http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/377.html
Tweet |
コラム:公務員改革は日本の分水嶺、成功なら株高の起爆剤に=丸山俊
2013年 10月 21日 19:37 JST
10月21日、BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏は、規制緩和を加速させる公務員制度改革こそ、成長戦略の1丁目1番地であり、日本経済・日本株の長期パスを考える上で重要だと指摘。提供写真(2013年 ロイター)
トップニュース
焦点:米モメンタム株の空売り減少、度重なる失敗響く
汚染水は湾外の水にも混入、重要なのは基準値以下であること=経産相
中国の習体制下の弾圧状況、国連人権理事会が調査へ
トヨタが中国・成都工場の生産能力5万台に増強、追加投資50億円
丸山俊 BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト(2013年10月21日)
北米・アジアの投資家を訪問してきた。4月に日銀が「異次元」と称される金融緩和を実行したときが絶頂で、その後長くこう着状態にある日本株(日本人)にさぞかし失望しているかと思ったが意外なほど好意的だった。
しかし、半年前であれば議論の大半が費やされた安倍政権の経済政策の本質とも言える財政支出拡大と事実上のマネタイゼーションに対する関心は低下し、むしろそれらを可能にしてきた安倍政権・自民党政治の変化に対する関心が高まっていた。
その直前に安倍首相が訪米中に行ったスピーチの評価が高いことも多少影響していたかもしれない。国連総会では中国や韓国から日本が名指しで非難される事態を回避したことで、日中・日韓の関係改善に向けて微かな期待が生まれた。
そして、ニューヨーク証券取引所で行った演説では、地元の大リーグ・ヤンキースの英雄で引退を目前にしたリベラ投手を引き合いに日本を世界に売り込み、最後にもう一度「偉大なるクローザー、リベラ投手の長年の活躍に最大の敬意を表しつつ、私のスピーチをおわりたいと思います」と演説を締めくくるとニューヨークっ子から喝采を浴びていた。
国内ではメディアの評価が必ずしも芳しくない安倍首相だが、米国では今やすっかり人気者だ。スピーチ原稿を用意した人は恐らく米国事情通だろう。
ちなみに、安倍首相の政務秘書官は経済産業省出身の今井尚哉氏(元資源エネルギー庁次長、第1次安倍内閣では事務の首相秘書官)であり、その他に非常勤の内閣官房参与として小泉政権時代に政務秘書官だった飯島勲氏、外交面でアドバイスをする谷内正太郎氏(第1次安倍内閣時の外務事務次官)、財政経済面でアドバイスをする丹呉泰健氏(小泉内閣時の首相秘書官で元財務事務次官、現読売新聞グループ本社監査役)などが官邸に集結している。
<変わる自民党の空気>
実際問題、就任してわずか9カ月余り(国会が開かれていた時間にすればさらに短い)のうちにこれだけ多くの政策を矢継ぎ早に実行に移しつつある首相が過去どれだけいただろうか。派閥・長老政治や頻繁な首相交代から「自分党」と言われて急速に国民の支持を失っていった自民党を、民主党の敵失に助けられながら先の衆議院選挙および参議院選挙で圧勝に導いた実績が党内における首相の求心力を高めている。
選挙で勝たなければただの人とは良く言ったものだが、自民党議員にとって安倍首相の下で衆参両院を制したことは厳然たる事実であり、その政権に協力しないということは自らの政治生命を否定するようなものだ。そして、野党時代に辛酸をなめた自民党議員は「ラストチャンス」とばかりに安倍政権が破綻すれば自民党だけでなく、日本経済がダメになると思っている。現在の自民党は、兎にも角にも表面的には一枚岩になりつつある。
そうした中、首相の本気を垣間見たのが、参院選後の論功行賞だ。実は自民党には当選回数5回の中堅議員が50人いる。彼らはこれまでの慣例だと「大臣適齢期」に差しかかっており、皆が大臣ポストを待ちわびて行列をなしている。過去、自民党総裁・首相は選挙後などの節目に内閣改造を行い、大臣ポストを派閥に割り振ることで党内における求心力を保ってきた。しかし、安倍首相は今回の参院選後に内閣改造を行わなかった。これは永田町の常識からすれば考えられないことである。その後、副大臣・政務官人事では大幅な入れ替えを行ったが、派閥の推薦は一切考慮しなかったとされている。
