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中国の外貨準備高は世界最大で、現在3兆6600億ドル(約360兆円)です。
この金額は、日本の3倍近い規模があり、中国を除く世界のヘッジファンド総運用資産(2兆4100億ドル)を凌駕しています。
この巨額の外貨準備は、輸出と為替介入によって積み上げてきたものです。
アメリカに金を貸すことでアメリカの個人消費を支えてきた中国ですが、これが中国の輸出を牽引し高度成長を可能にしました。日本の高度経済成長のモデルを参考にしたと思われます。
しかし、この経済モデルはいつまでも持続できるようなものではありません。
アメリカは人口動態の変化、労働生産性低下から潜在成長力が構造的に低下しています。高齢化と格差拡大により総個人消費の低下も止まりません。個人消費が増えない以上設備投資も増えません。
個人消費、投資のどっちもだめでは、内需回復の可能性はほとんどありません。また、輸出も新興国企業のキャッチアップで苦戦しています。アメリカ発のITが、皮肉なことに、情報の独占によるアメリカのレントシーキングを無力化していきます。
女性を労働市場で使う戦略は、長期的には人口を減少させます。優秀な女性の子どもを産む数が減るために、国全体の労働者の平均的な知能指数を低下させ労働生産性を低下させます。学費高騰により、社会の階層が固定化され、アメリカンドリームはなくなりました。
高等教育と中等教育の失敗により後天的に知能の低下を補うことができなくなってきています。1000人に一人のイノベーターや起業家などが生まれる確率も人口比で中国やインド4分の1以下です。
潜在成長力の低下を補うバブルも二度破裂してきています。そのためわずかな資産効果があるバブルによる景気底上げには限界がきています。確率は低いですが、中国の場合、シャドーバンキングのバブルが弾けたとしてもまだまだ国がその借金の肩代わりをする余裕があります。しかし、アメリカの場合、次、今の住宅、株バブルが破裂した場合、それを支える財政余力はすでにありません。
QEをつかってバブルをつくっても景気が緩やかにしか回復せず、実質成長率が低空飛行状態です。一方、その実質成長率を超えるスピードで金利が上昇しています。さらにデフレ圧力まで強くなり名目成長率まで低下してきました。このままではアメリカは、利払い負担に押しつぶされて遅かれ早かれデフォルトするのが不可避な情勢です。中国の格付け会社はこの点を理由にアメリカを格下げしましたが、当然の格下げだと思います。
ここ最近、スノーデンによる暴露、シリア科学兵器問題、政府閉鎖、債務上限問題などでアメリカの外交、軍事、政治、経済のすべての信認が急激に低下しています。
そのため、ついに中国がアメリカを見限ったようです。そろそろアメリカは限界とみた中国は、利用価値の下がったアメリカを用済みと判断して次のステージ移ったように思えます。それが、新華社通信による、脱アメリカ化とその核になるドルに変わる基軸通貨宣言だったと思います。
その宣言に呼応するように、政府系格付け機関によるアメリカ格下げをおこなっています。
また、商工大臣顧問の梅新余市は、もし米国がデフォルトした場合、中国は完全に米国債を買うのをやめることを決定することができると警告しています。
中国は欧州に接近しています。イギリスやユーロと通貨スワップ協定を結びました。また、ロンドンで人民元建て債券発行を決めました。また、ユーロと投資協定の締結の交渉を開始しました。これは自由貿易協定への布石のようです。もし中国とユーロの貿易協定が成立すれば、アメリカ主導のTPPは大きなダメージを受けるでしょう。
中国のアメリカからマネーを引き上げて欧州に移す流れが加速しそうです。
陰謀論でお馴染みの米・外交問題評議会のメンバーであり、UBSの最高投資責任者であるアレキサンダー・フリードマンは、日本などから輸入した部品を加工、組み立てした製品の輸出を除けば、中国のGDPに占める純粋な輸出依存度は5%以下まで低下しているそうです。そのため、すでに外貨準備を大量に売ることは中国の利益となる状況になってきていると指摘しています。中東、ノルウェーのオイルマネーやシンガポールなどが運用することで有名な政府系ファンド(SWF)の運用資産は、欧米の投資銀行などが出資するヘッジファンドの2.3倍です。
