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円下落、株高背景にリスク選好の売り先行−米緩和長期化観測
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10月21日(ブルームバーグ):午前の東京外国為替市場では円が下落。米量的緩和の長期化観測を背景に株高が進む中、リスク選好に伴う円売りが先行した。
ドル・円相場は1ドル=97円台後半で週明けの取引を開始すると、午前9時前後からドル買い・円売りが活発化し、一時98円10銭を付けた。ただ、98円台ではドル売り・円買いに押され、10時すぎ以降は97円90銭台でもみ合う展開となっている。午後零時15分現在は97円95銭前後。前週末の海外市場では一時97円56銭と今月10日以来の水準までドル安・円高が進んでいた。
IG証券の石川順一マーケットアナリストは、「エコノミスト調査で当初強まっていた12月の縮小の可能性が後退したということになると、米国の緩和マネーが世界の株価指数を支える構図は変わらず、期待先行で円売りが強まっている」と説明。朝方発表された日本の貿易収支で、「上半期の赤字が過去最大ということ自体も円売り要因になる」と指摘した。
この日発表された日本の9月の貿易収支 は15カ月連続の赤字となり、過去最長を更新した。赤字額は前年同月比16.5%増の6兆9043億円となり、市場予想を若干上回った。併せて発表された2013年度上半期の貿易収支は4兆9892億円の赤字となり、年度の半期ベースで過去最大を記録した。
ユーロ・円相場は1ユーロ=133円台後半から一時134円14銭と先週末に付けた9月23日以来の円安値(134円19銭)付近まで円売りが進行。その後は133円90銭台を中心としたもみ合いとなっている。
スコシアバンクのシニア通貨ストラテジスト、サチャ・ティハニ氏(香港在勤)は、「株式は少し回復している。対ドルでの下落に関しては、円は他の通貨の中でも先陣を切っている」と語り、日本の貿易収支については「収支バランスが変わっていないことは心配だ。円安が輸出の増加よりも輸入コストに影響していることを示している」と語った。
米緩和長期化観測
ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト40人を対象に実施した調査によると、米政府機関の一部閉鎖の影響で10−12月(第4四半期)の経済成長が鈍化し、指標発表も中断したことから、米連邦準備制度理事会(FRB)は債券購入プログラムの縮小開始時期を来年3月まで先送りするとみられている。
エコノミストの予想中央値によると、月間850億ドル(約8兆3000億円)の債券購入ペースは3月18、19両日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で同700億ドルのペースに縮小される見込み。暫定予算の未成立による16日間の政府機関閉鎖の影響で、第4四半期成長率は0.3ポイント押し下げられると見込まれている。
シカゴ連銀のエバンス総裁は18日のシカゴでの講演で、「より引き締め的な金融政策が推進され、金利が上昇すれば、失業率の上昇と資産価格の急落を招き、緩やかな景気回復が止まってしまう可能性が高い」とし、米金融当局は非伝統的な政策をやめるべきではないとの認識を示した。
米緩和縮小の先送り観測を背景に、18日の米国債市場では10年債利回り が2カ月ぶりの水準に低下。一方、グーグルの好決算も追い風に米国株は上昇し、S&P500種株価指数 は最高値を更新した。
21日午前の東京株式相場も上昇。日経平均株価 は一時、日中ベースでは9月27日以来となる1万4700円台に乗せた。
米雇用統計
米国では政府機関の閉鎖に伴い発表が遅れていた経済統計が今週から順次発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、22日発表の9月の雇用統計では非農業部門就業者数が前月比で18万人増加したもよう。失業率は前月に続き、2008年12月以来の最低となる7.3%にとどまったとみられている。
上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、「市場の一部にはドル売りバイアスが強過ぎるとの見方があり、米雇用統計の上振れによるドル買い戻しリスクを指摘する声がある」とし、ドル・円についても米雇用統計の発表を前に「下攻めもしにくい」可能性があると指摘していた。
主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は先週末に一時1000.70と、2月13日以来の水準に下落。週間では1%低下と、9月20日終了週以降で最大の下げとなった。
また、ユーロ・ドル相場は前週末に2月1日以来の水準となる1ユーロ=1.3704ドルまでユーロ高・ドル安が進行。その後1.36ドル台後半でもみ合う展開となったが、週明けの取引ではドルの買い戻しが徐々に強まり、一時1.3671ドルを付ける場面が見られた。
IG証の石川氏は「ドルインデックスも2月の水準まで急落しているので、ポジション調整が入ってもおかしくない。ただ、この状況が続くかというとそれはないだろう。結局、緩和縮小時期が実際に明確になるまでは、米緩和マネーの流入期待による株高の流れは変わらず、その半面、米金利の低下圧力が強まり、ドル相場も年初にかけて抑えられる可能性が高い」と語った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net;東証 Yuko Takeo ytakeo2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/10/21 12:23 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MUZPDM6JIJUR01.html