どれだけの中堅議員が肩を落としたことだろうか。と同時に、これら中堅議員の目の色が変わり始めたことに安倍首相は内心「にんまり」しているに違いない。今後、安倍政権の政策に異を唱える(小泉政権時代のときは抵抗勢力と呼ばれた)自民党議員は大臣にも党内の役職にも就けないことが告げられたも同然だからだ。党内に強力な支持基盤を持たない安倍首相が自民党を掌握した瞬間である。
<成長戦略の1丁目1番地>
アベノミクスの本質が財政支出拡大と事実上のマネタイゼーションであるうちは、日本株にはまだ上値余地があるだろう。しかし、さらにその先のことを考えてみると、即効性はあるが効き目は短い財政金融政策ではなく、即効性はないが効き目は長い成長戦略を実行することがどうしても必要になってくる。
いつまでも実態のない株高経営を続けることはできないし、最終的に企業の収益力が高まっていなければ化けの皮がはがれるであろうことは火を見るより明らかだ。3年後、宴が終わったときには、悪い金利上昇と悪性インフレが待っているかもしれない。
証券会社では、資料の表紙に「アベノミクス」というフレーズが踊り、最近は成長戦略について懇切丁寧に説明してくれるそうだ。ただ、環太平洋連携協定(TPP)や農地集約化、混合診療解禁、設備投資減税などは確かにいずれも大切なことだが、それで日本経済が食っていけるわけではない。
社会保障制度改革、法人実効税率の引き下げや解雇規制の緩和、原発の早期再稼働など、長期的な成長押し上げに寄与する政策を後回しにしているうちは、日本にシビアな海外投資家を心底納得させることはできないだろう。海外投資家が日本の政治に興味を持ち始めたのは、安倍政権・自民党が痛みを伴う改革を可能にする政権・政党になりつつあるのかどうか知りたいからである。
派閥政治から脱却しつつある安倍政権・自民党が大胆な規制緩和を推し進めていけるか否かを占う上で、公務員制度改革は重要だ。第1次安倍政権時代から国会に提出しては廃案になってきた公務員制度改革は、縦割り行政の弊害から規制緩和の障害になっている省益重視の官僚制度を変える上で絶大な効果を発揮する可能性を秘めている。
すなわち、一定クラス(審議官)以上の幹部の任命や天下り先などの人事を内閣が一元的に行うというものである。大統領が変わる度に政策スタッフが大幅に入れ替わる米国のようなイメージに近い。政治主導が鮮明になり、政策遂行が容易になることに期待が持てる。
前回のコラムで取り上げた公的年金改革に加えて、遅々として進まないか骨抜きにされてきた規制緩和が大きく前進する起爆剤になる公務員制度改革こそ、成長戦略の1丁目1番地であり、日本経済・日本株の長期パスを考える上で重要なのだ。
*丸山俊氏は、BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、三和総合研究所に入社し、クレディ・スイス証券を経て2011年より現職。
関連ニュース
日本、中国との領有権問題で緊張高める行動は起こさず=安倍首相
日本、中国との領有権問題で緊張高める行動は起こさず=安倍首相 2013年9月28日
イスラエル和平交渉に全力尽くす=パレスチナ自治政府議長 2013年9月25日
成長戦略・五輪の効果はこれから、今の日本は「買い」=首相 2013年9月17日
コラム:公的年金運用改革はアベノミクスの追い風となるか=丸山俊氏 2013年9月12日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99K05V20131021?sp=true
焦点:米モメンタム株の空売り減少、度重なる失敗響く
2013年 10月 22日 12:56 JST
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米国株が上昇基調を続ける中、空売り筋は割高なはずの銘柄を売っては踏み上げられて痛手を被ってきた。今週は株価が高騰している企業が幾つか決算を発表するが、失敗に懲りた空売り筋は鳴りを潜めたままだ。