その世界の政府系ファンドの総資産の約4分の1を中国の政府系ファンドが占めています。
その中国の政府系ファインドの主力ファンドが中国投資有限責任公司(CIC)です。巨額な外貨準備の運用を多様化し、ドル以外の資産にリスク分散するために2007年に設立されました。
今運用しているのは外貨準備の一部にすぎないのでさらに今後CICはさらに巨大化していくと思われます。これだけ巨大な資金を運用していながら、2012年運用利回りは10.6%とハイパフォーマンスです。QEは間接的な影響しかなく、直接的に世界の株高を牽引してきたのはこの中国の政府系ファンドである可能性があります。
運用金額は欧米のユダヤ国債金融資本家が束になっても勝てない規模です。欧米の資産は個人によって多くが保有されています。個人は利害がバラバラです。ユダヤ金融資本家やロスチャイルド家などでも一枚岩ではなくバラバラでしょう。むしろ、近い位置にいるほど利害が対立します。謀略があったとしても、特定の資産を買ったり売ったりの足並みをそろえるのは大変だと思います。
中国の場合は、この巨大な資本を国が保有しているので、組織させしっかりしていれば、巨額の資本を一元的かつ機動的に動かすことが可能です。世界中のどのマーケットの価格も中国が思うように決めることができそうです。
金融の世界ではすでにアメリカやイギリスなどの欧米諸国と中国との間の勝負はついていると思います。
中国が保有する米国債は、約1.3兆ドルで世界最大です。これは、中国の外貨準備高の約3分の1に当たります。その他のドル建て資産を含めると、中国の外貨準備高の半分はドル資産になります。中国は外貨準備の約半分をドル資産以外にリスク分散しているといえます。
アメリカは中国やインドや日本と違い、自国のファイナンスの半分を海外に依存しています。最大の貸主が、中国と日本です。なお一番の貸し手はもちろんFRBです(財政ファイナンス)。
米財務省の公表している中国の米国債保有残高とCICの年次報告書の数字が一致することから、中国の保有する1.3兆ドルの米国債はすべてCICが保有しているようです。
なお、中国の金を保有しているのはCICとライバル関係にあるといわれるSAFE(中国国家外貨管理局)といわれています。中央銀行が保有しているわけではないので公的機関の金保有量としてIMFに報告する義務はないようです。
このSAFEの金を中央銀行である人民銀行に移すときのタイミングで金の公的保有量を公開すると思います。以前はそれで急増しました。CICの売買動向を追えば、世界の大きなマネーのフローの流れが予想できるかもしれません。もっともCICの動向は欧米サイドの情報ではないので、英語の情報が少なく、なかなかネットなどでは知ることができません。
そこで、ヒントになりそうなのが、アメリカのPEファンドです。
CICの米国の企業や不動産などの買収には、アメリカのCFIUS(外国投資委員会)などの当局も警戒しています。
CICはこの警戒を、すり抜けるために、アメリカのPEファンドを介することで、アメリカの資産を買い漁っているようです。CICと深い関係にあるのが、世界最大の資産運用会社であるブラック・ロックです。運用総額は4兆ドルを超えています。
CICは出資や共同ファンド設立などでブラック・ロックとの連携を強化しています。
このブラック・ロックは、先日も、世界最大のオルタナティブ投資会社ブラックストーンのCEOがブラックロックの前身部門を19年前に売却した決定について、「甚だしい」誤りだったと認めているぐらい絶好調の会社です。ブラックロックといえばETFです。世界のETFの純資産残高ベースの4割はブラック・ロックが運用しています。
ETFは、少額資本家が、安い手数料でインデックスファンドに投資することを可能にしました。投信信託やヘッジファンドは手数料が高いわりには、総じて、インデックスファンドにパフォーマンスで負けていることはよく知られていることです。また、個別の銘柄はインサイダー情報のない個人投資家にはリスクがあります。そのため、アメリカの個人投資家は個別の銘柄よりもETFに投資することを選好されるようになってきているようです。2000年になってからの金の大幅上昇と同じく、株価上昇を牽引してきたのがこのETFです。
