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コラム:「リスクオンで円安・高金利通貨高」の根拠=亀岡裕次氏
2013年 10月 22日 18:40 JST
亀岡裕次 大和証券 チーフ為替ストラテジスト(2013年10月22日)
米民主・共和両党は債務上限引き上げで合意し、財政危機は回避された。2011年7―8月と同様、期限近くまで与野党の財政協議が難航したため、米金利、株価、ドルは下落していたが、今回の方が下落幅は限定的だった。
11年7月7日から29日までの15営業日に、ドル円は81.26円から77.18円へ4円ほど下落したのに対し、今回は米連邦公開市場委員会(FOMC)後の13年9月20日から10月8日までの12営業日に99.38円から96.93円へ2.4円ほど下落するにとどまった。
しかも、11年当時は7月に米大手格付け会社が相次いで米国債を格下げ方向で見直すと注意喚起し、債務上限引き上げ法案成立後の8月5日にスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債の1段階格下げを行ったため、79円を回復していたドル相場は財政合意前を下回る76円台へ急落した。今回は、米格付け会社による米国債格下げの動きもなく、ドル相場は98円程度で底堅く推移している
また、株価(NYダウ)も、11年には7月21日の1万2751ドルから8月8日の1万0604ドルへ2147ドル下落したのに対し、今回は9月18日の1万5709ドルから10月9日の1万4719ドルへ990ドルの下落にとどまった。
<改善傾向にある世界の景況感>
11年当時と比べドル円相場が堅調に推移している理由は、「米国債格付け」要因以外に2つあるだろう。それは、「世界的な景況感」と「米国金利の方向性」である。
11年4―9月頃は世界的に経済指標が事前の市場予想を下回る傾向が強く、それがリスクオフの円高に作用した。米国では、10年11月の量的緩和第2弾(QE2)開始後、当初は株価上昇が景気に与えるプラス効果が高まったものの、次第に金利上昇や商品市況(インフレ率)上昇が景気に与えるマイナス効果が大きくなった。米国債の格下げに伴う株安も、景気減速要因となった。また、欧州では11年夏に信用不安が高まったことが景気を減速させた。
一方で今回は、世界的に経済指標が市場予想を上回る傾向にある。米国では、13年9月にかけての長期金利上昇幅は11年当時と同様に大きなものではあったが、当時よりもインフレ率は安定し、下落していた住宅価格が上昇している。財政問題の影響による株安も小幅だったので、景気は比較的堅調に推移しやすいだろう。欧州では、信用不安の後退と景気の着実な回復が進み、中国など新興国では先進国向け輸出の回復がプラスに働き景気は上向きつつある。したがって、世界的に景気が回復傾向を示し、それがリスクオンの円安に働きやすい。
<下げ止まりつつある米国の金利>
11年4―9月は米長期金利が大幅上昇の反動で大きく低下し、それがドル安に働いた。金融緩和期待が強まって金利が低下するなら、金利低下はリスクオンの円安要因にもなるので、必ずしもドル安・円高にはならない。しかし、当時はそれまでの大幅な金利上昇を受けて景気減速懸念が強まったことによる金利低下だったので、リスクオフの円高も伴って大きくドル安・円高が進んだ。
今回の場合、13年9月にかけてはQE縮小期待で米長期金利が上昇したものの、実際には緩和縮小が見送られたために9月下旬にかけて長期金利が低下した。米景気減速懸念から金利が低下したとは言いがたい。与野党の財政協議難航で予算成立が遅れて政府機関の一部が閉鎖され、債務上限の引き上げ期限が近づいても、米金利が下がらなかったことが景気見通しの安定ぶりを示している。
財政問題解決後には米国債が買われて長期金利が低下したが、経済指標悪化が一時的かつ限定的と確認された後には金利が上昇傾向になる可能性が高い。当局者発言などを受けた金融引き締め期待による金利上昇ならば、景気不安を生んでリスクオフの円高要因にもなるが、そうではなく景気回復期待による金利上昇となれば、リスクオンの円安を伴ってドル高・円安に働きやすい。
<イエレンFRB議長の円安効果>
さて、連邦準備理事会(FRB)の次期議長にイエレンFRB副議長が指名されたが、このことは円安に作用すると考えられる。
もちろん議長だけで金融政策を決めるわけではないし、現実に金融政策が変化するほどの強い影響力があるかは不透明だが、少なくともイエレン氏はハト派とされるので、現行のQEあるいは低金利政策が長期間続きやすいとの期待がやや高まることにはなるだろう。すると、米長期金利には低下圧力が働き、その面だけで言えばドル安圧力が働く。しかし、景気悪化懸念ではなく金融緩和期待による金利低下は、リスクオンの円安圧力にもなる。
