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http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/32788609.html
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新ベンチャー革命2013年10月24日 No.811
タイトル:90年代世界トップレベルの技術大国であった日本の国際競争力は今、世界27位のトホホ!:ものづくり大国・日本とおだてられて墓穴を掘ったのか
1.米国競争力復活処方箋・イノベート・アメリカ2004の効果あらわれる?
2013年10月24日の朝日新聞に“MIT流 学生の選び方”という記事が載っています(注1)。この記事によれば、MITの志願者は10年前に比べて、なんと2倍に増えているそうです。筆者の対米イメージでは、米国の若者は理系嫌いだったのに・・・。実際、米国の理系博士号取得者の過半数は留学生だったのです(注2)。
筆者は上記の朝日記事を読んで、2004年暮れに発表されたイノベート・アメリカ(注3)レポートを思い出しました。当時のIMBの社長が音頭をとっていましたので、このプロジェクトは、その社長の名前をとってパルミサーノ・レポートと呼ばれていました。ちなみに、このプロジェクトはちょうど今から10年前に米国で行われていました。蛇足ですが、第一次安倍政権も2007年、このプロジェクトを真似たことがあります(注4)。しかしながら、これは単なるアメリカ様の物真似に過ぎませんでしたが、やらないよりましといったところです。
さて、上記、MITへの志願者倍増は、まさにイノベート・アメリカ2004の効果なのではないでしょうか。そこで、なぜ、現在の米国では理系志願の若者が増えたのか探ってみます。
2.10年前の米国の産官学の良識層は米国の若者が大学の理系学部を目指すよう仕向けた
2000年代初頭の米国ではブッシュ米国戦争屋ネオコン政権が誕生し、時計の針が逆回転し始め、米国は戦争世紀に突入してしまいました。それまで、米国の技術競争力の担い手であった米国シリコンバレーは、ブッシュ・ネオコン政権の謀略によって不況のどん底に突き落とされました。その悲惨な現実に危機感を抱いた米国の産官学の良識派が立ち上がり、イノベート・アメリカ・プロジェクトが発足したのです。ちなみに、筆者がかつて所属した米国シンクタンク・SRIインターナショナルで社長をしていたウィリアム・F・ミラー・スタンフォード大学名誉教授もメンバーのひとりでした。
なお、上記、米国戦争屋(世界的寡頭勢力の主要構成メンバー)およびそのロボット・悪徳ペンタゴンを構成する日本人勢力の定義は本ブログNo.687の注記をご覧ください。
この米国良識派の結論は、2000年代、米戦争屋ネオコンの謀略にて戦争一色にされた米国に、90年代シリコンバレーのような平和的な技術イノベーションを復活させるというものでした。そのためには、米国の若者が理系専門分野を志望するよう仕向ける必要がありました。具体的には、米国の大学に地味に存在していた理系専門職修士であるPSM(Professional Science Master)(理系のMBA)を活性化することが行われました。具体的にはPSMを取得した学生を全米の技術系大企業(イノベート・アメリカ協賛企業)が優先的に採用すると決めています。さらに、PSM学生はスローン財団の奨学金が優先的に受けられるという特典がつけられています。そして、ここがミソですが、PSM志願の条件は、大学の理系学部を卒業することとしています、すなわち、米国の産官学の良識層の狙いは、米国の若者に大学の理系学部を志願させるよう仕向けることだったのです。その効果あって、現在、PSMプログラムは300に増加しているようです(注5)。
さて、上記、MITの志願者が10年前に比べて倍増した要因、それは、まさにイノベート・アメリカ2004の戦略的成果と言えます。
3.現在の日本の国際競争力低下は深刻
ここで、現在の日本をみてみますと、10年前に苦境に陥った米国とよく似ています。今の日本はかつての米国と同様に、大学の理系学部進学者が減っています、なぜなら、リーマンショック後、理系学生の受け皿である日本の製造業は軒並み不況に陥り、欧米企業のみならず、アジア企業にまで負け始めたからです。その結果、日本の国際競争力は急激に低下しています。
90年代初頭、世界トップの国際競争力を誇っていた日本は20年後の2010年代の今、世界第27位に落ちています(注6)。これほどひどい落ち方をした国は日本を置いて他にはないでしょう。