ということは、金と同じように株も大幅な下落をする可能性があるということです。少額投資家が多いということは、群集心理的にパニック売りがおこりやすいということです。ストップロスを狙った売り仕掛けが効果的です。群衆心理的に下げはじめると止まらないおそれがあります。
もっとも、株価は未だに底堅く、ブラック・ロックの収益は好調でした。
ETFが好調だったようです。ETFは債券や金などもありますが、メインは株です。そしてブラック・ロックの運用するiシェアーズもメインはアメリカの株です。
そのブラックロックのフィンクCEOは「FRBは縮小開始時期を少なくとも来年3月に先送りせざるを得なくなるが、恐らく遅れれば6月になるだろう」と述べています。
となると、QE縮小の先送りによる投機マネーで、ブラックロックはまだまだ株に強気となりそうです。しかし、そうでもないようです。
フィンクCEOは、財政問題が妥協案により先送りされたとしても、小売売上高が低迷する見通しのほか、不確実性で企業幹部が研究や技術、開発への投資を避けてきていることから第4四半期の米経済は「非常に弱くなる」と指摘しています。
そして、第4四半期の企業収益が悪化し始めた場合、株価は下落し、低めの金利がさらに長期間続くだろうと予想しています。また、債務上限をめぐる協議をきっかけに海外投資家は米国債投資を思いとどまっているとも述べています
ブラックロックCEO:米10−12月は軟調、債務問題合意でも
米ブラックロックCEO:米国株への強気な姿勢が後退
海外投資家が米国債投資を思いとどまっているとしながら、低めの金利低下が長時間続くと予想しています。つまり、QEによってFRBの国債買い取りが続くということだと思います。
そうなると、株式市場から債券市場に再びマネーが逆流する動きになりそうです。ブラックロックは住宅市場バブルも牽引しています。株価は限界だが、住宅バブルはまだいけると判断したのかもしれません。
債務上限の問題では、民主党と共和党のアメリカ国内での茶番劇(ショー)ばかりがお茶の間を賑わしましたが、その水面下で、貸主側の中国とアメリカの交渉の本当の戦いであった可能性があります。
あくまで陰謀論で推測ですが、中国は、アメリカ政情不安定に懸念を示し、今後の米国債購入をしないことをちらつかせた脅迫をしたと思います。
これは、共和党がアメリカの予算を人質にとった脅迫よりはるかに怖い脅迫です。
この脅迫に屈して、アメリカは、規定路線になっていたQE縮小を当面凍結する譲歩をして、アメリカ国債の購入を続けることを約束した可能性があります。
アメリカもQEが失敗したのはわかっていると思います。景気回復の効果がほとんどないのにドルが減価しバブル崩壊の副作用だけ強いQEをできるだけを早く縮小したいのが本音だと思います。
しかし、中国は、自分たちが買った米国債が値下がるのを防ぐために。アメリカにQEを用いた財政ファイナンスによって米国債を買い支えることを強制します。
日本と違い、中国が持っている米国債は比較的、期間の短いもののようです。
リーマン・ショック後、中国は長期債を売って短期債にきりかえてきています。中国国家外為管理局の外債データによると中国の保有する外債の75%〜80%ぐらいは借入期間が1年以内の短期債のようです。平均回収期間(デュレーション)は相当短いく、流動的に他の資産に逃げることが可能です。
とりあえず、その満期まではアメリカは責任をもって買い支えろということでしょう。満期後の反動が怖いですが。
アメリカのQE縮小がなくなり債券購入が続くとすれば、ブラック・ロックの動向との整合性があります。
以上の妄想が当たらずといえども遠からずならば、今後、投資すべきなのは、株ではなく、債券や不動産、そして金ということになると思います。
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