過去1年ほどのドル円相場を、日米実質金利差(残存5年ベース)と米国株価収益率(S&P500予想利益ベースのPER)の2つで重回帰分析すると、1%の金利差拡大が3円弱のドル高・円安効果、1倍のPER上昇が8円ほどのドル高・円安効果をもたらしたことになる。そして、過去1年間には金利差が2%程度拡大し、PERが2倍ほど拡大したので、金利差拡大よりもPER拡大の方が大きなドル高・円安効果をもたらしたことになる。
イエレン氏のFRB議長就任は、継続的な米金利低下につながることはなく、金利上昇を抑制する一方で、リスクオンを促進することになるだろう。そして、結局、金利上昇抑制によるドル安効果よりも、リスクオンによる円安効果の方が大きくなる可能性が高い。
<リスクオンで高金利通貨が優位に>
リスクオン・オフと為替相場には明確な関係性がある。各国通貨の短期金利水準と、対ドル為替と世界株価との相関係数を比較すると、両者には明確な順相関がある。金利が高い通貨ほど、対ドル為替と株価との順相関が高い傾向にあるのだ。つまり、投資家がリスクをとって投資する際には、高金利通貨が買われやすく、円のような低金利通貨は売られやすい。リスクを避ける際は、その逆となる。
13年8月までは米金利上昇を背景とするリスクオフのなか、高金利通貨が円やドルに対して売られていたが、9月以降は高金利通貨が持ち直している。経常赤字の対国内総生産(GDP)比が大きい国は、その資本流出が通貨安要因になるが、それでもトルコやインドのような高金利通貨はリスクオン効果で上昇している。
また、通貨安によるインフレを懸念して利上げや資本流入規制緩和などの通貨防衛策をとっていた国は、いざリスクオンになると通貨高が進みやすく、ブラジルやインドがそうした例に当たる。今後も、リスクオンの円安、高金利通貨高が進むと予想される。
*亀岡裕次氏は、大和証券の投資戦略部担当部長・チーフ為替ストラテジスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99L06Y20131022
9月米雇用統計、非農業雇用の伸び加速へ
2013年 10月 22日 17:31 JST
[ワシントン 22日 ロイター] - ロイター調査によると、米労働省が東部時間22日午前8時半(日本時間同日午後9時半)に発表する9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが前月から加速する見通し。財政をめぐる与野党の激しい対立の影響を受ける前の米経済の堅調さを示す内容になると予想されている。
ロイター調査では、エコノミストは9月の非農業部門雇用者数は前月比18万人増加し、増加幅は8月の16万9000人から拡大すると予想。失業率は約5年ぶり低水準の7.3%で前月と変わらないとみている。
10月初めに予定されていた9月の雇用統計の発表は、連邦政府の一部閉鎖を受け、2週間以上遅れた。
米国の雇用統計は注目度が高く、世界の金融市場の地合いを左右する。ただ、今回の財政をめぐる対立が経済にもたらした打撃の程度がより明確になるまで連邦準備理事会(FRB)は債券買い入れ縮小に関する決定をしない可能性が高いとみられ、政府機関の閉鎖によって雇用統計の重要度は低下したとエコノミストは指摘する。
コメリカ(ダラス)のチーフエコノミスト、ロバート・ダイ氏は「彼らは経済に関する有益な情報を持っていない。われわれは、政府機関閉鎖のために阻害要因がさらに増えたことを知っている。FRBは慎重なアプローチを取るだろう」と述べた。
FRBは来週29─30日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。9月のFOMCでは、月額850億ドルの債券買い入れ額を縮小するとの市場予想に反して買い入れ継続を表明。経済成長の底堅さが確信できるようになるまで買い入れ縮小の判断を先送りする方針を示した。
現在は、多くのエコノミストがFRBが来年まで量的緩和縮小を見送ると考えている。
RBS(コネティカット州スタンフォード)のチーフエコノミスト、ミシェル・ジラール氏は、FRBが3月より前に緩和縮小に着手することはないとの見方は変わらない、と述べた。
エコノミストは、16日間に及んだ政府機関閉鎖に伴う政府部門の生産減少、消費者および企業信頼感の低下によって、第4・四半期の米国内総生産(GDP)の伸び率が最大で年率0.6%ポイント押し下げられたとの試算を示している。
