http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131026-00000006-pseven-life
NEWS ポストセブン 10月26日(土)7時6分配信

　年収300万円だからこそ、豊かで幸せな日々を送ることができる──宗教学者の島田裕巳氏が自著『プア充─高収入は、要らない─』で提言した「プア充」が話題となっているが、大前研一氏はそうした見解に否定的だ。大前氏は“プア充”の問題点をこう指摘する。

　＊　＊　＊

　最も現実的な日本の未来は、スペインやポルトガルのようにずるずると没落し、国全体が夕張化、デトロイト化する姿だ。

　2014年度一般会計予算の概算要求総額は過去最大の99兆2500億円に膨らんだ。すでに国の借金が1000兆円を超えてGDP（国内総生産）の2倍に達し、先進国の中で最悪レベルになっているにもかかわらず、まだ政府は予算をバラまいて借金を増やそうとしているのだ。税収を増やすという触れ込みの「成長戦略」も、「農業の6次産業化」などバラ撒きばかりでその実現性は甚だ怪しい。

　このままいくと日本は、私がかねて警告しているように、国債が暴落してハイパーインフレになる可能性が高い。その場合、勤労者はインフレに合わせて給料も上がっていくが、年金で生活している人たちは生活に困窮する（一応、年金制度では物価が上昇したらその分、受給額が上がることになっているが、ハイパーインフレでは対応不可能だ）。つまり、市場メカニズムによって強制的に年金額を減らされてしまう状況になる。実際、1990年代初頭にハイパーインフレが起きたロシアでは、そういう状態が10年くらい続いた。

　今や日本はあらゆる面で硬直化してしまっている。国は企業に雇用を守らせようとしている。しかし、企業は競争力を維持するために従来の新卒重視・終身雇用モデルからスウェーデンのような「Hire＆Fire（必要な人材・人数を効率よく採用し、不必要になれば解雇する雇用モデル）」に移行したい。それができなければ海外に逃避するだけだ。その結果、日本国内の雇用がなくなっていく。その流れはすでにあり、しかも加速している。

　私は9月に『稼ぐ力』（小学館刊）を上梓したが、稼ぐ力というのは究極的にはアンビション（野心）がモノを言う。もっと良いものを作りたい、もっと喜ばれるサービスを提供したい、その結果、今よりも大きな仕事を任されるような人材になりたい、という欲求こそが「稼ぐ力」につながるのである。

　これから日本は、製造業では中国やASEAN（東南アジア諸国連合）、ITではインド、R＆D（研究開発）ではアメリカなどと勝負していかねばならない。そういう時代に「プア充でいい」という人ばかりでは、あっという間にグローバル競争から落ちこぼれてしまう。彼らは「稼ぐ力」どころか「稼ぐ意欲」もないからだ。

　発想の転換が必要だ。むしろ「プア充時代」だからこそ、少しのアンビションと工夫、勉強、努力によって簡単に人より一歩先に進むことができる。今こそチャンスと捉え、稼ぐ力を高めようという人が1人でも増えることを願っている。

※SAPIO2013年11月号

コメント
01. 2013年10月26日 09:55:05 : HDwovAiKsc 　なんだか「ハーメルンの笛吹」のような気がする記事ですね。あくなき欲望を煽り立て、自滅の道に直進というシナリオでしょうか？ 　地球生態系は金主自由主義の暴力により現時点でも取り戻すことのできないところまでズタズタにされていると思うのですが。その典型が原発事故・核廃棄物の蓄積・放射性物質の漏えいなどですね。 　私は現在、より少なく稼いでより少なく消費するという目標を立てて年収２００万円の生活を実践しています。ただそれ以下だと基礎的生活費にも困ることになるので、それくらいが下限のようです。唯一の贅沢は晩酌ですが、第３のビールには１缶７５円程度のものもあり、安い焼酎もあります。それでも５０年前に比べてずいぶん贅沢に思え、悲惨な生活とは考えていません。
02. 2013年10月26日 10:09:10 : 085QMSchMU 大前の馬鹿は経済ってものが、まったく分かってないね。 経済の基本は、需要と供給だ、ここんとこが分かっとらん。 デフレとは、供給力に対して需要が委縮した状態だ。 　　富の集中化が進み、多数者が資金力を失って需要力が縮退してる。 　　これが世界と日本の、現状だな。 大前みたいな大勢の馬鹿が、発言力を保ってる、ここに悲劇がある。
03. 2013年10月26日 10:47:38 : nJF6kGWndY >日本は、製造業では中国やASEAN（東南アジア諸国連合）、ITではインド、R＆D（研究開発）ではアメリカなどと勝負していかねばならない。そういう時代に「プア充でいい」という人ばかりでは、あっという間にグローバル競争から落ちこぼれてしまう。彼らは「稼ぐ力」どころか「稼ぐ意欲」もない 逆だろうな 今後、海外諸国との競争条件の差は無くなっていくのに、日本の労働人口の割合は減り、他人の労働を当てにする人間ばかりが増える 負担は重くなり、努力しても勝てるチャンスが低いとなれば、多くの人は競争する意欲は失われる そうなるとリスクを取らず、チャレンジもせず、既得権維持や権利ばかり主張している国民が上は経営トップや行政、下は労働者に増えていき、 空洞化して産業競争力は落ち、いずれインフレになるのは必然 プア充が増えるのも自然の摂理ということだろう
04. 2013年10月26日 10:51:37 : nJF6kGWndY >「プア充時代」だからこそ、少しのアンビションと工夫、勉強、努力によって簡単に人より一歩先に進むことができる。今こそチャンスと捉え、稼ぐ力を高めようという人が1人でも増えることを願っている いつの時代、どんな社会でも、そういう人は必ず出てくる そして日本で成功できなければ、優秀な人は米国など海外に行く というのが昔からのパターン 逆に、米国は、そうやって成長してきたわけだが、敗けると精神的にきつい国でもある
05. 2013年10月26日 10:53:12 : XHPtqG3K0M 大前は本当に常識がないね。 稼ぐなんて言ったって、結局は他人からお金を取ることになり、まわりまわって全体で考えれば、消費は増えない。当たり前のことです、消費を増やすにはお金持と企業に設備投資をさせる、輸出を増やすしかあり得ません。 あるいはお金持と企業から無理矢理お金を取り上げ、貧乏人に配る、これでは革命です、お金持も企業も日本脱出と相成るでしょう。思い切って日銀を乗っ取り、貧乏人に1万円の札束を配るか？さすがにあの強欲のアメリカでもここまではやっていないようです。
06. 2013年10月26日 18:43:48 : QA106M8UBE いずれにしても 評論家が国を豊かにすることはない。大前研一の言葉で成功する者を持ち上げても貧富の格差は開くばかり。 弁護士がやたら増えても彼等は手数料を取って金の行く先を調整しているだけ。 全体を豊かにする機能は全くない。 金融や宣伝屋がいくら儲けても国民の生活は豊かにならない。日本の経済力はじみちに働く研究者、技術者、労働者に支えられている。
07. 2013年10月27日 00:52:11 : SJp2tQPl0Q この数年、経済が拡大する以上に経済格差が進んできた。 役人や大企業、御用学者やマスゴミが‘経済成長’という呪文ばかり唱えている一方で、愚民化された大衆は、さらに酷い搾取を受けるしかない。 拝金主義から抜け出せないと人類の将来は無いでしょう。
08. 2013年10月27日 05:45:49 : aZPA9TWGyU 大前研一って、一度でも日本の為になることを言ったことがあっただろうか？

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