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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131025-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 10月25日(金)6時33分配信
ブラック企業の一般的なイメージを簡単にまとめると、「ノルマが厳しく、残業が常態化しており、それでいて薄給な、労基法違反の会社」であるといえる。
とはいえ、「サービス残業がある」とか「OJTという名目で新入社員をほったらかしにしている」といった要素は、日本の中小企業ならば残念ながら当てはまりがちなことであり、即ブラック扱いするのも乱暴に思える。
では、同じような要素がある中で、ブラックと認識される会社とそうでない会社の違いはどこにあるのだろうか。これは微妙なニュアンスの差であるが、「『従業員にきちんと報いたい』という配慮の有無」が大きなカギを握っていると考えられる。
冒頭の図は、組織内部にいて体感するブラックな要素をレベル別に分類した「ブラック度合レベル一覧表」とでも言えるものである。読者の皆さまの中で「自分自身がブラック企業にいたことがある」という方にとっては、イメージがわきやすいかもしれない。
インターネット上には「これがブラック企業だ」といった定義があふれているが、いずれも発言者の主観によって語られているものであり、給与や評価、人間関係や仕事内容など、その切り口やレベル感はまちまちである。また内容をみても、「確かにブラックだ」と思えるものもあれば、「これは営利企業なら当たり前では……?」というものまでさまざまだ。
この図は、そのレベル感を整理したものとお考えいただきたい。いずれもブラック企業にありがちな要素なのだが、右側にいくほどブラック度合が増していき、「救いようのない、明らかなブラック企業」になっていく。
(1)ブラック度 低
ハードワークで、その割に低賃金。福利厚生が未整備。上司が厳しく、たまに理不尽なことを言う。そんな特徴だけを挙げていったら、日本に存在するほとんどの企業が「ブラック」だといえてしまうことになるだろう。
それでも、もし経営側に「今は不十分でも、いずれは環境を良くしていきたい。頑張っている従業員にも報いたい」という信念や姿勢があり、その意志を従業員に伝えているなら、その組織がブラックと認識される可能性は低い。
忙しいのは厳しい競争に勝ち残っていくためであり、低賃金なのも、会社の将来のために必要な投資を優先しているためである。いずれも会社の成長段階で必ず通過する、ひとつのステップである。
もちろん、経営者はそのことをよくわかっている。そして、従業員も同じ認識を持っていることを期待する。しかし残念ながら、経営者の地道な努力なくして、その期待がかなうことはないのである。
平社員から役職付となり、役員、経営者まですべて経験した私であるが、平社員時代は多くのサラリーマン同様、経営的な視点などなかなか持ち得なかった。やはり「これだけ働いているのに、なんでこの程度の給料なんだ」という思いが頭をもたげるのが通常の反応であろう。
その思いが「この会社ブラックだ」という不満になるか、「まあ会社ってこんなもんだよな……」と落ち着くかは、ひとえに経営者が「従業員に報いるという意志」を持ち、それを「意識的なコミュニケーション」によって従業員に伝えているかどうかなのである。この点は極めて重要であるため、具体的にどのような対策をとるべきかについては、また回を改めて説明していきたい。
(2)ブラック度 中
同じようなハードさ、理不尽さであっても、「従業員に報いようとする姿勢がない」もしくはそれが「従業員に伝わっていない」となると、ブラック度は「中」に上昇する。厳しいビジネスの世界を生き残っていくためには、ハードワークで薄給は当たり前。成果のためには社員をムチ打つことも辞さないが、その状況を改善しようとせず、違法状態を黙認している部分が「低」の組織とは違うところだ。
この領域の組織の経営者によく見られるのは「給料払ってんのは誰だ?」「ベンチャーなんだから当たり前だろう」といった、「雇ってやっている」「ハードワークで当たり前」という開き直った態度だ。確かに経営側の気持ちはわかるし正論でもあるのだが、「そのように苦々しく思っているだけ」の状態と、「実際に思いを口に出して、従業員にプレッシャーを与えている」状態はまったく違う。プレッシャーを与えられる側の従業員の気持ちを慮れない、いわば未熟な経営者がブラック企業を創り上げてしまうといっていいだろう。
(3)ブラック度 高
信じがたいが、世の中にはこの領域に属する会社が本当に存在している。共通するのは「従業員は使い捨て」「客は単なる金ヅル」といった、経営者の私利私欲のために違法行為もお構いなし、モラルも社会性も存在しない悪徳マインドである。
「こんなマンガみたいな会社……」などと一笑に付す方もおられるだろうが、あながち他人事とはいえないのだ。創業時は立派な志があったのに、時を経るにつれて経営者が現場から遠ざかり、イエスマンのみを周囲にはべらせた結果、現場がこのように悲惨な状態になっていたという会社は、私の見知る範囲でも複数存在している。
従業員や関係者が報われないブラック企業は淘汰されなくてはならないが、その会社がブラックであることを良しとしているのか、なんとか良い会社であろうとしているのか。我々はその会社が「言っていること」ではなく、「やっていること」で判断していくべきであろう。
新田 龍/ブラック企業アナリスト、ヴィベアータ代表取締役
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