空売り筋の慎重な姿勢が物語るのは、米連邦準備理事会(FRB)の緩和がもたらした環境の下、空売りで利益を上げることの難しさだ。株価が目まぐるしく上昇し、バリュエーションが跳ね上がった企業でさえ、これまで基本的に下落を免れている。
ショート寄りの戦略を採用するヘッジファンドにとって、今年は悲惨な年になっている。ヘッジ・ファンド・リサーチによると、年初から9月末にかけてこうしたファンドは13%以上下落した。
スタイフェル・ニコラウス・キャピタル・マーケッツの上場株式取引担当マネジングディレクター、アンジェル・メータ氏は「空売りを試みた人々は、これまでのところ完敗だ。ある程度の空売りはまだ続いているはずだが、彼らは非常に慎重だ。決算発表後の相場調整に賭ける取引でさえリスクが高くなった」と話す。
<ネットフリックスのPER>
米株式市場を代表するモメンタム株の1つが米オンライン動画配信大手のネットフリックス(NFLX.O)で、年初から260%も上昇した。株価は多くの尺度に照らして割高で、株価収益率(PER)は105.48倍と、同業他社の16.25倍をはるかにしのぐ。
スターマインのイントリンシック・バリューによると、ネットフリックスはS&P500種総合株価指数の構成銘柄中で3番目に割高だ。イントリンシック・バリューは今後10年あるいはそれ以上の期間に最も確率が高そうな成長軌道に基づく適正価格を算出したもの。スターマインはネットフリックス株の適正価格を50.04ドル(現在は355ドル)と計算している。
こうした状況を踏まえると、空売り筋は21日の取引終了後に行われたネットフリックスの決算発表前に売りを仕掛けたはずだと思うかもしれない。しかしそうではなかった。マークイットによると、同株の空売り比率は5.5%と市場平均を下回り、8月初めの28%から下がっている。
スタイフェルのメータ氏は「10人中9人がネットフリックス株は割高だと言うが、その9人に空売りを行うかと聞くと、1人としてイエスと言わない」と話した。
<ことしの勝ち組>
今週決算を発表する今年の勝ち組銘柄はネットフリックスだけではない。電子部品メーカーの米モレックス(MOLX.O)は年初から株価が41%も上昇したが、空売り比率は6.8%と、7月第1週の27%超から低下している。
オンライン旅行サイトのトリップアドバイザー(TRIP.O)の空売り比率は22.5%とやや高めだが、2012年のピーク時の約50%に比べれば大きく落ちている。同社株は年初から71%上昇しており、23日に決算を発表する。
電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズ(TSLA.O)株は年初から441%も上昇し、ことし最も劇的なモメンタム銘柄と言えそうだが、空売り比率は7月の75%から52%に下がっている。テスラの決算発表は11月初め。
シーミス・トレーデイングのトレーディング担当コ・マネジャー、ジョー・サルッツィ氏によると、空売り筋はモメンタム株よりも、今年の相場実績が弱い株や、あるいはIBM(IBM.N)のようなバリュー株を空売りした方が成功を収めてきた。
IBMは四半期売上高が弱かったため、発表翌日の17日に株価が急落した。
サルッツィ氏は「モメンタム株の空売りを望む人々は、最終的には正しかったことが証明されるだろう。ネットフリックスやテスラが砕ける時は、激しく砕けるだろう。分からないのは、これらの銘柄がサイクルの中のどの地点に位置しているかであり、今のところ空売り筋は痛手を被っている」と述べた。
フレッケンスタイン・キャピタルのビル・フレッケンスタイン社長は、FRBが最初に景気刺激策を発表した時点で「この種の環境下で空売りを成功させるのは困難なことが分かっていたため」自身のショート系ファンドを閉鎖したと説明する。社長はしかし、「空売りがここまで難しくなるとは予想していないかった。現在の世界では、ある銘柄が馬鹿馬鹿しいほど割高だというだけでは、今後の下落を意味しない」と語った。
(Ryan Vlastelica記者)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99L03S20131022
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。