2000年代初頭、米国の産官学の指導層が米国の競争力回復の原動力は技術競争力強化とみなしていたことは、上記、イノベート・アメリカ・プロジェクトから明らかです。その見方に従うと、現在の日本の深刻な国際競争力の低下は、かつて世界トップを極めた日本の技術競争力の低下に起因すると考えられます。
現在の日本の国際競争力はすでに中韓台以下に落ち込んでおり、東南アジアレベルです、その証拠に、2013年10月24日の日経新聞によれば、富士通が製造受託(EMS事業)に参入するそうです(注7)。EMSビジネス(注8)は、エレクトロニクス系製造業プロセスの下流側に位置し、技術先進国のビジネスではなく、製造コスト安の開発途上国型ビジネスです。かつて、世界トップレベルを誇った日本のエレクトロニクス産業の牽引役であった富士通がEMSに参入とは、絶句です。
さて、筆者個人の専門はMOT(技術経営)ですが、最近強く感じるのは、10年前に比べて、技術大国としての日本の国際ステータスが急激に落ち込んでいる点です。近年、中韓台の東アジアや東南アジアの若者で日本企業のMOTに関心を持つ者がとみに減少しています。
現在の日本のこの事態は実に深刻ですが、10年前の米国と同様な事態に陥っていると言えます。
4.なぜ、日本の技術競争力は低下したのか
90年代初頭、世界トップレベルの技術競争力を誇った日本は、20年後の今、東南アジアレベルの国際競争力の国家にまで凋落してしまいました。なぜ、こうなったのか、日本の官学の良識派の一部はその原因究明を行っていますが、その原因究明のコンセンサスはいまだにとれていません、残念ながら・・・。
ちなみに、筆者の持論は、米国戦争屋ネオコンを筆頭とする米国技術覇権主義者にまんまと日本が攻略されたと言うものです(注9)。
もうひとつ、筆者の仮説として挙げられるのは、2000年代初頭、米戦争屋ネオコン政権が米国に誕生したと同時に、日本の某大学経済学部と日経新聞(米戦争屋系シンクタンクCSISと提携している)中心に日本全国にて“ものづくり”キャンペーンが行われたことです。
これによって、日本企業の技術系幹部の脳裏に“日本の技術競争力の強み=ものづくり=技術経営”とインプットされてしまったことです。 一方、日本の若者の脳裏には“日本の強み=ものづくり=現場=ブルーカラー”とインプットされてしまったことです。その間、米国はシリコンバレー中心に脱・製造業のハイテク産業を復興させたと言えます。この日米の国家技術戦略の差が、今日、世界市場で大ヒットしているスマート・デバイスの競争力に如実に表れています。
その意味で、われら日本人は米国技術覇権主義者にまんまと嵌められた可能性を捨てきれません。
注1:朝日新聞“(インタビュー)MIT流、学生の選び方 スチュアート・シュミルさん”2013年10月24日
http://www.asahi.com/articles/TKY201310230672.html?ref=com_top_pickup
注2:CNET Japan“米で理系離れに歯止め--博士号取得者、6年ぶりに増加”2004年12月14日
http://japan.cnet.com/news/biz/20079674/
注3:文部科学省“米国競争力法の制定”
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200801/08060518/010.htm
注4:イノベーション25
http://www.cao.go.jp/innovation/action/conference/message.html
注5:PSM Reports & Statistics
http://www.sciencemasters.com/PSMOverview/PSMReportsStatistics/tabid/143/Default.aspx
注6:文部科学省“日本の国際競争力ランキング(全59ヶ国)”
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu17/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/08/13/1324471_9.pdf
注7:日経新聞“富士通、製造受託に参入 グループの工場活用”2013年10月24日
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD230CH_T21C13A0TJ0000/
注8:EMS (製造業)
http://ja.wikipedia.org/wiki/EMS_(%E8%A3%BD%E9%80%A0%E6%A5%AD)
注9:日米技術覇権戦争、光文社、2003年(絶版)
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
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