
週刊実話 2013年11月7日 特大号
アベノミクスで景気はよくなるが、格差が拡大し、小泉内閣が作った格差社会は“超格差社会”に変貌する−−。私は、そう主張してきた。
実は、安倍内閣の格差拡大政策である「成長戦略」がスタートする前に、すでに格差拡大は始まっている。財務省の「法人企業統計」によると、今年4〜6月期の経常利益は、資本金10億円以上の大企業が前年比49.7%増、1億円から10億円の中企業が1.8%増、1000万円から1億円未満の中小企業が▲12.5%となっている。大企業が5割の増益になっているのに対して、中小企業は減益なのだ。これだけ景気が拡大しているのに、なぜ中小企業の経営は悪化しているのか。
一番大きな理由は、産業構造の違いだ。大企業には自動車や電機などの輸出産業が多く含まれているのに対して、中小企業は生活産業が多い。アベノミクスがもたらした円安で、大企業は輸出金額が大きく増えて潤った。ところが、中小企業にそうした恩恵は及ばない。それどころか材料のコストが上昇して、むしろ収益を圧迫されているのだ。
もうひとつの理由は、価格交渉力の差だ。大企業は、原材料費のアップを製品価格に転嫁できるが、立場の弱い中小企業は、値上げが難しいのだ。
こうした大企業と中小企業の格差拡大は、来年4月の消費税引き上げでさらに加速する。中小企業は、消費税が増税されたとしても価格交渉力が弱いので、増税分を転嫁できない。一方、大企業は増税分を容易に転嫁できる。さらに輸出をしていると、輸出商品を製造するために使った原材料費などにかかっていた消費税は、還付されるのだ。現時点でも自動車や電機の大手企業は消費税を一円も納税していない。それどころか、巨額の還付金を受けているのだ。消費税の引き上げはそうした還付金の額を大きくすることになる。
さらに安倍政権の税制改革が格差拡大に拍車をかける。安倍総理は法人税減税を断行する方針だが、中小企業は大部分が赤字だから法人税が減税されてもほとんどメリットがない。
安倍総理は、法人税減税で企業の所得が増えれば、その一部が賃金として支払われるため、消費が増えて日本経済は拡大すると主張している。しかし、そんなことが本当に起きるのだろうか。
厚生労働省の「毎月勤労統計」をみると、今年8月の現金給与総額は、前年比▲0.6%と減っているのだ。しかも、これは事業所規模5人以上の全体平均の数字だが、事業所規模30人以上の比較的大きな規模の企業だけに限っても、▲0.5%と、ほぼ同じような減少率だ。
ボロ儲けしている大企業でさえ、賃金がほとんど上がっていないという事実は、法人税減税に賃上げ効果のないことを示している。しかしそれは、アベノミクスによる成長の成果が労働者階級には向かっていないということも意味する。
それでは、成長の成果がどこに行くのかといえば。大企業の役員や配当を通じて株主を潤すのだ。そうした状況に成長戦略の規制緩和、弱肉強食政策が加わるのだから。これからの日本は超格差社会へまっしぐらだ。年収100万円の庶民と年収10億円の金持ちに二極分化する。それが日本の未来なのだ。
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