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株式日記と経済展望
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日本の輸出が不振である原因は、日本にあるというよりも欧州経済が
もたついていることにある。中国の経済成長率が落ちてきている原因も同じ
2013年10月25日 金曜日
◆中国よりEUこそが日本の輸出不調の原因だ! 10月23日 小笠原誠治
http://blogos.com/article/72198/
先日、9月の貿易統計が発表になり、思ったほど我が国の輸出が回復していない事実が改めて関心を集めています。
1年前の9月は1ドル=78円程度であったのが、今年の9月は1ドル=98円程度にもなっているのです。それほど円安になったにも拘わらず、輸出額の伸びはそれほどでもなく、また輸出数量でみれば前年同月を下回っているではないか、と。
まあ、こうしたことの背景にはいろいろな理由が考えられるのです。例えば‥
(1)欧米の経済がもたついている。
(2)日中間の摩擦が悪い影響を与えている。
(3)日本の輸出力そのものが低下している。
貴方は、どのような理由が大きいと思いますか?
これまで一番意識されていたのは、日中間の摩擦が貿易関係に悪い影響を与えているということではなかったでしょうか。急激な円高が修正されるなかで、対米輸出は回復し始めたのに、中国向け輸出には回復の兆しが見られない、と。
しかし、流石に対中国向けの輸出額も今年の5月頃からは動きが出始めているのです。
では、何がイマイチ輸出の回復を妨げているのでしょうか?
懸念していたことながら、我が国の輸出力そのものが低下し始めていると考えた方がいいのでしょうか?
まあ、一部にそのようなことを指摘する声が出始めていますが‥私は、まだ、それを確認するだけの材料を手にはしていません。
従って、確定的なことを言う段階にはないのですが‥但し、我が国の輸出額の推移を長期的に眺めていると一つの事実が浮かび上がってくるのです。グラフをご覧ください。
対世界の輸出の動きと、国別(地域別)の輸出の動きを表しています。
我が国の輸出額は、年度でみると、リーマンショックが起こる前の2007年度にピークをつけています。1年間でなんと85.1兆円の輸出を実現し、それが、リーマンショックによる影響で2009年度には59兆円にまで落ち込んでいるのです。金額にして約26兆円ものダウン。我が国のGDPが約500兆円だと仮定すれば、5%強もGDPの伸び率を引き下げるほどの大きさです。
そして、輸出はそれ以降は一旦伸びたもののまた低下し、そして、超円高を克服してまた上向いて来ているのです。2013年度上半期の輸出額は35.3兆円なので、それを単純に2倍すると2013年度1年間では70.6兆円の規模に達すると予想されるのです。
では、国別(地域別)で見れば、どうなのでしょうか?
米国向けは、2012年度の11.3兆円から13.1兆円に増加すると予想され、EU向けも6.3兆円から6.9兆円に増加。そして、中国向けも11.3兆円から12.8兆円に増加すると予想されるのです。要するに、どこもほぼ順調に増加すると見込まれるのです。
では、ピーク時と比較すると、どのようなことになるのでしょうか?
<ピーク時からの変化>
米国:17.1→ 13.1 -23.4%
EU :12.6→ 6.9 -45.2%
中国:13.3→ 12.8 -3.8%
世界:85.1→ 70.6 -17.0%
如何でしょうか?
日本のEU向けの輸出は、ピーク時と比較してまだこんなに低い水準にしかないのです。米国向けも、それほどではないにしてもまだ低い。一方で、中国向けの輸出は、もうすぐピーク時の水準に並ぼうとしている。
つまり、EU向けの輸出が殆どといっていいほど回復していないのが、日本の輸出がイマイチ奮わない原因であると言えるのです。仮に、日本の輸出力が落ちていることが原因だとすれば、世界のどのような地域に対しても似たような傾向が現れると思われるのですが、こうしてEU向けの輸出が奮わない事実に気が付くと、日本の輸出が不振である原因は、日本にあるというよりも欧州経済がもたついていることにあると言うべきでしょう。
まあ、この事実に気が付くと、中国の経済成長率が落ちてきている原因の一つもやはり欧州経済のもたつきにあることが容易に想像されるのです。
では、何故欧州経済はもたついているのか?
