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日本銀行の岩田規久男副総裁
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131025/dms1310250735005-n1.htm
2013.10.25
岩田規久男日銀副総裁は18日、中央大学経済研究所創立50周年に招かれ講演を行った。400人収容の教室を2部屋使用し、片方の部屋では講演を実況中継したが、両方とも満員で、約800人の聴講者が参加した。聴講者の多くは中央大の学生であったが、報道関係者も少なくなかった。
講演文は、日銀のウェブサイトにアップされているが、岩田副総裁は大学生相手の講演とあって大学教授時代の講義を思い出したのか、自由闊達(かったつ)にわかりやすく話す岩田節が復活したようだった。
岩田副総裁は、日本で早くからインフレ目標の導入を主張してきた。講演文にはないが、「金融政策でデフレからインフレに変える力があるというのは少数派だった。20年くらい言っているが、そういう政策は採用されなかった。それが安倍総理に採用された」と率直に話している。
その結果、日銀は現在、2%の物価目標を設定し、「量的・質的金融緩和」を実施している。そこでは(1)2%の物価安定目標の早期達成についての「コミットメント」(2)コミットメントを「具体的な行動で示す」−という2つの柱があると岩田副総裁は言う。
第1の柱について、講演文では「『2%の物価安定目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現すること』について、日本銀行は『明確に約束している』ということです」と書かれているが、岩田副総裁は、実際の講演では「これは後に引けない。就任時に『達成できなければ辞める』と言った」と付け加えている。やはり、2%の物価目標達成についての並々ならぬ決意が表れている。
もちろん、金融政策でデフレを脱却できるというのは、理論的な背景がある。講演文にもあるように「将来、貨幣が増えれば、その貨幣の一部が物やサービスの購入に向けられるため、インフレ率は上昇するだろう、と予想される」というのがカギだ。
このため、実質金利(=名目金利マイナス予想インフレ率)が低下し、株高や外貨高などを通じて消費、輸出や設備投資が増加するという、経済学の教科書にもあるような説明がなされた。これが学生にはとてもためになっただろう。
2%の物価目標について、海外要因などで達成が困難になれば、追加緩和も辞さないことを示した。マスコミの取り上げたいところはここだけだ。もっとも、これは物価目標がある限り、当たり前のことであり、ことさら追加緩和をプッシュしているわけでもないだろう。
岩田副総裁と中央大には少なからぬ縁がある。岩田副総裁は、中央大経済学部のOBで上智大大学院での岩田門下生であり、2010年に死去した岡田靖氏の貢献に言及した。大学の教師は、いつまでも弟子のことが気にかかるものだ。今回の講演は志半ばで亡くなった弟子へのセンチメンタルジャーニーのようなものだったのだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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