9月の非農業部門雇用者数の伸びが市場の予想通りに加速した場合、増加幅は過去6カ月の平均である16万人を超えることになる。
失業率は年初から0.6%ポイント低下した。ただ、雇用の展望が不鮮明なことへの不満などから労働力人口が減少したことも一因とされる。
9月の雇用統計でも、8月までと同様、民間部門の雇用者数増加が全体の大半を占める見通し。
政府部門の雇用者数は、8月には1万7000人増加したが、9月は横ばいが予想されている。
民間部門では、8月に1万8000人減となった情報産業の雇用者数が増加する見通し。ここ数カ月さえなかった建設業は、9月の雇用者数にさほど変化はないと予想されている。製造業の雇用者数は小幅に増加し、小売業は堅調な伸びを維持する見通し。
このほか、9月の平均時給は0.2%増加、週平均労働時間は34.5時間で前月比横ばいと予想されている。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99L06R20131022
強めの米雇用統計に警戒感、利益確定の株売り波及も
2013年 10月 22日 14:16 JST
[東京 22日 ロイター] - 22日発表の9月米雇用統計は、米政府機関閉鎖前のデータであり、材料とはなりにくいとの見方が多い。警戒されるのはポジティブ・サプライズのケースだ。最高値水準の欧米株はロングポジションが溜まっているため、景況感改善よりも、米緩和縮小観測が利益確定売りの材料として使われる可能性がある。
外為市場で巻き戻しのドル高よりも、世界的な株安背景のリスクオフによる円高が強まれば、日本株には二重のマイナス要因となりかねない。
<想定内なら材料視しにくい>
9月米雇用統計の非農業部門雇用者数は、前月比18万人増が見込まれている。8月の16万9000人増から伸びが加速するとみられているが、市場では、想定レンジを大きく逸脱しなければ材料視しにくいとの声が多い。
米政府機関閉鎖が始まる前の9月の統計であるほか、データ収集が政府機関閉鎖のために滞り、大きく改定される可能性もあるとみられているためだ。「市場の焦点は、米財政問題が消費マインドにどの程度、悪影響を与えたか、また今後、与えるかだ。9月のデータは決定的な判断要素とはなりにくい」(国内証券アナリスト)という。
前場の日経平均.N225は小動き。前日終値をはさんでのもみあい。東証1部売買代金は7434億円と薄商いで方向感に乏しい動きとなっている。ドル/円も東京市場では98円台前半を中心とした狭いレンジでの推移だ。
T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は「先延ばしに過ぎない米財政協議が米国の消費マインドにどう影響をもたらすかが市場の焦点だ。それは9月の雇用統計では読めず、米金融緩和の縮小観測にも影響を与えないだろう」とみている。
<膨らんだポジションの反動も>
市場が警戒するのは、9月米雇用統計の数値が大きく上振れた場合だ。データの信ぴょう性に疑いがあるため、景況感や米緩和縮小観測に大きな影響を与えるとはみられていないものの、「短期筋のポジション解消の手掛かりにされやすい」(IG証券マーケットアナリストの石川順一氏)という。
米国のS&P500.SPXやドイツのDAX指数.GDAXIなど欧米株などが次々と過去最高値を更新する中で、ロングポジションが溜まっている。ドルも緩和長期化観測を背景にショートポジションが膨らんでいる。
米雇用統計が良すぎれば、景況感の改善よりも早期の米緩和縮小をはやして、ドル高が進みやすい。だが、同時に流動性相場の色彩が強まっている米株も反落しやすくなるため、リスクオフの円高には注意が必要だ。
すでに市場の一部では、非農業部門雇用者数の上振れ観測が出ており、21日の米債市場では若干ながら金利が上昇し、ドルも強含みの展開となった。「米金融緩和の長期観測でドルのショートポジションが溜まっている。雇用統計が強くなることを予想して、先回りのショートカバーが入っているようだ」(国内証券)という。
アストマックス投信投資顧問・証券運用部シニアファンドマネージャーの山田拓也氏は「欧米株など高値圏にあり、反動安のおそれがある。日本株は業績見通しなどに対する個別株の反応をみる限り、地合いは悪くないが、売買ボリュームも低下しており、海外発のリスクオフには警戒が必要だ」と述べている。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99L04T20131022
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