それは、欧州でもバブルが弾け、広範な地域において財政破綻のリスクが高まってしまったからなのです。
まあ、そうした欧州危機も昨年の秋頃からは小康状態を保っているので、欧州経済のリスクを少しずつ忘れかけている訳ですが、その影響はこのようにまだ大変大きく、世界経済に暗雲が垂れこめているのです。
EUは経済が疲弊して、海外からモノを買う力が大きく落ち込んでいるので、幾ら円が安くなり、日本製品が安くなったからと言っても、そう簡単にどんどん日本製品を買うことはできないのでしょう。
(私のコメント)
円が1ドル=75円から100円にまで円安になったにもかかわらず、輸出が振るわないのはなぜなのでしょうか? 中国へはリーマンショック前まで戻しているのに、アメリカもあまり芳しくは無く、EUへの輸出が落ち込んだままだ。それだけEUの金融危機は危機を脱してはおらず影響は続いている。
金融危機は資金の手当てさえつけば先送りにすることができる。アメリカのデフォルト危機も上限枠を広げれば先送りすることができる。しかしEUもアメリカの財政も先送りされただけで問題が解決されたわけではない。アメリカの超金融緩和で新興国やEUの金融問題も資金が流れて危機回避に成果を上げていますが、金融緩和解除が決定されれば新興国やEUに再び火が付きかねない。
このような状況では、UEの景気が回復するはずがなく日本からEUへの輸出が伸びないのも危機的な状況に変わりがないからだ。ギリシャやスペインの若者の失業率は60%に到達して想像を絶する状況にあるようだ。全体でみてもギリシャとスペインの失業率は27%でありアイルランドやイタリアも10%を超える失業率だ。
PIIGS諸国の経済成長率は2%〜4%のマイナス成長であり、そのたのEU諸国も似たり寄ったりの状況だ。EU諸国でも正規雇用の労働者は保護されて非正規雇用の若者が失業している。このような状況では移民労働者との摩擦が生じてフランスなどでも問題になっていますが、日本やアメリカの一桁の失業率とは格段の差がある。
このような状況では日本からの輸出が伸びるわけがなく、ユーロが落ち着いた値を保っているおかげで海外からの投資も呼び込めない。ユーロ高の時は資金調達で有利な資金調達ができて海外から物を買う事も出来ましたが、国債の償還の時期が来ると償還ができない危険性が付きまといます。
EUへの輸出は中国が多かったのですが、EUの金融危機で輸出が落ち込んでいるのは中国も同じだろう。アメリカもFRBの金融緩和で一息ついていますが、金融緩和解除がアメリカのみならずEUから新興国に影響が広がり世界経済が大きな影響を受ける事になる。大消費地でありEUやアメリカが購買力が落ち込んでいるから新興国も輸出が不振となり新興国ブームも終わりが近づいている。
このように見れは日本は恵まれており、アベノミクスで景気回復の兆しが見えてきた。しかし円安で輸出が伸びる状況にはなく、円安が進めば海外からの輸入物価に反映されて、電気料金やガソリン価格などに値上げで影響が出てきている。おかげで原発の停止などで天然ガスの輸入が嵩んで貿易赤字が定着している。
問題はEUがこれからどうなるかですが、ECBがPIIGS諸国の国債を買い取って処理する事は緊急事態ではできても構造的に行う事は難しいだろう。ECBがユーロをじゃんじゃん印刷してばら撒けないから長期間にわたってEUではソブリン危機が再発する事になる。ユーロが一息ついているのもアメリカの金融緩和の資金がユーロに流れ込んでいるからで、流れが止まれば危機は再発する。
このような状況ではいくら円安にしても輸出が伸びる状況ではないわけで、むしろ輸入価格が抑えられる円高の方が有利な状況になってきている。あとはアベノミクス次第となりますが第三の矢は何なのだろうか? 確かに円安で輸出企業は一息つきましたが、国内景気に波及していない。銀行が相変わらず融資拡大に慎重なためであり、銀行と日銀の間を国債が行ったり来たりしている。
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