【クレジット市場】
「黒田2%目標」困難さ鮮明、長期金利に低下圧力
10月21日(ブルームバーグ):日本銀行が巨額の国債買い入れを伴う金融緩和を導入してから半年余り。長期金利は約5カ月ぶりの低水準にとどまり、黒田東彦総裁が目指す物価目標の達成の難しさを浮き彫りにしている。
長期金利の指標となる新発10年物国債利回り は18日に0.615%と5月9日以来の低水準を記録。経済成長や物価の構造的な改善を伴う本格的な金利上昇観測は広がらず、世界最低水準にとどまっている。同年限の米国債 利回りは2.58%前後と日本の約4倍に上る。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、日銀が2年程度で物価目標を実現するのは容易ではないと指摘。岩田規久男日銀副総裁は先週末の講演で、仮に2年程度での物価目標達成がおぼつかない場合には金融緩和の枠組みを見直す考えを示した。三井生命保険は今年度下半期の資産運用で超長期債を中心に国内債を500億円程度、積み増す計画を明らかにしている。
SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、円安や財政出動が主因の経済成長による需給ギャップ縮小で消費者物価はある程度は上昇するが、2%目標の達成は「常識的に考えれば無理だ」とみる。物価目標が高過ぎて実現困難とみられているため、大規模な国債購入は金利低下につながりやすいと言い、10年債利回りは0.5%前後に向かって緩やかに低下すると読む。
金利は需給で低下
日銀は約15年にわたるデフレを脱却し、2%の物価目標を2年程度で達成するため、月7兆円強の長期国債を買い入れる「量的・質的金融緩和」を導入すると4月4日に発表。金融機関への資金供給量を示すマネタリーベース や長期国債の保有額を2年間で2倍に増やすとした。購入規模は今年度の国債発行総額170兆5000億円の約半分。物価目標の達成を「安定的に持続するために必要な時点まで」緩和を続ける方針だ。
10年債利回り は、日銀が大胆な金融緩和策の実施を表明した翌日に過去最低となる0.315%を記録した後、5月23日には約1年1カ月ぶりに1%まで上昇した。
日銀は巨額の国債買い入れオペ(公開市場操作)がもたらす混乱を抑えるため、購入手法を「より頻繁、より少額ずつ」に改善。国債利回りは相場変動率(ボラティリティ) とともに徐々に低下した。5年債は18日に0.205%と4月12日以来の水準を付けた。20年債は1.485%、30年債は1.615%と、ともに約5カ月ぶりの低水準を付けた今月4日の水準に迫った。
東短リサーチの寺田寿明研究員は、目先的には日銀の買いが優勢だと指摘。「需給が締まって金利は下がるというのが、市場参加者の一致した意見だ」と述べた。ただ、市場での売買高低迷で流動性が低下し、ショック時にまとまった売りが出た場合の吸収力は「以前に比べて弱くなっている面はある」とも語った。
インフレ加速せず
黒田総裁は18日の全国信用組合大会のあいさつで、金融市場や実体経済・物価に前向きの動きが広がっているが、長期金利は巨額の国債買い入れによって「強力に抑制されている」と強調。景気は今後も緩やかな回復を続け、消費者物価の前年比はプラス幅を次第に拡大していくとの見通しを示した。
大胆な金融緩和と安倍晋三内閣による財政出動を背景とした円安・株高 基調の下で、国内総生産(GDP)は4−6月期の実質成長率 が前期比年率3.8%と、0.5−1%程度とされる潜在成長率を2四半期続けて大幅に上回った。内閣府によると、直近の需給ギャップはGDPの1.5%とリーマンショックが発生した2008年7−9月期以来の水準まで縮小した。政府は8月以降の月例経済報告に「デフレ状況ではなくなりつつある」と明記している。
日銀は15年度の消費者物価(全国、生鮮食品を除く) 上昇率が消費増税の影響を除いても1.9%に高まると予測している。ただ、2%に達したのは消費増税の影響が出た1997年度と原油価格が史上最高値を付けた2008年の一時期を除くと1992年12月が最後だ。ブルームバーグの調査によると、市場関係者は消費税率が現在の5%から8%に上がり、物価が2ポイント程度押し上げられる来年4月以降、消費増税の影響を含めて2.7−2.9%にとどまるとみている。
高いハードル
全国の消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)は8月に前年同月比0.8%上昇と08年11月以来の高い伸びを記録。市場関係者は食料とエネルギーを除いた指数 も25日発表される9月分が前年比横ばいとなり、08年12月以来初めてマイナス圏を脱すると予測している。円の対ドル相場は昨年末から13%近く下落した。
東京海上アセットマネジメント投信の秦正英債券運用部長は、最近の消費者物価上昇は「円安の影響が大半だ。持続的なインフレは雇用者所得が増えないと、なかなか難しい」と指摘。2%の物価目標は「高いハードルというイメージだ」と語った。
S&Pは18日、日本の長期国債格付けを「ダブルAマイナス」、見通しも「ネガティブ」に据え置くと発表した。短期的な経済見通しは改善した半面、財政健全化策は「講じられているが進捗(しんちょく)が遅い」と指摘。日銀の量的・質的緩和が「奏功する兆しはある」ものの、物価目標の実現は容易ではないとの見解を示した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;シンガポール Masaki Kondo mkondo3@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2013/10/21 12:49 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MUZKYO6TTDS701.html
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